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	<title>ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点 アーカイブ - 145MAGAZINE</title>
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	<description>人と人との関係を育むメディア</description>
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	<title>ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点 アーカイブ - 145MAGAZINE</title>
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		<title>CRMとは“管理”ではなく“理解”である──夫婦から学ぶ、人に寄り添う本当の関係構築</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2025/04/crm-redefined-as-human-understanding/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=crm-redefined-as-human-understanding</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 24 Apr 2025 07:34:04 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[【Buying】マーケティング・CRM]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 賢くなろう─商売の教科書]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　「CRMってなんだろう？」そう問いかけたとき、どれだけの人が本当にその意味を“体感”として答えられるだろうか。定期購入、LTV、会員施策──そういっ [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/04/crm-redefined-as-human-understanding/">CRMとは“管理”ではなく“理解”である──夫婦から学ぶ、人に寄り添う本当の関係構築</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#dceffe">　「CRMってなんだろう？」そう問いかけたとき、どれだけの人が本当にその意味を“体感”として答えられるだろうか。定期購入、LTV、会員施策──そういった言葉の羅列の奥にある、人と人との関係性を見つめ直す旅に、僕たちは今、出発する。</p>



<p>　CRM（Customer Relationship Management：顧客関係管理）という言葉が、マーケティングの世界で使われるようになって久しい。しかしその本質は、数字や施策では測りきれない“人間の温度”にこそ宿るものではないだろうか。小難しい理論は抜きにして、それこそ、小学生でもわかる「CRM」を考えよう。</p>



<p>　そう思って、CRM研究家 西野博道さんにお声がけした。彼との対話で見えてきたのは、「CRMとは、夫婦のように未来を見据えながら寄り添い合う関係である」という一つの結論だった。管理ではなく、理解。そして、それは誰の人生にも応用できる、普遍的な思想だった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-第1章-crmの誤解-顧客管理-からの脱却">第1章：CRMの誤解──「顧客管理」からの脱却</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-ルールに支配されたcrm">● ルールに支配されたCRM</h3>



<p>　ここで語られるのは、講演でよくある「CRMの攻略法」ではない。</p>



<p>　もっとずっと、誰でも“自分ごと”として感じられるような、<strong>CRMという言葉の根底にある“人間的な感覚”を見つめ直す試み</strong>だ。「あれ、これって自分の人付き合いにも似ている」と思えるほど、<strong>本質的で、やさしい言葉による再定義</strong>が始まる。</p>



<p><strong>　「それは、簡単に答えの出る問いではなかった。」</strong></p>



<p><strong>そう前置きしながらも、西野さんは自分の言葉で、正直な思いを語ってくれた。</strong></p>



<p>　世の中には「CRM＝定期購入」や「CRM＝LTV向上」といったイメージが根強くある。だが、CRMの本質を“売る仕組み”だと捉えた瞬間から、すでにズレが生まれてしまう。</p>



<p>　それらはあくまで“手段”であり、“目的”ではないのだ。本来、CRMとは“人との関係性”をどう築くかという問いのはず。けれど、データやルールを先に置いてしまうことで、思考の軸が「枠にはまること」にすり替わってしまう。</p>



<p>　CRMが応用の利かないものと誤解されるのは、この“ルール依存”が原因だと、僕は思っている。僕が西野さんに投げかけたのは、まさにこの問いだった。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-管理-と-理解-は違う">● 「管理」と「理解」は違う</h3>



<p><strong>　西野さんがまず語ったのは、「言葉の違い」にまつわる考察だった。</strong></p>



<p>「マネジメント（Management）」は、<strong>“相手を自分の思い通りに動かす”ことを目的とする言葉</strong>。一方、「リレーションシップ（Relationship）」は、<strong>“相手の気持ちに寄り添い、理解し合おうとする姿勢”を意味している</strong>。</p>



<p>　西野さんは繰り返し語った。CRMとは、顧客の心に触れるための仕組みであり、<strong>「管理（Control）」ではなく、「理解（Understand）」であるべきだ</strong>と。</p>



