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J.フロント決算で見る「百貨店の今」と「PARCOの快進撃」2025年春ー2026年2月期 第1四半期を読み解く

百貨店の「大丸」や「松坂屋」、そして「PARCO(パルコ)」を展開するJ.フロントリテイリング。この会社が出した最新の決算(2026年2月期 第1四半期=2025年3〜5月)は、“どんなモノが売れて、何にお金を使って、いま何に挑戦しているのか”を表す「会社の通信簿」のようなもの。ニュースで「売上が増えた」とか「利益が減った」とか目にするけれど、その背景には、実はリアルな私たちの暮らしとリンクする「人の動き」「街の変化」「お金の流れ」があります。

 J.フロントの決算でも、その一端をやさしく伝えていくことにしましょう。

1|全体としては「売上増」──でも「利益」は減りました

まず、ざっくりまとめるとこんな感じです。

  • **売上(モノが売れた金額)**は:前年より【約93億円増】の1,108億円(+9.2%)

  • **利益(最終的に手元に残ったお金)**は:前年より【約8億円減】の104億円(▲7.4%)

「えっ、売れてるのに、利益が減ってるの?」と思うかもしれません。

そのカギを握るのが、会社の中でもっとも規模が大きい“百貨店事業”です。

2|百貨店は「国内では堅調」だけど「免税売上」が落ち込みました

百貨店の売上は、前年比で1.6%ほど増えました。

国内の常連のお客様や富裕層向けの“外商イベント”が好調だったことが影響しています。でも、その一方で「免税売上」がなんと【▲24%】も減ってしまったのです。

▼ 免税売上が落ちた理由

  • 来店する外国人の数は増えている(前年比+14%)

  • でも、1人あたりの買い物金額が減った(前年比▲33%)

 つまり、「人は戻ってきたけど、高い買い物をする人が減った」という状況なんですね。特に、円安や政治的な影響で中国人観光客の消費行動が大きく変化しているようです。

3|そんな中、「SC(ショッピングセンター)」と「開発(デベロッパー)」は大健闘!

面白いのが、百貨店以外の事業は元気だということ。

◎ PARCOなどを含む「SC事業」

  • 渋谷・心斎橋・名古屋のPARCOが大好調

  • インバウンド(訪日外国人)の取扱高も拡大中

  • 売上収益:前年比+4.8%

  • 営業利益:前年比+39%!

 特に心斎橋PARCOでは、韓国ブランドとのタイアップやキャラクターイベントなど“来たくなる理由”が満載で、若年層やインバウンドを惹きつけていました。

◎ ビルや空間づくりの「デベロッパー事業」

  • 名古屋栄や心斎橋の再開発が進行中

  • 建装や内装の受注も好調

  • 売上:前年比+38%、利益も大幅増

いわば、「人が集まる街をつくる」仕事が成長を支えているというわけです。

4|意外と落ち込んだのが「決済・金融事業」

この会社、実はクレジットカードの発行・管理も行っていて、

PARCOカードや大丸松坂屋カードなどを手がけています。ただ、今回はその事業がちょっと苦戦。

  • 売上:前年より▲1.5%

  • 利益:前年より▲76%(ほぼ赤字レベル)

なぜか?

カードを使ってくれる人を増やすために広告やキャンペーンなどで費用がかさんだのです。投資のタイミングだと見れば前向きにも捉えられますが、短期的には利益にマイナスに出ています。

5|キャッシュフローはマイナス──お金の出入りは「支出超」

会社にとってもお財布事情は大事なポイント。

今回は──

  • 営業活動(本業):41億円のマイナス(法人税の支払いが増えた)

  • 投資活動:6億円のマイナス(建物などの投資が継続中)

  • 財務活動:127億円のマイナス(社債発行などで一部改善)

最終的に、現金は「177億円」減ってしまいました。

次の四半期では、この“キャッシュ”をどう回復させていくかも注目ですね。

結びに:暮らしの変化と、企業の舵取り

百貨店の売れ行きに悩みながらも、SCや不動産といった新しい「柱」をしっかり育てているJ.フロント リテイリング。

「大丸や松坂屋に行く人が減ってる」と感じたら、「じゃあ、PARCOにどう呼ぶか?」や「どんな街をつくるか?」に本気で向き合っている。

たかが決算、されど決算。ここからも、日本の小売や商業施設の変化、そして“街の未来”が見えてきます。

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