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日本郵便と西濃運輸の共同配送—必要性、課題と社会的メリット

物流フルフィルメント

2024年問題が物流業界に迫りつつあります。労働力不足や人件費・運賃の上昇、積載効率の低下など、業界全体で大きな課題に直面しており、企業単独での解決には限界があります。これを受けて、日本郵便と西濃運輸は共同配送の取り組みをスタートしました。国際物流総合展でセミナーが行われ、企業の垣根を超えた「共創」の実現について、ローランド・ベルガー小野塚 征志さんのモデレートのもと、両社が語り始めました。協業により、どう業界全体での効率化を図っていくというのでしょうか。

なぜ日本郵便と西濃運輸なのか

両社が協力する理由は、純粋にお互い考え方が近いところにあったからです。

つまり、日本郵便グループには「共創プラットフォーム」、セイノーグループには「オープンプラットフォーム」という方向性があり、両者の考えは合致していました。また、日本郵便は全国を網羅する安定した配送ネットワークを持ち、西濃運輸は多様な物流ネットワークを展開しています。最終的には、協業により、物流の効率を最大限に引き出しつつ、コスト削減や配送スピードの向上が見込まれています。

日本郵便と西濃運輸は2024年の2月から共同配送のトライアルを開始し、8つの区間で試験を重ねてきました。トライアルを通じて浮かび上がった課題の一つは、両社が取り扱う荷物の性質が異なるため、効率的に積載を行うことが難しいという点でした。さらに、両社の荷物の積載率が低い区間が重なるケースが少なく、効率化を図るためのマッチングに課題がありました。

課題への対応策

これらの課題に対して、両社はトライアルを重ねることで、オペレーションの最適化を進めてきました。特に、配送区間の拡大と運行ルートの調整が行われ、現在では11区間での共同運行が実現しています。また、共同配送を円滑に進めるための新たなシステム構築や、配送情報のリアルタイムでの共有を強化する取り組みが進行中です。今後は、さらなる区間拡大に加え、他の事業者も参加できるオープンな物流プラットフォームとしての発展が期待されています。

社会的メリットと今後の展望

共同配送がもたらす社会的メリットは多岐にわたります。まず、輸送効率の向上により、物流業界全体のコスト削減が見込まれます。これにより消費者にもメリットが及び、配送スピードの向上やコスト削減が期待されます。また、共同配送による環境負荷の軽減も重要なポイントです。車両の稼働率を高めることで、二酸化炭素の排出量を抑え、持続可能な物流が実現します。

さらに、この取り組みは、単なる両社の協業に留まらず、他の物流業者や関連企業が参加可能なオープンパブリックプラットフォームとして進化させていく計画です。

政府が推進する「フィジカルインターネット構想」とも連携。2030年までに新たな物流インフラの基盤を整備し、2040年までに完全なフィジカルインターネットの実現を目指しています。この新しい物流インフラの実現により、業界全体が協力して効率化を進めることで、社会に貢献できるより優れた物流サービスの提供が可能になります。

持続可能な物流インフラの構築

物流業界にとって重要な課題は、持続可能なインフラの構築です。日本郵便と西濃運輸の共同配送は、その先駆けとなる取り組みといえます。

現在は11区間での共同配送が実施されていますが、今後はさらに他の企業も参加しやすい形での運行体制の整備が進められています。また、ドライバーの教育や育成、トラックのメンテナンスといった支援インフラの共有も検討されており、物流の効率化がさらに進むと期待されています 。政府の支援も受けながら、フィジカルインターネット構想と連携し、より大きな規模での物流効率化を実現していくことが期待されているのです。

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