YouTube×楽天とShopifyが示す、ECは「検索」から「人間中心」へ
ラジオ出演のお知らせです。77.6FM「FMドラマシティ」
エーデルワイスファーム・野崎創さん司会の「connect」に、
本日11時より生放送(毎週木曜AM11:00〜)で出演します。
いま話題のテーマや社会の変化に切り込む時間。
今回お話しするのは、ECの“構造転換”についてです。
① YouTube×楽天が示す「体験型EC」への転換
ECは長らく、「検索し、比較し、最短距離で購入する」合理の世界でした。
欲しい商品があり、それを探し、レビューを読み、価格を見比べる。
正解は“効率”でした。
当然、初期の画面はほぼテキスト中心。
どうすれば物が売れるのかを模索する時代でしたが、構造の前提は一貫していました。
入口は常に“探す”ことだったのです。
しかし今回発表された「YouTube ショッピング アフィリエイト プログラム」と楽天市場の国内初パートナーシップは、その前提を書き換えようとしています。
「探す」から「出会う」へ
人は必ずしも“買う目的”で動画を見ているわけではありません。
コンテンツを楽しみ、信頼するクリエイターの言葉に触れる中で、「欲しい」と感じる。
その瞬間、動画内の「商品を表示」からシームレスに購入へ進める。
動画の中に売り場が組み込まれた。
検索し直す必要はありません。タブを開き直す必要もありません。
発見から納得までが同一画面で完結する。
つまり、“探す動作”そのものが消えたのです。
YouTubeは、日本の視聴者の76%が「最も信頼できる動画プラットフォーム」と回答し、Z世代では79%に達するというデータもあります。
さらに65%が「買い物の際に商品をリサーチ・発見するのに役立つ」と感じている。
ここで起きているのは、広告主導から信頼主導への転換です。
楽しい買い物が戻ってくる
クリエイターは宣伝ではなく、自分の言葉で語る。
その誠実さが納得を生み、納得が購買につながる。
楽天の原点も、単なる商品陳列ではなく、コミュニケーションが生まれる場でした。
地方の小規模ブランドが主役になる世界。
そこにYouTubeのエンターテインメント性が重なる。
合理と感情が融合する。
三木谷さんが語っていたのも、「買い物は再び楽しい行為に戻る」ということでした。
購買の入口が「検索」から「文脈」へ移る。
ECはページ最適化の競争から、出会いを設計する産業へと進化しているのです。
② Shopifyが掲げた「ルネサンス」の意味
もう一つは、Shopifyが描く「ルネサンス」。
アップデート発表会で掲げられたキーワードは、再生、人間中心主義。
AIを前面に出しながら、あえて人間を中心に据える。
一見矛盾しているようで、そこに本質があります。
一言で言えば、ブルーワーカーがホワイトワーカーになる、ということです。
AIが奪うのは仕事ではなく「作業」
象徴的なのが「Sidekick」という機能。
ストア全体を俯瞰し、提案し、実行まで担うAIです。
商品登録、レポート作成、更新作業。
日々の定型業務を引き受ける。
しかし重要なのは、作業が楽になることではありません。
EC担当者の役割そのものが再定義されること。
これまで“作業者”として追われていた立場から、
判断し、設計し、創造する側へ引き上げる。
SimGymやRolloutsも同様です。
AIが仮想顧客として導線の詰まりを見つけ、段階的に改善を重ねる。
しかしそれは「答え」ではない。
最終判断は常に人間に委ねられる。
AIは調査や検証の生産性を高める。
人間が判断するための余白をつくる。
そのための設計なのです。
ECは「人間に戻った」
なぜこの設計に至ったのか。
EC市場はコロナ禍で伸びましたが、その後、拡大一辺倒のモデルには限界が見えました。
物流倉庫の買収など規模拡大路線から、個々の事業者のポテンシャルを高める方向へ。
Shopifyの動きはそこを象徴しています。
作業を減らし、人間の思考の余白を取り戻す。
その余白でこそ、店の価値は磨かれる。
だからこそ「ルネサンス」。
人間が自ら学び、言語化し、判断する力を取り戻す。
ECは効率の極限から、再び人間中心へ。
今日はそんな話を、ラジオでじっくりお届けします。