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楽天 2022年度 第3四半期決算 決算 発表 狙うは「モバイルのARPU上昇」から始まる好循環

 今後、モバイルでのARPUが上昇するほど、経済圏は活性化して、グループシナジーをより強固なものにする。これが、彼らの考えの核心のように思う。それは、きっとこれからネット通販が落ち着きを見せていくことと関係している。経済圏の活性化とともに顧客を定着させれば、この会社にとっての販促材料になる。だから、モバイルの継続的収益を土台にすることは、この会社の肝となる。楽天グループ は「2022年度 第3四半期 決算 」に関する説明会を開催した。代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏らが説明を聞くにそれを思うのである。

楽天 2022年度 第3四半期 決算ハイライト

1.国内流通総額は13.1%増

 まず今期決算ハイライトに関しては下記の通り。

 EC国内流通総額は、13.1%と二桁成長。基本的には「楽天市場」で経済圏の利用によりユーザーが定着。楽天トラベルは制限のない夏休みにより、旅行者の需要を取り込んだ。フィンテックに関してはカード枚数が2700万枚で、銀行口座数が1300万口座を達成。カードのショッピング取扱高は前年同期比27.4%増。オフライン消費が戻ったことでカード利用が進んだと思われる。

2.モバイルの価値はARPUの上昇と共に発揮

 この発表会ではモバイルの説明に多くを割いた。2022年9月段階において全ユーザーが有料会員となった。ただ、大きな減少は見られず、ようやくこれからの戦略を立てる土台ができた。現状、MNO+MVNOの総契約回線は518万回線となった。

 モバイル単体で言えば、今後、ARPUをあげていく。これは5Gの浸透とともに進んでいくと見ている。デジタルが今以上、色々なコンテンツ利用と繋がることで、データ通信量が増える。当然、それはARPUの上昇をもたらす。

 そのことを示す大阪エリアでのデータがある。5GとなることでデータARPUは4Gと比べて25%アップした。

 その他、モバイルを事業としてみたときに、コストの減少を示唆。今後は、基地局設置などのコストがかからなくなるのに加え、生産性の向上をはかることで、赤字幅が減少していくとした。黒字化を達成すると、今度は一気に、それが楽天グループの礎になると。

 というのも、彼らの経済圏の構想とも親和性が高いからだ。その証拠に、MNO契約後、楽天市場を筆頭にクロスユースの割合が増加している。なお、スーパーセールを実施した際のMNOユーザーが楽天市場のGMVに占める割合は、26.2%にも上る。当然と言えば、当然だ。通信はつながり続けるものだから、ポイントが貯まりやすい。

各セグメントにおけるハイライト

1.インターネットは国内ECを筆頭にNon-GAAP営業利益は前年同期比30.7%増

 各セグメント別のハイライトに関しては次の通り。

 国内EC流通総額は前年同期比と比べ、13.1%増(1兆1940億円から、1兆3500億円へ)。セグメントNon-GAAP営業利益は前年同期比30.7%増。

 その背景にあるのは、複数のジャンルでECサービスを用意し、そこでクロスユースを促しているから。楽天市場と楽天トラベルでは、旅行の復調もあり51.6%増、楽天市場とGORAは14.3%増である。

2.物流への投資でネットスーパーを飛躍

 特に彼らが強調したのは楽天市場と楽天西友ネットスーパーに関してで、35.0%増。この背景にあるのは、楽天が楽天市場に関連した物流の活用がある。物流センター出荷の流通総額が32.2%増になっているのである。

 つまり西友のスーパーとして信用をフックに、楽天の物流が品揃えを補完。ネットスーパーの全体の流通総額は、15.2%増になっている。2018年の柏、2021年の港北と、相次いで物流センター設立をした。そういう新設箇所の物流拠点も高い稼働率を実現。この二つの新設物流拠点の流通総額は、前年同期比21.7%増というわけである。

3. フィンテックはNon-GAAP営業利益前年同期比19.0%増

 そのほかでは、フィンテック事業は、セグメントNon-GAAP売上収益では前年同期比19.0%増と順調に推移している。

 楽天カードは3000万枚達成を目標に掲げているが、現状で2751万枚。前年同期比15.1%増である。そのほか、楽天銀行は口座数が14.5%増、楽天証券の口座数が25.3%増。楽天市場がカード利用を牽引し、そこを起点に、フィンテック内でクロスユースが進んでいることが、伸びの原因である。

 また、オフライン消費が戻ってきて、今度はカード単体の利用も増えることとなった。結果、国内クレジットカードのショッピング取扱高は、2016年1月には9.9%だったのが、2022年8月現在、23.0%にも及んでいる。

 また、楽天証券はホールディングスになることで、証券やウォレットを傘下に収める。また、みずほ証券と資本業務提携を行い、その地盤を固める。具体的には、総合資産のコンサルティングサービスなどに強みを持つ、みずほ証券の知見を取り入れるわけだ。これも特に、資産運用に関わる部分を抑えることで、より定着率の高いお客様を掴むことができる。彼らとしては強化したいところだろう。

4.投資を活かす経済圏のサイクル

 そのほか海外の事業やコンテンツ事業は、Rakuten TVの登録者数が52.3%増など、新しい顧客獲得をして、上記で培ってきた経済圏の強みを最大化させることも付け加えた。これらの新しい事業の多くは、経済圏の一員として機能することで、その活性化を担う。

 正直言えば、ネット通販単体でみれば、どうしても頭打ちがくると思っている。だから、彼らはECという枠組みを少しでもデジタル化とともに色々なジャンルへと広げるわけだ。それを最大化するためには、ポイントをフックに複数のサービスを使ってもらえる会員ユーザーを増やしておくことこそが、重要。なぜなら、それ自体が、彼らにとっての最大の販促材料となるからだ。

 そのポイントは、まさにモバイルという固定の収入を生む事業を土台にした方が、わかりやすい。その中心に据え、かつデジタル上での利用機会を増やせば、ARPUが上昇する。それが経済圏内での回遊をより生産性の高いものにできるわけだ。

 だから、冒頭書いた通り。今後、モバイルでのARPUが上昇するほど、経済圏は活性化して、グループシナジーをより強固なものになる。これからネット通販は、落ち着きを見せていく中で、そこでの活性化とともに、顧客を定着させることが、この会社にとっての肝になるのだろうと思う。

 今日はこの辺で。

楽天グループ:決算2022年Q2

楽天グループ:決算2022年1Q

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