<p>　<strong>CRMという言葉を、「顧客の心に寄り添いながら、自然と成果が生まれる仕組み」と捉え直してみると──その本質が、少しずつ輪郭を持ちはじめる。</strong></p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-crmは夫婦である">● CRMは夫婦である</h3>



<p><strong>　では、CRMで描くべき“顧客との理想的な関係性”とは何か？</strong>そう尋ねると、西野さんは少し笑いながら、CRMを<strong>「夫婦」</strong>に例え始めた。──この発想は、西野さんの人生と共に培われた実感に裏打ちされたものだ。</p>



<p>　え？夫婦ですか？思わず問い返した。</p>



<p>　お互いの気持ちに寄り添いながら、未来に向かって一緒に歩む姿勢。そこには、データもKPIもない。ただ信頼と継続がある。西野さんと奥様の会話には、なんと300年先の未来が出てくる（笑）。来世でも一緒に、何をしよう。</p>



<p>　次の人生ではお互いの性別を入れ替え、また一緒に生きようと話し合っているというのだ。その<strong>未来志向の関係性</strong>こそが、本来のCRMの姿なのだ。うん、未来志向で、当たり前にそれがずっと続く、そんな関係。だんだん、その本質が見えてきた。</p>



<p>　では、こうした“<strong>未来に向けて寄り添う関係性</strong>”を、<strong>マーケティングの現場ではどう捉え直せばいいのだろう？</strong></p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-第2章-未来志向-最小公倍数の思考へ">第2章：未来志向──最小公倍数の思考へ</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-最大公約数では生まれない">● 最大公約数では生まれない</h3>



<p>　マーケティングの世界でよく使われる「最大公約数」。つまり、多くの人に<strong>共通するニーズを抽出し</strong>、<strong>そこに向けて</strong>商品やサービスを届ける考え方だ。だが、それはあくまで<strong>“過去”の延長線上にある発想</strong>であり、新しさを生まない。</p>



<p>　それにまつわるユーモアのある例えをしてくれた。</p>



<p>　たとえば「カレーが食べたい人」と「カツ丼が食べたい人」、その最大公約数は？</p>



<p>　その答えは「米」。二つに共通するのが米だからだ。最大公約数的な思考では、「じゃあ、米を中心に訴求しよう」となる。でも、先ほどの夫婦の理論と絡んで考えると、この考えに致命的な落ち度がある。</p>



<p>　本来、CRMにとって必要である<strong>未来志向が欠落している</strong>のである。米は何ら新しいものではなく、未来ではない。つまり、彼曰く、最大公約数を求めているうちは、CRMと言えるような関係性を築けているとは言えないのだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-最小公倍数-未来をつくる会話">● 最小公倍数＝未来をつくる会話</h3>



<p>　西野さんはここで、あえて逆の言葉──「最小公倍数」という視点を提示する。先ほどのカレーとカツ丼で考えてみよう。両方の最小公倍数は何か？</p>



<p>　それは「カツカレー」だ。</p>



<p>　先ほどの米とは違って、まったく新しい価値がそこにはある。</p>



<p>　つまり、<strong>過去の延長ではなく、“今”という起点から未来をつくる創造的行為</strong>。それがCRMにおける本質であり、関係性の中から新たな言葉を紡ぎ出す営みなのだ。</p>



<p>　少しずつ、その本質が見えてきた。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-未来志向がcrmを再定義する">● 未来志向がCRMを再定義する</h3>



<p>　だから、顧客との関係も同じだ。分析によって過去を掘るのではなく、「この人と、どんな未来を共有できるか」を考える。そのために必要なのは、分析でもシステムでもない。</p>



<p>　仮説と共感、そして“問い”を持ち続けることだ。問いかけから会話が生まれ、会話の中から未来を形づくるキーワードが現れる。</p>



<p>　これが、CRMが持つべき創造的視点、「最小公倍数」の考え方なのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-第3章-本音を引き出す仕掛け-sdgiという魔法">第3章：本音を引き出す仕掛け──SDGIという魔法</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-nbsp-質問しないインタビュー">&nbsp;● 質問しないインタビュー？</h3>



