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メルカリ「グローバルアプリ」で越境ECを加速──世界共通体験が常識になる時代へ

「越境EC」という言葉が珍しくなくなった今、私たちは世界をひとつの市場として考えることが当たり前になりつつあります。モノや文化が国境を越えて流通することは、もはや大企業だけの専売特許ではありません。むしろ、誰もがスマホ一つで国境を越えられる時代が到来しているのです。そんな中、フリマアプリ「メルカリ」が新たに打ち出した「グローバルアプリ」は、単なるアプリの刷新ではなく、国や地域を超えた「共通体験」を生み出す挑戦に見えます。本稿では、この発表をフラットに見つめながら、越境取引の持つ意味と時代性を整理していきます。

1. 越境取引は“特別”から“日常”へ

かつて越境取引といえば、専門の物流業者や大手プラットフォームを経由しなければ難しいものでした。

しかし今や、国境を越えてモノが動くのは日常の風景になりつつあります。背景にあるのは、世界規模で広がるEC市場の拡大です。経済産業省の推計によれば、2024年の1.01兆ドルから2034年には6.72兆ドルへと成長する見通し。

年平均成長率23%という数字は、もはや一過性ではなく構造的な変化を示しています。消費者にとっても「海外の商品を買う」ことは特別な行為ではなく、日々の選択肢の一つへと変わっています。こうした潮流に、メルカリがどう応えるのかは大きな注目点です。

2. メルカリが掲げる“世界共通のプラットフォーム”

今回発表された「メルカリ グローバルアプリ」は、そこへ回答として用意されたものと言っていいでしょう。

単なる翻訳機能付きアプリではなく、言語や決済の壁を取り払い、誰もが「同じUI/UX」で買い物できる世界共通アプリです。累計40億品以上の商品データを抱える日本版メルカリの強みをそのまま海外に接続する設計は、「越境」を感じさせないシームレスな体験を志向しています。

特に注目すべきは、配送から検品までをメルカリが一気通貫で担うという点です。これは「届くのか」「品質は大丈夫か」という、越境EC特有の不安を取り除くもの。アプリが一つの“国境なき商店街”として機能する未来を垣間見ることができます。

3. 国内事業者にとっての“最初の一歩”をどう支えるか

しかし、越境ECが広がる中で課題も存在します。国内の中小事業者にとって、海外進出は「興味はあるが、最初の一歩が踏み出せない」という声が多いのが現実です。

言語、通関、決済、顧客対応──これらは本来なら大きなハードルです。メルカリは今回の戦略で、これらを代替する仕組み「グローバルEC基盤」を提示しました。国内で「メルカリShops」に商品を並べるだけで、そのまま海外販売につながるという仕組みは、事業者にとって心理的にも実務的にも負担を軽減します。売り手が本業に集中できる環境を整えることは、越境を「持続可能な選択肢」に変える第一歩といえます。

4. エンタメ・ホビーが牽引する新しい文化流通

今回の戦略の中で、特に強調されているのが「エンタメ・ホビー」領域です。

日本のアニメやキャラクター、ホビー商品は世界的に人気が高く、越境取引の中心的なカテゴリーになり得ます。メルカリは予約販売やオークション機能を導入し、コンテンツ権利元企業とも連携していく方針を示しました。これは単なる物流や販売の話ではなく、日本発のカルチャーをグローバルに届ける“文化流通”の意味合いを持ちます。越境ECが単に「モノを売る仕組み」から「カルチャーを共有する仕組み」へと変わっていく、その転換点にあるのです。

5. 世界共通アプリが描く「一つの市場」という未来

台湾と香港でスタートしたグローバルアプリは、今後3年以内に50以上の国と地域へ拡大する計画です。

ここで問われるのは、単なる展開スピードではなく「共通体験」をいかに世界へ広げるかという視点です。言語や通貨が違っても、同じデザイン、同じルールで取引できることは、利用者に安心感を与えます。国や地域を超えて共通の買い物体験が積み重なることで、消費者は「国境の内外」を意識しなくなるでしょう。世界が一つの市場として自然に受け入れられる日常。その延長線上に、この戦略の意義があるのだと思います。

6. 越境ECを“当たり前”にする時代の到来

メルカリが打ち出した新戦略は、壮大に見えて実はシンプルな問いかけをしています。それは「世界を一つとして考えることは、もう常識になりつつあるのではないか」ということです。人々がスマホ一つで世界中の商品にアクセスできるのに、売り手側が国境を言い訳にする時代は終わろうとしています。

もちろん課題は残りますが、消費者も事業者も「越境」を特別視しなくなる未来はすぐそこまで来ています。メルカリの挑戦を通じて見えてくるのは、越境ECを“当たり前”にする時代の始まり──そして、それを支える仕組みを誰が作るのかという競争の始まりなのです。

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