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渋谷で「あんときミックス」実現 野田大介の挑戦が形に

《あんときミックス Let me Release Party》が9月3日、渋谷のBX CAFEで開催されることが発表された。イベントは2000年代前半の音楽シーンを再現するクラブパーティとして構想されており、MIX CDのリリースを控えた布石とも位置付けられている。さらに注目すべきは、チケットを街頭、具体的には渋谷センター街で直接配布する形式を採用する点だ。デジタル全盛のいま、リアルな場にこだわる姿勢は異彩を放っている。

本論1(新展開)

今回の発表で大きな意味を持つのは、「音楽の現場」に人々を呼び戻そうとする試みである。オンライン配信が主流となり、手軽さや利便性が最優先される中、あえてフィジカルなMIX CDの存在を中心に据えることは逆行とも見える。しかし、そこには“あの頃”を体験した世代が再び熱狂を共有できる舞台を用意する狙いがある。さらに、チケットを街頭で手渡しするという行為は、思いがけない出会いや会話を生み、2000年代のクラブカルチャーが持っていた偶発性や熱量を現代に呼び戻す仕掛けといえる。

本論2(背景)

145マガジンで以前取り上げられた記事では、Fanatic代表の野田大介氏が「廃棄や手間といった逆境を武器に変える」という思想を語っていた。効率性を優先しがちな社会のなかで、あえて「不便」や「非効率」に価値を見出す姿勢はユニークであり、そこから新しい熱狂やコミュニティを生み出そうとする意志が読み取れる。デジタルによる最適化が進む一方で削ぎ落とされてしまった人と人との接点を取り戻すことにこそ、野田氏のビジネスとカルチャーの哲学があった。

接続

今回の「あんときミックス」パーティは、まさにその思想を音楽シーンに持ち込んだ実践例だといえる。CDというフィジカルメディアを軸に据え、街頭配布という「不便」を選択することで、かつての熱狂を現代に再演する。それは単なる懐古ではなく、デジタルが切り捨てた要素を再評価し、新しい価値を創り出す試みである。野田氏が語ってきた哲学の延長線上に、このイベントが存在していることは明らかだ。

体験レポート(筆者の感想)

実際に私も野田さんに誘っていただき、《あんときミックス》に参加してきた。会場にはかつてのagehaメンバーが集まり、フロアは開始から熱気に包まれていた。正直、みんなノリノリで、少し自分が浮いているのでは…と感じる場面もあったが(笑)、その一体感こそがクラブカルチャーの醍醐味だと改めて実感した。

特に面白かったのは、チケットの仕組みだ。参加するにはネットでパーティ券を申し込み、受け取りは街頭で行うという形式。実際にセンター街で手渡される体験は、デジタル完結では得られない“物語”を伴っており、「パー券が街で手渡しされる未来」という演出に強く惹かれた。単なる入場手段ではなく、参加前からイベントの一部を体験できる仕掛けになっていて、とてもグッドだった。

まとめ

9月3日に渋谷で開かれるリリースパーティは、単なるイベント告知にとどまらず、「逆境を武器にする」という思想を社会に投げかける実験でもある。果たして2000年代の空気を再現するだけでなく、そこから新しい熱狂が生まれるのか。その答えは当日の現場で確かめられるだろう。MIX CDの展開や今後の仕掛けについては続報待ちとなるが、今回の試みが持つ象徴性は大きい。

出典

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