<p>　さて、その<strong>顧客との問いには何が求められ</strong>、また、<strong>顧客に提案する商品はどうやって顧客との間で導き出されるべき</strong>なのだろう。</p>



<p>　そこで、西野さんは面白い手段を教えてくれた。それは「インタビューなのに質問しない」──そんな不思議なアプローチだ。</p>



<p>　彼が紹介してくれた「SDGI（Simple Dynamic Group Interview）」という手法である。</p>



<p>　この方法は、テーマだけを与えて、あとは自由に話してもらう。誰かが語り出した言葉に、他の誰かが反応し、そこから新たな言葉が生まれていく。その言葉たちは、誰かに強制されたものではなく、自然と心から湧き出てきた“本音”である。</p>



<p>　皆さんもそんなことがないだろうか。一問一答式であれば、その答えを求めようとする。しかし、何気ない雑談であると、ある特定の話題に共鳴した時、一気にそこに集まるメンバーがそちらの方へと会話が集約されていく。</p>



<p>　その時に、知らず知らず、自分の胸の内にある言葉がフッと出てくる。この手法がむしろ、質問しないことで生まれる人の内面を引き出す。いうなれば、インサイト。</p>



<p>　質問という明確な枠を外すことで、逆に思わぬ気づきや、無意識の中に眠っていたインサイトが引き出されていく──それがSDGIの醍醐味だ。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-言葉にならない-気持ち-をすくい上げる">● 言葉にならない“気持ち”をすくい上げる</h3>



<p>　これが大事な理由は、CRMにおいて大切なのは、「データから何が見えるか」ではなく、「言葉にならない気持ちをどうすくい上げるか」だからだ。西野さんが紹介した事例──加茂繊維の「着る岩盤浴」では、まさにそのプロセスが描かれている。</p>



<p>　そもそも「着る岩盤浴」は、もともと冬場の売れ行きが中心。</p>



<p>　夏になると売上が低下する。普通に考えれば「夏は暑いのだから当然」と捉えがちだ。でも、加茂繊維はここで止まらなかった。</p>



<p>　夏に冷房で体が冷える人は多い。にも関わらず、「夏に冷え対策になる服を探していますか？」という問いに、消費者は「そんなのあるわけない」「あきらめている」と答えた。</p>



<p>　ここが重要。<strong>消費者自身が“言葉にできないニーズ”を抱えていた</strong>ということだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-着る岩盤浴-という言葉が-障壁-にも-きっかけ-にもなる">● 「着る岩盤浴」という言葉が“障壁”にも“きっかけ”にもなる</h3>



<p>　その状況を変えるため、加茂繊維では「着る岩盤浴」という言葉自体を疑ってみる。「暑苦しそう」「冬限定のイメージがある」──そうした先入観があるのではと。</p>



<p>　ここで活躍したのが <strong>SDGI（質問しないインタビュー）</strong>。質問をせず、自由に話してもらう中で自然に出てくる本音を拾う手法だ。</p>



<p>結果、意外な反応が出てきた。</p>



<ul class="wp-block-list">
<li>「“着る岩盤浴”という言葉にピンときて買った」</li>



<li>「変えないでほしい」</li>



<li>「変えたら買わない！」</li>
</ul>



<p>　つまり、この言葉は一部の顧客にとっては“購入の決め手”になっていた。ネーミング自体を変えるのではなく、<strong>誤解のないよう“補完する説明語”を加えるという方向に転換した</strong>のである 。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-なぜ-500個もの補足語-が出てきたのか">・なぜ「500個もの補足語」が出てきたのか？</h3>



<p>　加茂繊維は、全社員で「着る岩盤浴」に補足する言葉を考えるワークを行い、<strong>なんと500個以上のアイデアが集まった</strong>。</p>



<p>例：</p>



<ul class="wp-block-list">
<li>「夏の冷房に負けない、着る岩盤浴」</li>



<li>「エアコンで冷えるあなたへ」</li>
</ul>



<p>　SDGIによって、言葉を削らず、<strong>“加える”という戦略が見えた</strong>。結果的に、<strong>夏の売上が回復する道筋ができた</strong>わけだ。これって、単なるブレストではない。社員一人ひとりが「お客様の心に寄り添おう」として、何が伝わっていないのかを必死に想像した結果なのだ。</p>



