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デッドスペースの活用でフードロスを解消する新たなアプローチ

私たちの周りには、一見すると何の価値も生まない「デッドスペース」が数多く存在します。しかし、AIやITの技術、そして発想次第で、そこから新たな価値を創出することができるのではないでしょうか。その代表的な事例として注目されるのが、都会の空きスペースを活用して無人の野菜ロッカーを設置し、地方の農産物を販売する「LOCKAL(ロッカル)」の取り組みです。

1. 「LOCKAL(ロッカル)」とは?

「LOCKAL」は、「LOCKER + LOCAL」の造語で、都会のカフェや店舗の空きスペースにロッカーを設置し、地方で生産された新鮮な野菜を無人販売する仕組みです。たとえば、最近では中目黒の飲食店「中目黒ラウンジ」店頭のデッドスペースを活用して、山梨県北杜市産の有機野菜を販売しています。

このモデルの大きな特徴は、売れ残っても、飲食店自身がその野菜をメニューに活用できる点にあります。農家側から見れば、売れ残りによるフードロス(食品廃棄)を最小限に抑えることができますし、店舗にとっては自店のメニューを強化する新たな仕入れルートともなります。

2. デッドスペースに新たな価値を生む

従来から地方には道路沿いや農家の敷地内などに無人の野菜売り場がありました。しかし、都会では販売スペースが限られ、野菜の直売といえば市場やマルシェなどが一般的でした。そこへ「LOCKAL」のようなロッカーを設置することで、“売り場”という枠に捉われない新たな販売チャネルを提供できるようになったのです。

この点は、小売店であっても“実際に売る”ことよりも“場を提供する”ことに重きを置く、「b8ta(ベータ)」の店舗モデルと似ています。b8taは商品を買いに来るお客をメインの顧客とせず、むしろメーカー側に「売り場」という場を提供しています。同じ“売り場”でも、捉え方を変えるだけで新しいビジネスモデルが生まれるのです。

3. フードロス削減とコロナ時代への対応

コロナ禍により、農家は従来の販路では大量廃棄のリスクにさらされるケースも増えました。生産量や需要の予測が難しい状況が続くからです。こうした状況だからこそ、売り方を柔軟に変え、フードロスを最小化する取り組みが求められています。無人販売ロッカーを活用すれば、需要の変動に合わせて野菜を流通させやすくなり、結果的に廃棄リスクを抑えられます。

4. 企業連携による新たな価値創造

このような新しい販売モデルは、既存の企業との連携でも活かされています。たとえば、コンビニ大手のローソンでは、クックパッドマートで購入した生鮮食品を店舗で受け取れるサービスを始めています。もともと別々の価値観で動いていた「コンビニ」と「生鮮食品EC」を結びつけることで、利用者の利便性が高まり、新たな顧客体験を生み出しているのです。

このように、企業が自分たちの持つリソースを見直し、別の事業者とのコラボレーションや既存の枠組みを超えたアイデアを取り入れることで、より多くの人々にとって便利で持続可能な仕組みが広がっていきます。

5. まとめ

  • デッドスペースは、アイデア次第で有用なスペースに変えられる。
  • • 「LOCKAL」のような無人販売ロッカーの仕組みは、飲食店が持つ空きスペースを有効活用しつつ、フードロス削減にも貢献する。
  • • 売り場の概念を拡張し、従来は切り離されていたものを結びつけることで、新たなビジネスモデルや利便性が生まれる。
  • • コロナ時代においては、農家も既存のやり方だけに縛られない柔軟な販売方法が必要になる。
  • • 企業も自らの強みを再定義し、他社サービスとの連携などを通じて、新たな価値を生み出す取り組みが求められる。

私たちが「当たり前」と思い込んでいる仕組みや場所でも、見方を変えるだけでまったく新しい価値を生み出すことができます。デッドスペースの活用やフードロスの削減は、これからの時代、あらゆる分野においてますます重要なテーマになっていくでしょう。

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