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日本の生活導線がつながる日──楽天×Uberが描く“移動・食・買い物”の再設計

気づけば、僕たちの生活は細かく分断されている。移動は移動、買い物は買い物、食事は食事。アプリも違えば、ポイントも違う。当たり前の光景だからこそ、その「別々に存在している」ことを意識することは少ない。でも——もし、これらがひとつの流れとしてつながったら?

 今回の楽天とUberの提携は、その最初の扉を静かに押し開いたように思う。生活者の行動を、もっと自然に、もっと豊かにつなげていく。

そんな大きな構造の変化を、ここから感じ取ってもらえればうれしい。

楽天ポイント3.4兆円が“生活インフラ”になる日──三木谷氏が語るエコシステムの核心

今回の発表会で印象的だったのは、楽天が提示した数字の大きさではなく、その数字の“意味”だ。楽天ポイント累計3.4兆円。70以上のサービス。外部の加盟サービスも含めると5,000以上。

巨大だが、三木谷さんの語りは静かで、淡々としていた。「楽天の強みは、会員基盤とデータ。それをAIと組み合わせ、新しい価値をつくっていく」。この言葉を聞いた瞬間、僕は「経済圏は地域のインフラをも取りに行くのだな」と。

生活の“情報線”を読み解き、“最適な行動”へそっと背中を押していく存在になりつつある。移動やデリバリーフードは生活への密着度が高いからだ。

そこに、データを踏まえた顧客満足を追求する。

“楽天ぐるなびの利用から、体調に合ったベストな食事を推薦し、Uber Eatsがすぐに届ける。”これは単なる利便性ではなく、「生活の文脈を読み取る仕組み」なのだ。

食・移動・街の情報……それぞれがAIのレイヤーを通してゆるやかに結ばれる。

そして今回の連携は、その大きな構造の第一歩でしかない。生活と生活の“あいだ”がつながる未来を、楽天は確実に見据えている。

47都道府県に広がるUber──“信頼”で築いた新しい移動基盤

Uber 側の話には、どこか人間くささがあった。Uber Taxiは47都道府県へ。タクシー事業者は1000社に増え、ビジネスは2021年比で10倍。これだけ聞くと“テクノロジーが一気に広げた”ように見える。

でも同社は、理由をこう語った。

「タクシー事業者や運転手の皆さまと、丁寧に信頼関係を積み重ねてきた結果です」

プラットフォームはテクノロジーで動くけれど、最後に人を動かすのはいつだって“人間”だ。そしてここに楽天が加わった。Uberに乗ると、楽天ポイント。

楽天ペイで払えばさらに還元。Uber Oneなら10%のクレジット。しかも、Uberで貯まる楽天ポイントは“Uberが負担する”という。生活者の“ちょっとした選択”の積み重ねが、大きな行動変容を生む。

そう思わせる仕組みが、静かに、しかし確実に形になっていた。同社の「Uberを選ばない理由がなくなった」という言葉は、強気というより、ただの事実を淡々と言ったように聞こえた。

Uber Eatsが描く“3A戦略”──Anything・Anywhere・Affordable の先にある未来

Uber Eatsが掲げた「3A戦略」は非常に分かりやすい。

Anything 欲しいものが、すぐ手に入る。飲食だけではなく、スーパーも、コンビニも、ドラッグストアも。いまや生活の大部分をUber Eatsがカバーし始めている。

Anywhere 全国津々浦々へ。100都市以上での新規展開。12万の加盟店、12万の配達パートナー。これだけ広がると、“サービス”というより“街のインフラ”だ。

Affordable もっとお得に。そして今回は、楽天ポイントが本格的に入り込んできた。ダラ氏の言葉が象徴的だった。

「デリバリーマーケットは縮小していません。むしろ過去最高です」

つまり、Uber Eatsは“特別な選択”から“日常の選択”へ移り変わりつつある。今回の連携で、ポイントは二重で貯まり、将来的には楽天ポイントが使えるようになる。食の導線が、買い物や移動と同じ価値回路の中に流れ込む。

生活がひとつの線としてつながる未来が、ここでも見えてくる。

楽天ペイメントが示した生活の再構築──ポイントがつなぐ「1日の物語」

楽天ペイメントの小林さんが示した「自分の1日」は、とても象徴的だった。空港からUberへ。目的地で買い物をし、再びUberで帰宅し、夜はUber Eats。

そのすべてでポイントが貯まり、キャンペーンを併用すると1日で2000ポイントを超える。一見「お得ですね」で終わりそうな話だが、大事なのは、それは“生活のバラバラだった行動が、一つの価値の流れとして統合されていく瞬間”だった。

移動、買い物、食事。ここの掛け合わせの中で、快適さの向上を、俯瞰して、一体で見れる事が大事なのだ。

きっかけは、ポイントという“共通の価値軸”ではありつつも、AIやデータの利活用で、生活が再構築されていく。

Uberもそこに可能性を感じているのだろう。その証拠に、「Uberで貯まる楽天ポイントは、Uberが負担します」

企業側が“生活者の時間と選択”を尊重し、その価値を引き受けていく姿勢が見える。そこに、これからの暮らしの在り方が透けて見えた気がした。

Uberと楽天。生活者の“導線”をつなぐ二つの企業が並んだとき、日常は静かに、しかし確実に更新されていく。

今日はこの辺で。

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