<p>　言葉を“売る”のではなく、<strong>言葉を“橋渡し”にする</strong>。この姿勢こそがCRMで言う「人間理解に基づく提案」なのだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-未来志向の寄り添いがもたらす気づき">・未来志向の寄り添いがもたらす気づき</h3>



<p>　この事例の本質は、「過去の購買データ」からでは絶対に導けなかった“感情の背景”を、未来への仮説をもって問い直したところにある。</p>



<p>「夏でも着たい人は、実は一定数いる。でも、その人たちは“欲しい”とも“探してる”とも言っていなかった。」</p>



<p>　ここに寄り添って言葉を編み直し、最終的に商品が夏場にも売れ始めたという流れは、<strong>“共感”を生む思想である</strong>ことを、強く物語っている。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-寄り添うことで-言葉は生まれる">● 寄り添うことで、言葉は生まれる</h3>



<p>　本音は、押し付けられた質問からは出てこない。本音は、“寄り添う姿勢”の中でこそ生まれる。</p>



<p>　CRMとは、「どんな言葉を届けるか」ではなく、「どんな会話を紡ぎ出せるか」である。</p>



<p>　そして、その会話の中に、企業と顧客をつなぐ“魔法の言葉”が眠っている。それらはやっぱり、寄り添うことで紡ぎ出される言葉なのであり、だから、<strong>未来へとつながる</strong>のである。ほら、全部が不思議と繋がっている。</p>



<p><strong>　ときにその言葉は、相手の心を「びっくり」させる力すら持つ。</strong>そういって、西野さんは、CRMの本質を語るうえで、少し意外な切り口を差し出してくれた。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-第4章-びっくり-信頼のしるし">第4章：びっくり＝信頼のしるし</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-驚き-から始まる関係の深化">● 「驚き」から始まる関係の深化</h3>



<p>　寄り添うことで得られる価値は何か。</p>



<p>　それこそが、CRMとは何か？とイコールであることに気付かされる。西野さんは<strong>CRMが真価を発揮する時はいつか聞かれて、「驚かせるとき」と答えた</strong>。おそらく、CRMの定義で、そう答える人は少ないかもしれない。</p>



<p>　だが西野さんは、あえてその言葉を使った。「びっくりさせることが、関係性の深まりに直結する」と。</p>



<p>　それは、“寄り添っている”からこそ可能な“びっくり”だからだ。え？どういうこと？</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-ハガキをスキャンしただけで感動が生まれる">● ハガキをスキャンしただけで感動が生まれる</h2>



<p>　かつて西野さんがやずやにいた頃、顧客から送られてくるハガキをスキャンし、コールセンターにあるPCの画面に瞬時に表示させる仕組みを導入した。それこそ、スキャナーが何千万円もするというのに、導入したのだ。</p>



<p>　だが、それでも導入に踏み切ったのは、<strong>お客様に「驚き」を届けたいという想いがあったからだ。</strong>電話を受けたオペレーターは、画面に表示されたハガキを見ながら、まるで“顔なじみ”のようにお客様と会話を始められる。もしも、物理的にハガキを探すとしたら、どれだけの時間がかかるだろう。</p>



<p>　だから、顧客は驚く。「なぜ私の話しているハガキを、あなたが知っているの？」と。その<strong>偶然のような必然</strong>が、心を動かす“びっくり”を生んだのだ。</p>



<p>　これこそ、CRM。そして、この体験にこそ、<strong>デジタルとアナログの融合がもたらす価値</strong>が表れている。一見すると、デジタルが進むほどに、人間関係は希薄になっていくようにも思える。だが実は、西野さんが体現したのはその逆だった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-デジタルとアナログの融合とは">・デジタルとアナログの融合とは</h2>



<p>　デジタル（PC）は裏方に徹し、<strong>“素早く・確実に”情報を呼び出す生産性を支える存在</strong>として機能する。一方で、<strong>フロントに立つのはあくまで人間</strong>。<strong>驚きや温かさを届けるのは、人の声であり、人の表情である。</strong></p>



