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「眠ること」は、贅沢じゃなく、希望だ──楽天が描く“睡眠の未来図”と、その先にある人間らしさ

「最近、ちゃんと眠れていますか?」

この問いに、心から「はい」と答えられる人は、意外と少ないのかもしれません。

働き方が変わり、日々のリズムも揺らぎやすくなった今、「睡眠」は単なる“休息”から、より豊かな暮らしのための“選択肢”へと進化しつつあります。

そんな中、楽天が開催した「2025年 睡眠トレンド発表会」では、最新の購買データと共に、専門家・友野なおさんによる実践的な快眠アドバイス、さらには体験型の寝室スペースまで用意され、「眠り」がいかに生活の質を左右するかが、参加者の心にそっと届くように伝えられていました。

【1】睡眠は“生きる力”を整える「インフラ」だった

友野さんはこう言います。「睡眠は、心・体・脳・行動すべてに影響する“土台”です」。

睡眠6時間未満。それだけで、15兆円の経済損失があるとか。え?

そのなかにあって、日本人の平均睡眠時間は世界最短レベル。仕事やストレス、スマホの影響で眠りの質が低下し、その蓄積が“睡眠負債”となって心身に影響を及ぼします。

1. 睡眠とは、体・心・脳・行動を整える“土台”

友野さんの話の出発点はとてもシンプルです。「なぜ睡眠が重要なのか?」と。

そこには、“ただ休むため”というより、「よく眠ることが、日常を豊かにする」という考えがありました。睡眠は、集中力や判断力、創造性、コミュニケーション能力といった人間らしい営みの基盤

睡眠不足が続くと、これらが崩れ、仕事の生産性はもちろん、人間関係にも影響する。

つまり、眠ることは「未来の自分を整えること」そのために、ちゃんと知って、意識して、選ぶことが大切なんです。

2. “眠れない時代”の正体──現代人が直面する3つの障壁

友野さんが現場で見ているのは、「眠りにくさ」が“社会問題化”している姿です。

  • スマホ・タブレットによる情報過多とブルーライト

  • ランニングやコンビニなど夜間の行動による体内時計のズレ

  • シャワー文化による体の冷えと睡眠モードへの切り替え不足

 ベッドに入っても寝つけない人が増え、特に20代女性の“スマホ依存型不眠”が深刻化している現状も共有してくれました。

「眠れない原因は、ただのストレスではない。“環境”が眠りを遠ざけている」

この視点は、商品や空間づくりにとっても大きなヒントになります。

3. 「5月病」だけじゃない──春から夏にかけて“眠りが乱れる”季節の真実

春は「春眠暁を覚えず」と言われるけれど、実際は眠りがとても難しい季節。

  • 昼夜の寒暖差による自律神経の乱れ

  • 新生活による心理的ストレス

  • ゴールデンウィークによる社会的時差ぼけ(ソーシャルジェットラグ)

 特に今年(2025年)は飛び石連休でリズムが乱れやすく、“体の調律”が崩れがち。だからこそ、5月は「夏への睡眠準備期」と捉え、意識してリズムを整える必要があると強調されていました。

特に春は寒暖差と環境変化が重なり、睡眠リズムが崩れやすく、「5月病」と呼ばれる不調にもつながります。

4. 今日からできる「よく眠るための5つの習慣」

睡眠時間を確保するだけでなく、“質”を上げるためのヒントが、実践的に語られました。

  • 朝決まった時間に起きる(起床時間の固定)

  • 入浴は40℃のぬるめでしっかり湯船に浸かる

  • スマホを寝室に持ち込まない

  • エアコンは“つけっぱなし”が基本(タイマー切断はNG)

  • パジャマで寝る(素材は綿100%、色はブルー系が推奨)

とくに印象的だったのが「寝るときはパジャマを“道具”として選んでください」という言葉。

 だからこそ、今改めて「よく眠る」ことが、ただの休息ではなく、自分を守る“選択”になってきているのです。

【2】トレンド①:令和の眠活──テックが変える「わたしの睡眠習慣」

さて、睡眠の重要性は分かった上で、2025年のトレンドはどうなのでしょう。楽天の淺田はるかさんが教えてくれました。

2025年、睡眠は“計測し整える”時代へ。

楽天市場では、睡眠計測付きスリープウェアやAI連動エアコン、快眠を誘導するガジェットが注目され、「令和の眠活」が進行中。

例えば、パナソニックの枕元センサー付きエアコンや、AIで最適な枕を提案するピロー、ミニサイズのスリープタグまで登場しています。

売れ筋では、電気毛布が3.4倍、アイマスクが6.9倍、ハーブティーはなんと約10倍に伸長。

もはや「眠るための買い物」は、体を整える“自己投資”の一部なのかもしれません。

【3】トレンド②:睡眠メシ──おいしく食べて、よく眠る

「食べることで、眠りは変わるんです」。そう語る友野さんは、睡眠の質を高める栄養素に注目。

たとえば、

  • トリプトファン(牛乳・卵・バナナ・豆腐)→ 脳を鎮静化
  • ジンゲロール(しょうが)→ 血行促進
  • GABA(トマト・味噌)→ 精神を安定させる

これらを活かした“睡眠メシ”も登場。

・味噌トマトおにぎり:GABA豊富でリラックス

・ピリ辛セロリ煮込み:ビタミンB12で睡眠リズム整える

・ジンジャー豆乳スープ:体を温め、寝つきをサポート

楽天ブックスでは“睡眠レシピ本”も人気で、「食事が眠りを整える」という意識が、消費にも表れています。

【4】トレンド③:スリープツーリズム──“よく眠る”ために旅に出る

旅の目的が「睡眠」になり始めています。

楽天トラベルによれば、睡眠をキーワードにした宿泊プランが前年比約1.5倍に増加。

阪急阪神ホテルズの“REM PLUS”や、ナインアワーズの「睡眠データ解析付きプラン」など、宿自体が“眠るための場所”になってきています。

日常を離れ、質のいい睡眠を味わう。それは、自分を取り戻すための「旅」なのかもしれません。

【5】「よく眠る」は、消費の本質にもなっていく

睡眠は、ただの休息じゃない。大事なのは“よく眠ること”は誰かのためではなく、自分のためという姿勢です。

眠れない自分を責めるのではなく、「整える行為」として愛情を向ける。それは、人生の主導権を自分に取り戻すことにもつながる。つまり、睡眠は「体調管理」ではなく、「生き方そのもの」なんだと──。

「自分を整える行為」として、商品もサービスも、暮らしの中の“眠る力”をサポートし始めています。テクノロジー、食、旅──そのすべてが、眠ることを通じて私たちの未来をやさしく照らしてくれる。

この流れは、きっと、もっと広がっていく。眠ることは、誰かに遅れをとることではなく、明日を生きる準備なのだと思えるようになってきました。

「よく眠れた朝こそ、人生のスタートライン」

この価値観が、もう一度、社会の真ん中に戻ってきている気がします。

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