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『火垂るの墓』Netflixで日本初配信へ──スタジオジブリ、夏に届ける静かな祈り

それは、見るたびに胸が締めつけられる物語。

でも、なぜか毎年夏が近づくと、もう一度観たくなる。

戦争の悲劇、家族の絆、そして生きるということ──

高畑勲監督による名作アニメーション映画『火垂るの墓』が、2025年7月15日(火)からついにNetflixで日本初配信されることが発表されました 。

海外ではすでに配信され大きな反響を呼んだこの作品が、ようやく国内の視聴者のもとへ。

「ジブリ作品で唯一、国内配信されていなかった」と言われたこの映画が、なぜ今なのか。その背景と意義を改めて辿ってみたいと思います。

世界中が涙した“ジブリの異端”が、ついに日本でも

『火垂るの墓』は、1988年に公開されたスタジオジブリ作品の中でも、異色の存在として語られ続けてきました。戦時下の日本を舞台に、幼い兄妹が懸命に生き抜こうとする姿を描いた物語は、そのリアルで容赦のない描写が話題を呼び、公開当時から多くの議論を巻き起こしました。

そんな本作が、昨年2024年9月からNetflixを通じて世界190ヵ国以上で配信され、配信初週でNetflixグローバルTOP10(非英語映画部門)第7位にランクイン。SNSを中心に「世界中で泣いた」「心を抉られた」といった声が広がり、再び注目を集めたのです 。

そして2025年、ついに日本でも配信が始まります。これはNetflixがスタジオジブリ作品を日本国内で初めて配信するという、まさに“歴史的な一歩”でもあります。

“80年経っても消えない戦火”に、物語が灯す光

原作は、直木賞作家・野坂昭如による同名小説。自らの戦争体験を元に描かれたこの物語には、「忘れてはいけない記憶」が込められています。

新潮社・コンテンツ事業室の矢代室長は、今回の日本配信に際し、「夏が来るたびに見ようと思う。そして誰かに勧めたくなる。戦火がやまない今の時代に、国や民族を超えて人々の心に染み渡っている」と語ります 。

どんなに時代が変わっても、戦争が遠い過去のことにならなくても。

この映画は、静かに、でも確実に、誰かの心に届いていくのです。

ジブリ作品とNetflix、信頼のパートナーシップが導いた答え

Netflixは2020年からスタジオジブリ作品の世界配信を手がけてきました。『千と千尋の神隠し』や『となりのトトロ』など、多くの作品が海外ユーザーに届くなか、『火垂るの墓』だけが長らく日本未配信の状態にありました。

「日本の視聴者にも届けたかった」──Netflixコンテンツ部門 VPの坂本和隆氏は、今回の国内初配信の実現に「本当に嬉しく思っている」とコメント。

世界での評価を追い風に、日本の家庭でもこの作品を観て語り合ってほしいと話します 。

今やNetflixの会員の半数以上がアニメを観ており、その視聴時間は過去5年間で3倍以上に伸びているというデータも。その熱狂が『火垂るの墓』をもう一度、生活の中に呼び戻してくれそうです。

灯りを受け取る

僕たちは、またひとつの“灯り”を受け取った。

それは、スクリーン越しに語られる声なき叫び。

そして、忘れないための物語。

この夏、誰かと一緒に、あの日を想う時間を持ってみませんか。

今日はこの辺で。

© 野坂昭如/新潮社, 1988 

『アメリカひじき・火垂るの墓』 野坂昭如 | 新潮社 

Netflix参考:鎖国を破ったのは“黒船”Netflixだった──世界へ羽ばたく日本アニメ、その現在地と未来図

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