<p><strong>　</strong>この構造こそが、“びっくり”という感情をスケールさせ、CRMが持つ「関係性の質」を一気に高めた理由だった。<strong>でも、もしこの仕組みの裏側を顧客が先に知っていたとしたら──感動は起こらなかったかもしれない。</strong></p>



<p>　「たまたま話が通じた」ように見えるからこそ生まれる、“偶然のような必然”。それが人の心を動かす。</p>



<p>　つまり、この“<strong>種明かしをしないマジック</strong>”こそ、CRMにおいて最も人間らしい魔法なのだ。ここにこそ、デジタルの本当の役割がある。表に立つのではなく、<strong>人の思いやりを支えるための静かな補助線として</strong>。</p>



<p>　そしてこの構造は、西野さんの時代に限らず──今この時代においても、CRMの本質として十分に通用する考え方ではないだろうか。</p>



<p><strong>　では、その“びっくり”は、どんなときに生まれるのか？</strong>ここからは、“未来を信じる関係性”の中で育まれる「驚き」の意味に、もう少し深く踏み込んでみよう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-びっくりは-未来を信じるからできる">● びっくりは、未来を信じるからできる</h2>



<p>　CRMが目指すのは、目先の売上ではない。<strong>長く寄り添う関係性の中で、自然と育まれる信頼</strong>であり、喜びだ。</p>



<p>　だからこそ、相手をよく知り、どのタイミングで、どういうことをすることが、驚きにつながるのかも見えてくる。だからこそ、そこに“びっくり”を忍ばせる余白が必要だ。</p>



<p>　そこには際限がない。例えば、高いレストランで美味しい料理をプレゼントしたとしよう。でも、それはそのレストランのレベルを伸ばすことでしか、今のびっくりを超えることができない。小手先の関係の中で、一見豪華に、繰り出せるレベル感には限界があるのだ。しかし、長く寄り添う中でのびっくりは、そうではない。</p>



<p>　レストランは同じでも、最後のデザートと一緒に添えられた、いつもありがとうの花束。</p>



<p>　プレゼントに添えるちょっとした手紙。それは、売り場においても同じだ。注文履歴から読み取って選んだ提案。そして、それを、デジタルと掛け合わせると、対象は広がる。あくまでデジタルに支えられながらも、それを前面に出さない。</p>



<p>　種明かしをしない。あくまで“偶然”を装う。そしてその偶然が、顧客にとっての「この人と付き合っていてよかった」という気持ちに変わっていくのだ。びっくりは信頼のしるしである。それは人と人との関係が深まるとき、いつもその瞬間に現れる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-第5章-ai時代におけるcrmの再定義">第5章：AI時代におけるCRMの再定義</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-デジタルと人間の境界線">● デジタルと人間の境界線</h3>



<p>　なんとまあ、時代に関係なく、人間的ではないか。ただ、AIやチャットボットの登場により、CRMの世界も急速に自動化が進んでいる。だから、それによって“人間らしさ”が失われてしまっては、本末転倒だ。</p>



<p>　むしろ、AIが台頭する時代だからこそ、人間らしさは“際立たせるもの”としての価値を増している。</p>



<p>　共感、思いやり、そして寄り添い──それはアルゴリズムには真似できない、人間だけが持つ“感度”だ。そこでどうそれらを活かすかのヒントは先ほどのとおり。<strong>種明かしをしないマジック</strong>にある。そして、<strong>タネにデジタルを忍ばせる</strong>。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-データで心を測れるか">● データで心を測れるか？</h3>



<p>　CRMにおいてデータは重要なツールではある。しかし、それが目的化してしまうと、「数字に振り回されるCRM」になってしまう。だから、上記の本質に立って、行動してみる。そう考えると、西野さんが言うように、<strong>売上は“ご褒美”である</strong>べきだという結論もうなづける。</p>



<p>　つまり、目指すべきは「数字のための関係構築」ではなく、「<strong>関係構築の結果として数字がついてくる</strong>」というあり方である。</p>



