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【新時代の共創戦略】日本郵政と楽天が描く“リアル×デジタル”の未来

日本郵政グループ(日本郵便を含む)は、楽天グループとの資本業務提携に合意し、楽天に対して1500億円を出資すると発表しました。この提携は、物流をはじめモバイルやDX(デジタルトランスフォーメーション)の分野で協力を深め、急速に変化する時代に両社が生き残りと成長を図る狙いがあります。以下では、そのポイントを整理して解説します。

1.狙いは「物流×モバイル×DX」の総合連携

今回の提携の中心には、物流を軸とする幅広い領域での協力があります。

物流面での連携

ネット通販の受注データを楽天・日本郵便の双方が共有することで、配送の生産性を高められると期待されています。ネット通販利用者が増える中、配送能力の強化は重要な課題です。

モバイル事業の強化

楽天モバイルの基地局を郵便局の屋上に設置するなど、全国に2万4000もある郵便局の広大なネットワークを活用します。新たな拠点を全国に構築するための投資や時間を大きく削減できるため、楽天にとっては大きなメリットです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

日本郵政グループは、老朽化が進む既存システムの刷新や、郵便局のデジタル活用が課題となっています。そこで楽天が持つネットやIT分野のノウハウを取り込むことで、効率化や新しいサービスの創出が期待できます。

2.郵便局の有効活用と“リアル”インフラの価値

時代の変化が加速する中、郵便局も「従来通りの役割」にとどまる余裕はなくなっています。今までは地域の生活拠点として機能してきましたが、これからは「リアル×デジタル」の接点として、新たな形での活用が求められています。

楽天モバイルの受付カウンター設置

郵便局の空きスペースで楽天モバイルの契約やサービスを案内できるカウンターを設置する計画があります。これにより、郵便局側も来局者との接点を維持・拡大し、新たな来客を見込める可能性があります。

地域インフラとしての進化

郵便局はすでに全国各地にあり、人々の生活圏に根付いています。これを楽天にとっては“リアルな店舗網”としても活用しやすくなるわけです。ネット企業としての楽天がリアル拠点を整備する負担を大幅に減らせる点は大きな魅力です。

3.日本郵政の出資とデジタル人材への期待

日本郵政の1500億円の出資は、楽天にとっては新たな資金を得て成長領域に集中できる好機となります。一方、日本郵政グループ側は楽天のデジタル人材やノウハウを取り込み、グループ全体の体質改善を図る思惑があります。

出資によるリソース補完

巨額投資が必要なモバイル事業で楽天は一時的な負担を軽減し、デジタルサービスやネット通販事業を強化しやすくなります。

人材面でのテコ入れ

日本郵政は、DXを加速させるための人材を楽天から迎え入れる考えも示しています。これによって郵便やゆうちょ銀行、かんぽ生命といったグループ会社のサービス向上にもつなげたい狙いがあります。

4.“共存共栄”へ向かうリアル企業とネット企業

今回の提携は、「リアル企業」と「ネット企業」の役割が変化しつつあることを象徴しています。リアル企業は巨大な店舗網やインフラを活かして新たなサービスを展開し、ネット企業は自前で持つと大きなコストがかかる実店舗や設備を補うことで成長スピードを加速させるのです。

双方にとってのメリット

資金面では楽天が潤い、人材とノウハウ面では日本郵政グループが強化される。お互いが不足している部分を補い合う“共存共栄”のモデルといえます。

時代の転換期である証

ネットとリアルが切り離されていた時代は終わりを告げ、互いの強みを融合させる段階に入りました。企業が生き延びるためには、業種の垣根を越えた提携と迅速な意思決定が不可欠です。

5.まとめ

日本郵政と楽天による資本業務提携は、物流、モバイル、DXなど多方面にわたる連携を目指す戦略的な動きです。全国規模のリアルインフラとネットの技術力が結びつくことで、両者は今後さらなる成長を見込むことができるでしょう。一方で、急激な時代変化に対応していかなければ取り残されるリスクも伴います。

企業同士がそれぞれの弱みを補い合いながら、新たな価値を生み出す――これこそが“リアル×デジタル”の新時代を象徴する協業の在り方だといえます。今後の展開に、ますます注目が集まることは間違いありません。

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