自社オンラインストアの需要は増えているのだな、と痛感。株式会社 フューチャーショップ が運営するSaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」シリーズ2020年10月〜12月の流通額は451億円(昨対比152.51%)だったと発表した。
自社オンライストアというとBASEなどを連想しがちであるが、それは本当の初心者を筆頭に店舗数の拡大という点が注目されるのに対して、フューチャーショップはある一定の売上規模を持つヒットプレイヤーが多い印象なので、その中でネット通販はどのような動きを見せたのか、という視点で見て欲しい。
それでは、まず1年以上継続利用した店舗に限定して流通額を調査したところ、上位5業種の昨対比は表1の結果となっている。
表1.流通額昨対比TOP5
業種 |
流通額昨対比(10月〜12月平均) |
キッチン・日用品雑貨・文具 |
200.66% |
インテリア・寝具・収納 |
183.42% |
楽器・音楽機材 |
167.74% |
スイーツ |
167.02% |
水・ソフトドリンク |
161.12% |
この期間は在宅時間が充実するアイテムが流通額を伸ばしたとしていて、季節商材として、外出に気を使う状況だったことも影響しているのか、「スイーツ」もECでの売上を大きく伸ばしているという。この辺は、クリスマスケーキなど、この時期需要が見込まれる商材がECにて購入される傾向にあったと推測される。
また、下記の4項目について、期間中の生活者のEC利用状況を調査している。調査対象は、2019年・2020年10月〜12月、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出したもの。
1.注文件数の変化
対象店舗の注文件数は下記表2の結果のとおり、すべてのデバイスにおいて増加した。10月の伸びは、昨年同月の消費税増税実施による一時的な消費の冷え込みが影響を与えたと推測される。
表2.各月注文件数の昨対比推移
|
2020年10月 |
2020年11月 |
2020年12月 |
デバイス全体 |
174.30% |
151.00% |
146.66% |
PC |
159.49% |
139.09% |
134.77% |
SP |
189.37% |
164.00% |
157.99% |
2. 購入単価の変化
今回の調査でもPCはスマートフォンより2割程度、購入単価が高い結果となっていて、月別に見ると、12月にスマートフォン経由の購買単価が昨年同月比でやや落ちたものの、期間中はほぼ一定の値を示しているのが特徴だ。
表3:購入単価の変化
|
2020年10月 |
2020年11月 |
2020年12月 |
PC経由購入単価 |
¥14,487 |
¥14,766 |
¥14,554 |
昨年同月比(PC) |
106.11% |
106.96% |
105.66% |
スマートフォン経由購入単価 |
¥12,303 |
¥12,491 |
¥12,457 |
昨年同月比(SP) |
105.00% |
105.29% |
102.64% |
3. 新規顧客利用状況
新たに会員登録された顧客の利用を新規利用とみなし、各店舗、注文件数の平均増加率を月ごとに調査した結果が下記表4である。会員機能を利用していない店舗は、調査対象から除外している。
その結果としては期間平均が172.53%と、継続してECの新規利用が増加した。利用ガイドの作成や購入手続きの整備など、お買い物のしやすさが引き続き重要となりそうだ。
表4.新規顧客利用増加率(昨年同月比)
2020年10月 |
2020年11月 |
2020年12月 |
187.26% |
168.74% |
161.58% |
2020年10月が他の月と比較して高い数字を示したのは、2019年10月は消費税増税の影響から買い控えが起こったためと推測される。
4. 決済手段の変化
利用された決済方法を「クレジットカード」「ID・QR決済(Amazon Pay、楽天ペイ(オンライン決済)、Apple Pay、PayPay)」「現金・その他決済(店頭払いや後払い、銀行振込やコンビニ払いなど)」の3つに分け、各月の総注文件数を1とした結果が下記のグラフ1である。
グラフ1:各月決済手段の割合/件数(調査対象店舗全体)
緩やかながらも現金の利用率は減り、クレジットカードやID・QR決済にシフトしている姿が見られるようだ。
また、決済方法を3つとも提供している店舗に限定して(n=332)調査した結果が下記グラフ2である。2020年は現金から他の決済方法に移行しており、ID・QR決済の利用率が現金を超えたことが読み取れる。クレジットカードも含め、キャッシュレス化は着実に進んでいると言っていいだろう。
グラフ2:各月決済手段の割合/件数(3種類の決済手段提供店舗のみ)
下記の表5は各決済方法の成長率。今回の調査でもID・QR決済の成長率が高く、現金・その他が低いという結果は変わりない。ネットでの利便性を考えると当然の結果といえるだろう。
表5.各月決済手段の昨年同月比
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2020年10月 |
2020年11月 |
2020年12月 |
クレジットカード |
145.26% |
127.86% |
135.35% |
ID・QR決済 |
158.11% |
136.23% |
138.45% |
現金・その他 |
124.90% |
107.94% |
114.08% |
フューチャーショップとしては「在宅時間増加による、生活充実を目的としたアイテムの需要増加」「スイーツなど、記念日用のアイテムもECでの購入が増加」が見られること、その他、生活者が決済方法を「クレジットカード」「ID・QR決済」「現金」から選べる場合、「ID・QR決済」と「現金決済」の利用率が逆転していることがわかった点が大きい。
僕個人としてはIDやQRコード決済の動きが注目であり、大きな意味でネット上一つの“財布”で消費を済ませようというニーズが、想像以上にあって、利便性を考える上でも重要な役割を担っていることがわかる。
先日、楽天の決算でも書いたが、経済圏の重要性が大きかったのかなと。主に楽天側などが自らの商圏を広げるために、経済圏を活用するという文脈で僕も書くことが多かったが、実はお客様側のネットショッピングという活用の部分においては、それあることが便利であり、継続性の高いものなのかも、ということである。
その受け皿として、自社通販サイト(オンラインストア)でもそれが反映されているということ。また、拡大する通販の市場において、ショッピングモールだけではなく、多様性を持ったニーズに対して、自社通販サイトもまた、同時に展開して、その幅を広げることの重要性を思うのである。
今日はこの辺で。
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