<p>　AIは、迅速な処理、パターンの抽出、最適化の提示に優れている。しかし、相手の気持ちに触れ、「あの人のために、今これをしたい」と感じることはできない。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-デジタルとアナログの-マジックライン">● デジタルとアナログの“マジックライン”</h3>



<p>　西野さんは、デジタルとアナログを共存させるポイントを「マジック」と表現した。</p>



<p>　すべてを見せないことで、驚きと感動が生まれる。まるでマジシャンがタネを明かさずに観客を魅了するように、CRMも裏側でデジタルが動きつつ、前面には“思いやり”がにじむ関係性を構築する必要がある。</p>



<p>　つまり、ここれでAIの話をするなら、それは“補助線”であり、“主役”は人間でなければならない。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-未来を見据えた関係性とは">● 未来を見据えた関係性とは</h3>



<p>　CRMのゴールは、LTVの向上でも、再購入率の増加でもない。</p>



<p>　本質的には、「この人と、これからも一緒に歩んでいきたい」と自然に思える関係を築くこと。30年後も、もしかしたら300年後も、変わらぬ関係性を持ちたいと思える相手との間にこそ、CRMの価値はある。</p>



<p>　ほら、最初の夫婦の話に戻ってきた。そのためには、テクノロジーの進化を味方につけて、「人間とは何か」「関係とは何か」を見つめ続ける姿勢が欠かせない。そこに実は、人間の進化がある。</p>



<p>　そして、未来志向で寄り添う。それこそが、時代に関係なく、CRMの本質であり、次なるスタンダードとなる思想でもあるのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-結びに-crmとは-生き方である">結びに──CRMとは、生き方である</h2>



<p>　数字に追われず、過去に縛られず、未来を信じて人に寄り添う。</p>



<p>　それがCRMである。そしてそれは、人生そのものだ。パートナーと過ごす日常の中に、友人と語らう時間の中に、私たちは無意識にCRMの本質を体験している。管理ではなく理解へ。</p>



<p>　施策ではなく思想へ。そして、それは明るい思考で、ちょっと相手を思いながら、びっくりさせる関係性。</p>



<p>　これまで、LTV、顧客維持率など、色々な言葉が、CRMで出てきた。</p>



<p>　ただ、ここまで話してきた、誰にでも置き換えられる本質を見つめよう。そこから、もう一度、それらの言葉を見渡さないと、真のCRMは身につかない。</p>



<p>　この読み物が、あなたの中の“関係”に対する感覚を少しでも揺さぶるものであったなら──それこそが、CRMという言葉の、最も豊かな意味なのだ。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
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		<title>想いの証明が上場だった──越境ECジグザグ 仲里一義、信じた10年の結末と始まり</title>
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		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 07 Apr 2025 05:56:20 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[【Buying】海外]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 賢くなろう─商売の教科書]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　誰もが夢を見ることはできる。でも、それを現実にできるのは、信じた人だけだ。株式会社ジグザグ代表・仲里一義さんが、2025年3月31日、ついに上場を果 [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#e8f5fd">　誰もが夢を見ることはできる。でも、それを現実にできるのは、信じた人だけだ。株式会社ジグザグ代表・仲里一義さんが、2025年3月31日、ついに上場を果たした。だがこの瞬間は、始まりではなく、信じてきた“道”が正しかったことの証明にすぎない。越境ECという未開の領域で、買い物代行という一見地味なサービス（失礼！）を武器に、世界の空白を埋めた10年。</p>



<p>　そのすべてが、今日のこの結果を導いた。そこにあったのは、奇跡なんかじゃない。「想いが行動を生み出す。行動が未来をつくる。」その言葉通りに生き抜いた、ひとりの経営者の物語なのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-1-上場せよ-すべては一通のメッセージから始まった">1. 「上場せよ」──すべては一通のメッセージから始まった</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-創業時の苦労">創業時の苦労</h3>



<p>　一言で言えば、彼らのサービスは、<strong>越境ECにおける“買い物代行”</strong>である。</p>



<p>　海外のユーザーが日本のECサイトにアクセスし、欲しい商品を見つけたとする。普通なら、そこから購入するには、言語や配送、決済などいくつもの壁が立ちはだかる。だが、ジグザグはそれを、<strong>「タグ一行」で解消する仕組み</strong>を提供した。</p>



