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ディズニーとOpenAIが提携|Soraを巡る契約内容を公式情報から整理

生成AIとキャラクタービジネスの関係が、大きな節目を迎えた。ウォルト・ディズニー・カンパニーは、米OpenAIと正式に提携し、動画生成AI「Sora」を巡るライセンス契約を締結したと発表した。この提携により、ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズといったブランドに属する200以上のキャラクターが、一定の条件のもとでAIによる動画生成に活用されることになる。契約期間は3年間。あわせて、ディズニーはOpenAIへの出資も行い、技術面・事業面の両側から関係を築く形を取った。

 キャラクターIPと生成AIは、これまで明確な線引きがなされないまま語られることが多かった。今回の発表は、その関係を「契約」という形で整理し、公式に位置づけたものだ。本稿では、ディズニーが何を許諾し、何を制限し、どのような枠組みでAIと向き合おうとしているのかを、公式発表に基づいて整理していく。

OpenAIとディズニーの提携とは何だったのか【要点整理】

まずは、公式発表の内容をそのまま整理します。

◆ 提携の基本構造

  • ウォルト・ディズニー・カンパニーと OpenAI が正式な提携契約を締結

  • 中心となるのは、OpenAIの動画生成AI 「Sora」 を巡るライセンス契約

  • 契約期間は 3年間

◆ 何が許諾されたのか

  • ディズニーが保有する

    Disney / Pixar / Marvel / Star Wars 各ブランドの

    200以上のキャラクターIP を対象に

  • Sora上で、キャラクターを用いた動画生成が可能になる

◆ 何が制限されているのか

  • 実写俳優の肖像

  • 俳優本人の声

  • 現実の人物に強く紐づく再現表現→ これらは 明確に対象外

◆ 資本面での関係

  • ディズニーは OpenAI に対して

    10億ドル規模の出資を実施

  • あわせて、将来株式を取得できる権利(ワラント)も取得

◆ 社内・事業での活用

  • ディズニーは OpenAI の API を自社プロダクトや業務に活用予定

  • ChatGPTを社内ツールとして導入することも明言されている

キャラクターIPと生成AI、その関係が「次の段階」に入ったという話

今回の発表は、「ディズニーがAIを使い始めた」という話ではありません。もっと正確に言うなら、キャラクターIPを、生成AIで“使っていい”と公式に線を引いたという点に意味があります。これまで、生成AIとキャラクターIPの関係は、どこか曖昧で、グレーで、「やっていいのか分からない」状態が続いていました。

・ファンアートはどこまで許されるのか

・AIが描いたキャラは二次創作なのか

・企業がそれを使っていいのか

多くの人が、手探りで避けながら進んできた領域です。

今回、ディズニーはそこに対して契約という形で、はっきりとしたルールを置いたこれがまず、非常に大きなポイントです。

「AIにIPを渡した」のではなく、「使い方を定義した」

誤解しやすい点ですが、ディズニーはキャラクターを“自由に使わせた”わけではありません。公式発表を見ると、制限はかなり明確です。

  • 実写俳優は使わない

  • 声も使わない

  • 現実の人物を再現する方向には踏み込まない

つまり、キャラクターの“象徴性”だけをAIに預けているという設計です。

これは、キャラ業界の人にとっては、とても分かりやすい判断です。

キャラクターとは、「誰かが演じた存在」ではなく「世界観と役割を背負った記号」でもある。ディズニーは、その記号としてのキャラクターAI時代にどう扱うか、を整理したとも言えます。

なぜ「Sora」だったのか

今回の中心が、テキスト生成や画像生成ではなく、動画生成AI「Sora」 だった点も重要です。

キャラクターは、

・静止画

・設定

だけではなく、動いて、間を持ち、時間を生きる存在だからです。動画は、キャラの扱いとして最も難しく、同時に最も価値が高い領域。そこに対して、「公式に」「契約で」「期限付きで」許諾したという事実は、生成AIを遊びや実験の道具ではなく、正規の表現手段として認めたという意思表示でもあります。

出資が意味するもの

もう一つ見逃せないのが、ディズニーが 出資者として OpenAI に関わった という点です。これは単なる利用契約ではありません。

  • 技術の方向性

  • 安全性

  • 運用ルール

そうしたものに、当事者として関与する立場を取ったということ。

キャラ業界の視点で言えば、

「AIは外から来た脅威」ではなく

「中に入れて、一緒に管理する存在」として扱い始めた、とも読めます。

一言で言うなら

もしこのニュースを一言で説明するなら、こうです。

キャラクターIPと生成AIが、“無断”でも“野放し”でもなく、きちんと契約された関係に入ったこれが今回の本質です。

まとめ(評価を入れずに)

  • ディズニーは、生成AIを否定も放置もせず「使い方を決めて付き合う」道を選んだ

  • キャラクターIPは、AI時代でも守られるべきものとして扱われている

  • そのうえで、新しい表現や体験の可能性が開かれた

ここまでが、公式発表から読み取れる事実です。

余計な未来予測をしなくても、

「時代が一段階進んだ」ことだけは、確かに伝わる発表だったと言えるでしょう。

今日はこの辺で。

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