EC事業者の価格転嫁に関する調査結果と今後の対応策 Eストアー調べ
株式会社Eストアーは、2024年8月5日から16日にかけて、同社のECサイト構築サービス「Eストアーショップサーブ」を利用する事業者を対象に、「商品の値上げ」に関するアンケートを実施しました。646件の有効回答を得たこの調査では、2023年以降に商品の値上げを実施した事業者が全体の80%に達していることが明らかになりました。
値上げの主な理由とその背景
値上げを行った理由として、最も多かったのは「仕入れ価格・原材料費の高騰」(98%)で、次いで「人件費など、事業運営に係る費用の上昇」(35%)が挙げられました。また、「円安の影響」や「メーカーからの価格改定要請」、「配送料や光熱費の値上げ」、「最低賃金の引き上げ」なども、値上げの背景にあることが示されています。これらの要因は、EC事業者が事業環境の変化に対応するために価格転嫁を選択せざるを得ない状況を反映しています。
値上げ幅とその影響
調査結果によると、値上げを行った事業者の90%が、元の価格から20%以下の値上げを実施しており、その半数以上が10%以下の値上げに留まっています。また、56%の事業者が値上げ後の販売個数に「影響はない」と回答しており、一部の事業者は他の商品を推奨するなどして、販売個数の減少を補う工夫を行っています。
値上げを行わない理由
一方で、値上げを行っていない事業者の中では、「値上げをすると売れなくなる」(28%)や「お客様からの反発がある」(12%)といった理由から、価格改定に踏み切れない状況が見られました。これらの事業者の一部は、2022年以前にすでに値上げを実施していたこともわかりました。
今後の値上げに対する意向
値上げを実施した事業者の85%は、今後も必要に応じて値上げを行うと回答しています。一方で、値上げを行わなかった事業者の38%も、今後は商品の値上げを検討していることが明らかになりました。値上げを検討する際の主要な要因としては、「仕入れ価格や原材料費の上昇」が挙げられ、これがトリガーとなることが多いようです。
適切な価格転嫁を実現するために
今回の調査では、事業規模や商品ジャンルによる極端な回答の偏りは見られませんでしたが、価格転嫁に関する課題は依然として残っています。消費者の反発や販売個数への影響を考慮すると、値上げに慎重な事業者も少なくありません。今後の価格改定に際しては、販売個数の減少や顧客反応を事前に予測し、柔軟な対応策を用意しておくことが、成功の鍵となるでしょう。