<p>　店側が指定されたタグを埋め込むだけで、海外ユーザーの購買に際し、ジグザグが<strong>代行して商品を購入・配送・サポートまで担ってくれる</strong>。つまり、ショップは、何も変えずとも“海外に開かれる”のだ。</p>



<p>　しかもその先には、物流やカスタマーサービスといった<strong>煩雑な業務の代行</strong>も含まれている。海外販売のハードルを限りなく低くする、それがジグザグの革新だった。</p>



<p>　そして──この仕組みを武器に、彼らは<strong>上場</strong>という結果を手にしたのである。でも、僕は思う。それはただの“成功”じゃない。<strong>信じた道が正しかったという証明</strong>なのだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-自分が信じる他何もない">自分が信じる他何もない</h3>



<p>　さて、ここからは少しだけ時を巻き戻したい。以前にも触れたが、彼の始まりを語らずして、この結末は語れない。</p>



<p>　創業時の資本金はわずか450万円。しかもそれは、<strong>妻が子どものために貯めていたお金</strong>だった。</p>



<p>　資本も、経験も、何もなかった。あったのは、ただ<strong>未来を信じる志</strong>。そして、あのときのFacebook投稿──そこに、運命を変える一通のメッセージが届いたのだ。</p>



<p class="has-background" style="background-color:#f9f4fe">参考：<a href="https://145magazine.jp/retail/2024/06/zig-zags-founding-story-and-now/">窮地を救ったご縁と奇跡は、想いと行動が引き寄せた。</a></p>



<p>　それが、元オプト会長・海老根智仁さん。「<strong>応援するから、上場しろ</strong>」。パワポしか持たずに飛び込んだ仲里さんに、海老根さんはこう言った。</p>



<p>　「お前の企画書は、5000万円の価値がある」</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-上場を前提に作られた物語">上場を前提に作られた物語</h3>



<p>　この“信じてもらえた体験”こそが、すべての始まりだった。資金調達、チームビルディング、営業、サービス開発──。</p>



<p>　すべてが「<strong>上場を前提」に組み立てられた</strong>。「この想いが誰かを幸せにする」。そう信じる力が、仲里さんを突き動かした。</p>



<p>　ここに、まず最初の本質があると思った。</p>



<p>　おそらく、海老根さんは彼だからこそ、後押ししたのではないか。勿論、この時点では、その事業の可能性なんて、未知数だった。けれど、仲里さんの中には、確信に満ちたものがあって、海老根さんは、それを見抜いたからではないかいうことである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-2-サービスは-空白-を埋めるための発明だった">2. サービスは「空白」を埋めるための発明だった</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-本当に世の中を良くする-そう自ら考え出した着想">本当に世の中を良くする。そう自ら考え出した着想</h3>



<p>&nbsp;&nbsp;どういうことか。それは、このビジネスの着想の仕方を見ればわかる。紛れもなく、彼のアイデアであった。</p>



<p>　言葉を選ばず言えば、金儲けができるならなんでもいい、、、とかでは一切ない。</p>



<p>　それこそ、何もないところから一つ一つの異なる事象を組み合わせて、自らのアイデアに昇華した。それが、彼の企画書に現れていたのだ。今は存在しないけど、必ずこれは“なくてはならない”サービスになる自信と共に。</p>



<p>　言うなれば、海老根さんが彼を導く原動力になっているのは、その部分じゃないか。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-越境ecにおける仲里さんなりの論点">越境ECにおける仲里さんなりの論点</h3>



<p>　かつての越境ECは、<strong>個人バイヤーが主役</strong>だった。いわゆる“転送文化”が主流だったのだ。</p>



<p>　たとえば現地のバイヤーがネット上で商品の魅力を発信し、買いたい人を募って代わりに購入。その商品を自らの手で転送する。そんなスタイルが一般的だった。</p>



