小売の転換期に挑む丸井とツクルバの業務提携 住環境への挑戦
丸井 の根本は金融であり、それを土台にした小売業であった。金融を有効活用して、後払いを定着。小売の繁盛につなげて、商業施設での事業の成功を作り上げてきた。ただ、時代に合わせて変容する彼らは、近年の急激な小売環境の変化に伴い、一歩先を見据えている。2020年7月30日(木)に、株式会社丸井グループは株式会社 ツクルバ と資本業務提携を締結したと発表したのだ。
1. 背景:金融から始まった丸井の小売事業
• 金融を基盤にした小売の発展
丸井はもともと金融事業に強みを持ち、その仕組みを活用して後払いサービスを普及させてきた。これにより小売の繁盛を後押しし、商業施設の成功を築き上げてきた。
• 環境変化への対応
近年の急激な小売環境の変化を受け、丸井は従来のビジネスモデルに留まらず、新たな展開を模索している。
2. 丸井とツクルバの資本・業務提携
• 発表の概要
2020年7月30日、リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」やシェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」を展開する株式会社ツクルバが、株式会社丸井グループとの資本・業務提携を発表。
• 双方の強み
• ツクルバ
- • 「cowcamo」を通じて得た住環境への知見
- • シェアードワークプレイス事業やオフィス設計ノウハウ
• 丸井グループ
- • 720万人超の会員を擁する「エポスカード」を中心としたフィンテック事業
- • 30代以下の若年層会員が多く、年平均17%の成長率
3. 提携の狙い:小売と住環境の融合による新事業
• 新たなシナジー効果を狙う
カウカモなどで培ったツクルバの住環境ノウハウと、丸井のフィンテック事業(エポスカード会員など)を組み合わせることで、新規事業を開発。小売に加えて住環境領域でも顧客への提案を強化し、相乗効果を狙う。
• 具体的な取り組み
1. 丸井グループから総額7億円の出資
2. 新規事業の第一弾として、リノベーション賃貸マンションブランドを共同展開
- • ツクルバにとってはリノベーション物件プロデュース事業の拡大
- • 丸井グループにとっては顧客(エポス会員)向けの住環境サービス充実や賃貸事業の成長
4. 今後の展開:住環境×フィンテックの可能性
• カウカモ×エポスカードの連携
カウカモと丸井のフィンテック事業を組み合わせ、新たなサービスを検討。顧客のライフステージに合わせた多様な住環境や決済・金融サービスを提供し、より幅広いニーズに応える。
• 小売業の転換期に対応する丸井の戦略
- • スタートアップ企業へのポップアップショップ機会の提供
- • 新感覚小売店「b8ta(ベータ)」への出資など
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- • 既存の販売チャネルに依存せず、新たな価値を創出する投資・協業を進める
5. まとめ:小売の未来と住環境への挑戦
今回の提携は、金融を土台に小売事業を成長させてきた丸井が、急速に変化する市場で生き残るための一手として住環境に注目したことを示している。ツクルバのリノベーションやシェアードワークプレイス事業の知見と、丸井のフィンテック事業(エポスカード)とのシナジーによって、新たな収益源の創出を図る狙いがある。
今後、小売の概念がより広範囲に広がる中、丸井が築いてきた金融基盤や顧客基盤を活かしつつ、ツクルバの住環境ソリューションを取り入れることで、どのような新サービスが生まれるのか。小売の転換期にふさわしい取り組みとして、今後の動向に注目が集まっている。