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楽天、総務省「ふるさと納税へのポイント付与規制」への「反対」意思表示

 税金としての純度をどれだけ保つか?それを地域の活性化というものと天秤にかけて、健全に話し合うことなのではないか。何の話をしているのかというと、ふるさと納税を巡る話である。先ほど、楽天グループは、総務省の「ふるさと納税へのポイント付与規制」に対して、明確な「反対」の意思表示をし、その旨を記者会見を行ったのである。

指定基準の見直し

 ことの発端は、6月28日付けの告発によるもの。総務庁が、ふるさと納税に対して指定基準の見直しについて発表を行ったことにある。

 「寄付者に対し、ポイント券を付与するポータルサイト等を通じた寄付行為を禁止。(告示改正 R7.10〜)」。

 つまり、総務省の「ふるさと納税へのポイント付与規制」を告示したわけだ。

 そもそも、ふるさと納税のプラットフォームは、寄付者と自治体の間に入って、手数料を手にする。ただ、下記の通り、楽天においては、自らの差別化要因として、ポイント経済圏を持っていることから、その寄付者に対して楽天ポイントを付与している。勿論、これは「ふるさと納税」に使えるというわけではない。

 以下の図の通りである。

 

 ただ、そうは言っても、そこで付与されたポイントは、楽天経済圏で活用されていく。では、そもそも、このポイントの原資は、どう捻出しているのか。下記のように、一般の出店店舗の場合とは異なり、楽天自身が全て持ち出ししており、それは、地方創生のためである。

楽天側の主張

 楽天としては、これらを付与することで、ふるさと納税の寄付行為の触発になれば、結果、各自治体の利するところになるというわけだ。その意味で、総務省の告示は、そのポイント付与による活性化に待ったをかけるものとなった。楽天が、本来の地方創生の動きとは真逆だと言って、そう反対を表明した所以である。かつ、総務省は制限の具体的な内容を示すことなく、突然、ポイント付与を禁止する旨を発表した。ゆえに、一層、楽天との軋轢が生まれたともいえる。

 楽天としては「これらの行為は、地方自治体の協力、連携体制を否定するものであり、地方自治体の自立的努力を無力化するものとした」とまで言及している。

 だからこそ、この総務省の指摘に対して、楽天は「ポイント付与の継続を求めるネット署名」を募った。楽天IDを持つ人であれば、誰でも署名ができる。その数は約1ヶ月ほどで、185万件に及んでおり、それらの声を背景に、総務省に撤回を申し立てるとの見解を示した。

自治体の価値向上か、税金としての純度か

 ただ、会見を聞いて痛感するのは、数の問題ではない。そして、正直、見解が分かれるところだろう。税金としての純度をどれだけ保つか?それを地域の活性化というものと天秤にかけて、健全に話し合うことなのではないか。

 というのも、ふるさと納税は、人々の税金を元手にした“寄付行為”である。

「寄付」という言葉を広辞苑でひいてみると、「公共事業または寺社などに、金銭・物品を贈ること。『母校に財産を–する』」とある。その寄付行為に少しでも、色がつくのは好ましくない。そういう考えを持つ人がいてもおかしくない。

 語弊を恐れず言えば、お金の匂い(儲け)がそこに感じられれば、なるべくそこは純度を高めて、そこを払拭しようとする。それは、自然な流れのような気もする。なぜなら、その寄付行為にポイントがつくことで、その後の楽天グループでの利用が生まれているわけだから、そこは切り離したいと考える意見が出るのも然るべきだ。

 そこまでして目くじらを立てる必要があるのか。そういう声も出てきそうし、店舗からもそういう声があるのも耳にしている。だが、それは違う。やっぱり税金だからである。各々が働き、一律共通に、支払う国民の義務であるから、それが誰かの民間企業に対して利するという側面があれば、センシティブになる。

線引きが必要ではないか?

 どちらが正しいということを言いたいわけではなく、議論をするべきだということだ。本来、税金であり、寄付という純度の高いものであり、行為だからこそ、そこにはちゃんとした線引きが必要なのだ。

 「地方自治体の協力、連携体制を否定するもの」と言及していたが、どの部分でどう否定しているのか。楽天は、細かく説明する必要があるだろう。また、総務庁も曖昧に地方創生を捉えることなく、どこまでがOKなのかの線引きを明確にして、プラットフォームと共に、本気で地域の活性化を追うべきだ。

特に楽天は、地方の店舗に光を当て、ECによってチャンスをもたらし、地方創生を形にしてきた。また、楽天トラベルの存在によって、日本各地への旅行が以前にも増して、観光で地方に寄与した度合いも大きい。だから、それによって得られた情報を惜しみなく自治体に提供し、二人三脚で、「ふるさと納税」の切り口などに反映して、盛り上げていく動きは、歓迎されただろう。そして、讃えられるべきことでもある。

議論すべきはポイントで白黒つけることではない

ただ、逆に言えば、それで十分、地域の貢献は果たしている。その上で、このポイントに関してはセンシティブだから、それらとは切り離して、喧喧諤諤、議論すべきなのだ。それがこの楽天の自治体の声に表れているような気がする。参画している169の自治体に是非についてアンケートした結果だ。

 やっぱり中立なのだ。「ポイントの良い面、悪い面を踏まえた議論が必要。ただし寄付が減少することは可能な限り下げたい」と。

 前段部分の議論の必要性が何よりの証拠。そして、このコメントの後段部分も、大事なのは「寄付が減少することは可能な限り下げたい」とあるけど、それは「ポイント付与を維持して欲しい」という意味では必ずしもない。そうではなく、知恵を持って、減少しない方法を一緒に考えていこうという前向きな意見であると捉えるのが自然だ。

 今一度、この制度趣旨を踏まえて、両者の立場から、丁寧な言葉での説明をしてもらいたい。そして、国民が納得し、地域が笑顔になるより良い落とし所を見てみたい。紆余曲折ありながらも、皆にとって健全な地方応援の輪が広がっていくことを切に祈る。

今日はこの辺で。

 

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