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「探す」から「任せる」へ──Yahoo!ショッピングAIエージェントが変える、新しい購買体験

  思うに、ショッピングは目的ではなくなる。何かの動作のなかで、買い物が存在し、買い物は切り離すことなく、生活と同化する。つまり、それは、ネット上での買い物体験が変貌することを意味していて、ネット上の買い物の常識が、変わる。先ほど、LINEヤフーで、Yahoo!ショッピング内で、AIコマースに関しての発表があった。

 それは単なる検索補助ではない。ユーザーの意図を理解し、状況を読み取り、APIを横断して最適な提案を組み立てる“ショッピングの伴走者”だ。

考える上で、彼らが口にしたのが、ECが抱える構造的な課題だった。ネットショッピングには、膨大な商品群があり、価格比較は容易で、レビューも可視化されている。利便性は確かに高い。

1. ネットショッピングはなぜ「疲れる」のか

 一方で、ユーザーは常に「判断」を迫られている。例えば、レジャー用品を探しているとする。安全性は十分か。用途は本当に合っているのか。価格は妥当か。今が買い時なのか。

 比較の軸は複数あるが、どの軸を優先すべきかは示されない。さらに、売り場ごとに情報の粒度や表示形式が異なるため、横断的な比較は想像以上に難しい。比べたい項目が揃っていなかったり、価格の変動に振り回されたりする。結果として、人は「決めきれない」。

2. 100人に100通りのUXを届けるという発想

 確かに、豊富な商品ラインナップがあり、お得な施策も用意されている。体験として成熟している部分はあるだろう。しかし、同社が語ったのは「そのUIだけでは、すべてのユーザーを満足させきれない」というもどかしさだった。

 彼らが強調したのは、UIではなくUXである。

 価格を重視する人もいれば、品質を最優先する人もいる。今すぐ欲しい人もいれば、タイミングを見極めたい人もいる。固定されたインターフェースだけで、こうした多様な欲求を完全に受け止めるのは難しい。

 そこで目指したのが、「インターフェースに縛られないUX」だ。その鍵を握るのがAIエージェントである。従来は、エンジニアがコードを書き、機能を実装し、それをユーザーに提供してきた。

 だが同時に、それは「コードに書かれていないことは実現できない」という制約も意味していた。ユーザーの曖昧な要望や、その場で生まれる思いつきに即応するには、大きな壁があった。

 しかし、AIエージェントはその壁を越える。Yahoo!ショッピングに備わったAPIを横断的に活用しながら、ユーザーの意図を解釈し、その都度最適なアウトプットを生成していくのである。

3. 「強制しない」エージェントという設計思想

 この辺も、ほどよくそれらが内部で動く。注目すべきは、AIエージェントを“全面化”しないという姿勢だ。

 ユーザーは好きなタイミングでエージェントを呼び出し、必要がなくなれば従来のUIに戻ることができる。これは、AIを主役にするのではなく、あくまでユーザーの選択を尊重する設計である。

 また、このエージェントは検索支援にとどまらない。

 商品探し、問い合わせ、お得情報の確認、配送状況の把握まで、Yahoo!ショッピング内のあらゆる行動をサポートする。購買データを活用し、常連客のように少ない入力から最適な提案を行う。

 さらに将来的には、Yahoo! JAPANグループ全体のサービスと連携し、データを横断的に活用することで、よりパーソナルなエージェントへと進化していく構想も示された。

これは単なる機能追加ではない。“サイト内アシスタント”から“生活圏の伴走者”へと拡張していく戦略なのである。

4. ユースケースに見る「探さなくていい世界」

例えば、通勤中にスニーカーを閲覧したとする。その後、仕事をしている間にAIが裏側で情報収集を進める。見えないところで作業をしてくれることにもなる。次にアプリを開いたときには、AIが厳選した候補が並んでいる。ユーザーが再びゼロから探し直す必要はない。

あるいは、仕事が忙しく時間がない人が「最近料理をする余裕がない」とAIに話しかける。すると、注文履歴や嗜好を踏まえた商品提案が返ってくる。さらに、ゴールデンウィークや季節イベントをAIがキャッチし、ユーザーが検索する前に商品をピックアップして通知する。

だから商品そのものを探しにいくのではなく、脇を固めて商品を買うというスタイルへ変わる。だその商品選びの入り口もその精度も変わってくるのである。だから、それらの機能によって同社が目指すのは、「探す前から欲しいものが目の前にある」状態を実現するということ。

ここで重要なのは、AIが“代行”するのは面倒な作業だけではない点だ。ラフな相談、自発的な提案、タイミング×個人嗜好の掛け合わせ。AIは、ユーザーの生活文脈に入り込みながら、判断の補助を行う。ゆえに、それを後ろ側で支えるのは彼らのグループにおけるサービスで得られたデータということになるわけだ。

5. ロードマップが示す、エージェント化の本気度

発表では、具体的なアップデート計画も明かされた。

まず提供開始後、3月には過去の購買履歴をより深く理解し、パーソナルな提案精度を高める。続いて、検索や閲覧行動に応じたインタラクティブな補足提案を実装。そして9月頃には、自発的な提案機能を本格化させ、「探す前から欲しい商品がある」状態を実現していく。

単発の機能追加ではなく、エージェントを中核に据えた体験再設計だ。

AIは万能ではない。だから、実装のさせ方は慎重になるべきだ。あくまで、判断の補助者として機能できるように、何をどこまで用意したらいいのか。これが、彼らがこの日再三口にしていたことにつながる。「買い物のストレスを軽減し、楽しさを取り戻す可能性を秘めているのがAIエージエトである」と。

だから、冒頭に話した通り、ショッピングは目的ではなくなる。何かの動作のなかで、買い物が存在し、買い物は切り離すことなく、生活と同化する。つまり、それは、彼らのいう「探す前から欲しいものが目の前にある」に直結する。

間違いなく、店舗の設計も、ネット上での買い物体験も変貌することを意味していて、その意味で、もはやAIエージェントの理解なしに、店舗運用ができない時代がもう見えているのである。

 

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