フォーエバー21、再び破産手続きへ：200店舗以上の閉鎖計画 再度の破綻危機
かつて世界中で800店舗以上を展開し、若者向けファストファッションの象徴的存在であった「フォーエバー21」が、再び経営破綻の危機に直面しています。報道によれば、同社は米国内で200店舗以上の追加閉鎖を準備しており、来月にも2度目の破産手続きを開始する可能性があるとのことです。なぜ、かつて成功を収めたブランドが短期間で再び破綻の瀬戸際に立たされているのでしょうか。本記事では、フォーエバー21の経営戦略上の問題点、ファッション業界全体の変化、そして同様の困難に直面した他ブランドの事例と対応策について探ります。
経営戦略の誤算：過剰拡大とデジタル対応の遅れ
フォーエバー21は、低価格でトレンド性の高い衣料品を大量生産・販売するビジネスモデルで急成長しました。しかし、その成功体験が経営判断の誤りにつながったと考えられます。
最大の問題は、過剰な店舗拡大でした。2010年代半ば、他社が店舗縮小を進める中、フォーエバー21は大型店の出店を積極的に行い、ラスベガスやニューヨークのタイムズスクエアなどに巨大店舗を開設しました。しかし、これらの店舗は高額な賃料や運営コストがかかり、売上が減少するとともに財務的な負担となりました。結果として、2019年の破産時には350店舗以上を閉鎖し、今回の2度目の破産ではさらに200店舗の閉鎖を計画しています。
さらに、デジタル戦略の遅れも致命的でした。主要顧客である若年層はオンラインでの購買を好む傾向が強まっていましたが、フォーエバー21は電子商取引（EC）への対応が遅れました。その間に、ASOSやFashion Novaといったオンライン特化型ブランドが台頭し、ZARAやH&MもECと実店舗の融合を進めました。フォーエバー21はこの変化に適応できず、競争力を失いました。
時代の変化：消費者の価値観と競争環境の変化
フォーエバー21の失敗は、同社固有の戦略ミスだけでなく、ファッション業界全体の環境変化にも大きく影響されています。
1. 消費者の価値観の変化
ミレニアル世代やZ世代の消費者は、環境への意識が高まり、**サステナビリティ（持続可能性）**を重視するようになっています。使い捨て型のファストファッションに対する批判が強まり、古着のリメイクやリセール（二次販売）市場が成長しています。フォーエバー21はこのトレンドに対応できず、時代遅れのブランドと見なされるようになりました。
2. 競争環境の激変
新たな競合として、中国発のオンライン専業ブランド**SHEIN（シーイン）**が急速に台頭しました。SHEINは低価格と超高速サプライチェーンを武器に、オンライン上で圧倒的な品揃えを提供し、特にZ世代の支持を集めています。フォーエバー21はこの新たな競争相手に対抗する術を見つけられず、市場シェアを奪われました。
同様の事例：他ブランドの破綻と再生
フォーエバー21の苦境は特異なものではなく、他のファッションブランドも同様の道を辿っています。
• チャーロット・ルース（Charlotte Russe）：2019年に破産し全店舗閉鎖を発表しましたが、カナダのYMインクがブランドを買収し、一部店舗を再オープンさせました。
• トップショップ（Topshop）：親会社であるアルカディア・グループの破綻に伴い、ブランドはオンライン小売業者のASOSに買収され、実店舗はすべて閉鎖されました。現在はオンライン限定で展開されています。
• アメリカンアパレル（American Apparel）：経営不振とスキャンダルにより2度の破産を経験し、最終的にカナダのGildanがブランド資産を買収しました。実店舗はすべて閉鎖され、現在はオンライン限定で展開されています。
フォーエバー21も2019年の破産後、Authentic Brands Group（ABG）に買収され、ブランドの存続を図ってきましたが、再建策は十分に機能せず、今回の2度目の破産手続き検討に至っています。
終わりに：ファストファッションの光と影
フォーエバー21の二度にわたる経営破綻は、ファストファッション業界の栄光と挫折を象徴しています。かつては「安くてトレンドを取り入れられる」ことが魅力でしたが、消費者の価値観の変化や競争環境の激変に適応できなかったブランドは淘汰される運命にあります。
しかし、破産が必ずしもブランドの終焉を意味するわけではありません。上述の事例のように、オンライン特化や他企業による買収などで再生の道を探るケースもあります。フォーエバー21も新たな形での復活が期待されるのか、それとも歴史の中に埋もれていくのか、今後の展開が注目されます。
参考資料：
• Bloomberg News: “Forever 21 Plans Hundreds of Store Closures in Second Bankruptcy” (2025年2月19日)
• Reuters: “Forever 21 plans nearly 200 store closures in second bankruptcy” (2025年2月19日)
• CT Insider: “Three of six Forever 21 Connecticut stores to close amid bankruptcy talks