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楽天 2020年12月期 第3四半期 決算 国内EC好調/物流注力で拍車

 楽天 株式会社は 2020年12月期 第3四半期 決算 を発表した。決算短針によれば、楽天の売上収益は、1兆401億9000万円で前年同期比14.8%増、営業利益は605億1900万円減、税引前利益は1195億9900万円減、四半期利益724億600万円減、NonGAAP営業損失は793億7700万円減となっている。

楽天 2020年12月期 第3四半期 決算 売上伸びるも利益は減少

 決算短針では、業績を説明する上で、大きく「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の三つのセグメントにわけている。

  • 「インターネットサービス」の売上収益は6071億1000万円、損益は39億6100万円減
  • 「フィンテック」の売上収益は4257億2700万円、損益は633億9100万円
  • 「モバイル」の売上収益1285億8300万円、損益は1402億9400万円減
  • となっている。

 これを見るに、「フィンテック」は売上収益、利益の両面で安定感があり、会社を支える柱となっており、一方「インターネットサービス」は売上収益こそ大きいが投資の必要性が高く、損益で39億6100万円減。モバイルも同様、投資が必要なジャンルであると言える。言い換えれれば、投資をしている2ジャンルの成長がいわば、この楽天の未来を担っていると言えよう。

 「インターネットサービス」の中には、ECが含まれており、この新型コロナウイルス感染症による外出自粛と新しい生活様式への流れは、楽天市場の好調さを後押ししている。具体的には、ショッピングECのGMS(流通総額)は前年同期比29.3%増であることを明らかにして、順調ぶりをアピール。

 しかも、その購入額は増えており、そのユーザーの定着率も高い。2020年第2四半期で購入したお客様が2020年第3四半期でも購入した割合は、約75%に及ぶそうだ。武田さんも今後も定着するものとして、期待を寄せている様子だ。

 それを踏まえて、これら「楽天市場」の他、楽天トラベル、ラクマなど、国内EC流通総額に関して見てみると1.1兆円であり、前年同期比の11.7%増。

 また、国内ECの四半期業績推移で見ると、売上収益は1492億2800万円で前年同期比17.2%増で、営業収益は152億3700万円で前年同期比0.9%増。152億円の内訳は下記の通りである。

 楽天トラベルなどは新型コロナウイルス感染症の影響から立ち直りつつあるプラス要因もある中で売上収益は伸びており、ただ、一方で、投資を積極的に行っているので、収益はそこまで伸びていないという側面もある。

 それは好調な部分もありつつも、ECのマーケットは競争が激しく、先行投資をしない限り、成長維持できないと考えてのこと。会社としてはここをしっかり投資し、未来につなげていきたい考えのようだ。

楽天 は何に投資をしている? 2020年12月期 第3四半期 決算 から紐解く

 楽天が投資すべきであるとしているのは上でも分かるとおり「物流」。今後の彼らの方針とも連動していて、楽天市場の出店店舗への物流サポートである。ただ、そこにとどまらず、「直販でのジャンル拡大」も今後の強化ポイントに入れていて、ここを含めて物流を強化している点は、楽天の手堅さが窺える反面、出店店舗は複雑なのかもしれない。

 楽天市場の出店店舗に対してのRakuten SUPER LOGISTICSの存在は勿論、楽天ブックス、楽天西友ネットスーパー、楽天24、楽天ビックなどを強化する姿勢を打ち出し、Rakuten Direct Rakutenブックス、Rakuten SEIYU ネットスーパーとそれぞれに施設を増加させており、それら全体で楽天の「倉庫」の力を底上げしていくようである。

 販売の幅を広げることで、楽天にとって効率が良く、投資を回収できるというのもあるだろう。楽天西友ネットスーパーにおいては、2020年第3四半期でいうと、35.9%に及んでいて、伸びている。新型コロナウイルス感染症に伴う需要増をフックにして、このジャンルへの進出を本格化させて、相乗効果を図っているわけだ。

 さて、倉庫の充実を土台にして、「配達」するための「楽天エクスプレス」についても拡大していく。2018年1月の人口カバー率は4%だったところから、2020年9月時点で63.5%まで増加させていて、こちらへの投資も、倉庫面に連動させる形で、拡大しているというわけだ。結果、これが回り回って、2018年8月と比較して、利用店舗数、出荷数ともに9倍強に増加したという、こういうサイクルで、投資を利益につなげているわけだ。

 また、一方で、彼らが盛んにアピールするのは、従来の宅配とは違う価値観で効率化を図っていること。置き配、非対面受け取りなどにもトライをして、宅配クライシスと言われるような問題を自らが解決へと導こうという姿勢を鮮明にしている。自らが物流への挑戦の意味を説くことで、それらの投資に対しての理解を求めている。

フィンテック が会社を支え、そのフィンテックを支えるEC

 「フィンテック」に関して言えば、こちらは投資をするよりも、経済圏の恩恵を受けながら、堅調に推移しており、楽天カードが売上収益前年同期比11.7%増、営業利益が37.5%増。楽天銀行も売上収益5.8%増、営業利益0.2%減となっている。この辺は、新型コロナウイルス感染症での感染拡大で、eコマースの需要が増えれば、金融・決済は親和性の高いので、「フィンテック」が、その恩恵を受けて、生産性高く、売上を上げていると言える。

 彼らにとってはeコマースというのが、金融の入り口としては最適であり、そこに加えて、最近の好循環、そして、eコマースなど他の事業と比べて、離脱されづらいジャンルなので、全体的にフィンテックに追い風となるわけだ。

 「モバイル」に関してはいうまでもなく、投資フェーズにあり、広告のみならず、5Gへの投資、通話料などでのチャレンジなどで、少しでも通信キャリア3強の牙城に食い込んでいく狙いであろう。

 三木谷さんが説明会の中でも「コミュニケーションを強化する」と話している「コミュニケーション」の中身は、このモバイルを差していて、モバイルは日常常に触れるもので、経済圏のなかの70以上のサービスを束ねる起点となりうるからだ。全てはこの経済圏を活性化させる要因として、重要な位置付けで投資をしているということになる。

 楽天という会社は、eコマース、仮想商店街から始まった企業であるが、ネットを軸に、金融を通しリアルにも進出する総合的なサービス企業となった。そのコアは、楽天経済圏である。ただ、ジャンルが多岐に及ぶ為に、拡大とともに、カニバる部分も出てくるのではないか、という印象も抱いた。

 投資をしている物流一つにとっても「楽天市場」だけではなく、「楽天市場」にとっては、競合にもなりうる、「直販」も織り交ぜながら発展を考えていることなどはその一例で、難しいバランスの上に、それらの投資が成り立っている。

 「楽天市場」の出店店舗にとっては勿論、経済圏を発展させてもらい、今までに以上にポイントを回遊させることで、結果、その恩恵を受けることになろうが、ある意味、それは、諸刃の剣の側面も持つ。楽天は、事業の拡大を通して、その企業価値を向上させていくとするビジネスモデルであるが、それは堅実に、行える要素を持つとともに、その分、上記の理由から、彼ら自身のハンドリングと調整力が重要になっていくのではないか、と思った次第だ。

 広がるだけではない戦略を描くことも大事なのでは。そんなことを思った。

 今日はこの辺で。

関連記事:楽天 2020年度第2四半期決算 ECが +48.1%成長

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