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新しい「空間」の使い方──Apple Vision Proがもたらす展示体験の未来

私たちは長い間、現実の空間を「物理的に何かを設置する場所」として捉えてきました。しかし、Apple Vision Proの登場によって、その固定観念に変化が生まれつつあります。今まで当たり前と思われていた空間が、デジタルを介した“別の使い道”として提案され始めているのです。ここでは、MESONと東京ガスが共同で行った、Apple Vision Pro向け展示体験アプリの試験導入を通じて、その最前線をのぞいてみましょう。新しい技術をどう活かし、どのように時代が変化していくのか。空間の再定義に向けた模索が、いままさに始まっています。

1. 空間を「デジタルで拡張」する視点

Apple Vision Proが作り出す新たな可能性

従来、展示会といえば「ブース内に製品やパネルなどを設置する」ことが定番でした。

 しかし、Apple Vision Proのように複合現実(MR)や拡張現実(AR)を介在させることで、物理的なブースの大きさや形状の制約を超えた体験を提供できます。たとえば、実物を置くスペースが限られていても、バーチャル空間上で大規模な装置の内部構造や操作感を再現可能。これまで不可能だった“その場では見ることができない”ディテールを、デジタルの力で拡張して見せることができるのです。

MESONが開発した展示体験アプリとは

そんな新しい時代の到来を象徴するのが、MESONの展示体験アプリです。Apple Vision Proを用いることで、ブースの来場者が2つの視点を自由に切り替えながら製品を理解できる仕組みを導入しました。

俯瞰モード(Bird’s eye view)

3Dモデルを自由に移動・回転させ、全体の形状や構造を直感的に捉えられます。製品の大きさや配置イメージを把握したいときに有用です。

没入モード(Immersive view)

3Dモデルの中に入り込み、自分がその空間に存在するような視点で詳細を確認できます。装置の内部構造や機能を、まるで現地で体感するかのようなリアルさで理解できる点が特徴です。

2. 試験導入で浮かび上がった体験価値

東京ガスブースでの実証実験

2024年6月3日から3日間、東京ビッグサイトで開催された「第6回 Japan Energy Summit & Exhibition 2024」の東京ガスブースにて、本アプリが試験導入されました。ブースの来場者はヘッドセットを装着し、まるで未来の展示会に迷い込んだかのような感覚を味わったといいます。

  • 多くの参加者に体験いただき、各社メディアからの取材も多数
  • 単なる展示物以上に“デジタル空間体験”が注目の的に

リアルの空間とデジタル空間をシームレスにつなぐことで、ブースの限られた物理的スペースから飛び出した体験が可能になったのです。

3. いま求められる空間の再定義

物理的制限を超える「展示」のあり方

展示の世界では、これまで“実機やモックアップをどこに置くか”が重要な課題でした。しかし、Apple Vision Proのようなデバイスを活用すれば、広大な設備であっても、あるいは巨大な発電所の内部など本来ならば見学が困難な場所であっても、あたかもその場にいるかのように再現が可能となります。こうした動きは“空間をどう使うか”という根源的なテーマに、新しい選択肢をもたらしています。

時代が後押しするイノベーション

かつては「リアルの場所に物を置く」ことが当たり前でした。しかし、いまの時代は現実とデジタルのあいだをシームレスにつなげることで、展示会やショールーム、さらには教育、医療など多分野へ活用可能なソリューションを模索する動きが加速しています。MESONと東京ガスの実験が示すように、“どこに何をどう置くか”という発想だけでなく、“デジタルでどこまで拡張できるか”という新たな発想が求められているのです。

4. 今後の展望――広がる3Dプレゼンテーションの可能性

MESONは今回の導入実験で得られたフィードバックをもとに、機能の改良を進めていくとのこと。展示会やブースだけでなく、建築や都市開発、教育、さらには遠隔医療分野など、応用が期待される領域は多岐にわたります。今後は幅広い業種の企業が、この3Dプレゼンテーションツールを「パッケージ」として活用できるよう提供を目指すとのことで、さらに利用のハードルが下がると見込まれます。

【結び】

Apple Vision Proを活用した展示体験アプリは、単なる技術進歩にとどまりません。私たちが当たり前と思ってきた“リアル空間の使い方”そのものを根底から見直す機会を生み出しています。どこにいても“その場所”を仮想的に再現できるという発想は、既に身近なものになりつつあるのです。空間に対して新たな視点を得た私たちは、これからどのような未来を描いていくのでしょうか。いまこそ、私たちの想像力を試す時代がやってきています。

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