<p>　ここで重要なのは、<strong>この仕組みの起点が「顧客」側にある</strong>ということ。つまり、バイヤーは“海外の消費者の声”を受け止める<strong>窓口</strong>のような存在だった。そこから企業にアクセスが生まれ、商品が動く。そういう、<strong>受け身型の流通</strong>だったと言える。</p>



<p>　けれど、仲里さんは言う。</p>



<p>「それでは不安定で、非効率」と。そう感じたのは、単なる理屈ではなく、<strong>自身のリアルな経験に裏打ちされた直感</strong>だった。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-過去の経験が気づかせてくれた">過去の経験が気づかせてくれた</h3>



<p>　運命的な流れでもあるけれど──彼は、かつて海老根さんの会社に勤めた後、韓国の会社の日本法人で<strong>自ら代表を務め、物流の世界にどっぷり身を置いていた</strong>。</p>



<p>　そこで彼は、<strong>“モノがどう動くか”の裏側──海外との物流のメカニズムを肌で理解した</strong>。だからこそ見えたのだ。</p>



<p>　個人の転送文化では、サプライチェーンとしての安定性もスケーラビリティもなく、仕組みとして長くは持たない。“誰かがやっているから”ではなく、“本質を知っていたから”、そう断言できたのである。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-企業側につくことで見える可能性">企業側につくことで見える可能性</h3>



<p>　仲里さんが見つけた突破口──それは、<strong>視点を「顧客側」から「企業側」へとひっくり返したこと</strong>だった。</p>



<p>　つまり、海外のユーザーが日本のECサイトにアクセスしてきたとき、<strong>“企業側”がその顧客ときちんとつながる仕組みを用意しておけば、購買のチャンスを逃さずに済む</strong>。ジグザグがその代わりに購入し、発送し、カスタマー対応まで引き受ければ、<strong>ショップは何も変えずに海外のお客様とつながれる</strong>のだ。</p>



<p>　企業の視点に立ったからこそ、<strong>単発の売買ではなく、“共に成長していく”関係が築ける</strong>。これが、個人バイヤーによる転送文化との決定的な違いだった。</p>



<p>　たしかに、買い物代行の仕組みは、すでに存在していた。越境ECという市場も、もちろんあった。</p>



<p>でも──</p>



<p>　<strong>買い物代行を、越境ECにおける“公式の仕組み”に変え</strong>るという発想はなかった。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-時代を踏まえた-二重の視点">時代を踏まえた「二重の視点」</h3>



<p>　仲里さんが築いた仕組みには、<strong>明確な“軸”がある</strong>。それが、「<strong>二重の視点</strong>」だ。</p>



<p>ひとつは、<strong>海外のカスタマーにとってのわかりやすさと信頼性</strong>。</p>



<p>もうひとつは、<strong>日本のECショップにとっての簡単さと負担のなさ</strong>。</p>



<p>　この二つが両立してはじめて、越境ECは“現実の選択肢”になる。ネットの浸透で、国境を越えた情報のやり取りはすでに当たり前になった。だからこそ、<strong>いずれ海外のユーザーは、ダイレクトに日本のECサイトへやってくる</strong>。</p>



<p>　そのとき、窓口となって迎える体制がなければ、せっかくのチャンスもすり抜けてしまう。そこでジグザグは、最初から<strong>企業側のフロントに立つ</strong>。そして、そこに訪れる海外のお客様に対して、<strong>彼らが買い物代行というかたちで橋渡しをする</strong>。</p>



<p>　結果、ショップと海外顧客の間に、<strong>信頼とスムーズさの両方を備えた“つながり”が生まれる</strong>のだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-軸があるから優先順位も見えてくる">軸があるから優先順位も見えてくる</h3>



<p>　この“二重の視点”という軸があるからこそ、強い。ジグザグはそこに向かって、UI/UXを徹底的にこだわることができた。</p>



<p>　言わずもがな、ビジネスは常にトレードオフの連続だからだ。何かを優先すれば、何かを犠牲にせざるを得ない。だからこそ、「何を大切にするか」という軸があることが、何より重要だったのだ。</p>



<p>　とはいえ、仲里さんは何でも自分でできるスーパーマンではない。仕組みとしてどうすれば理想のUI/UXが形になるか、その道筋は最初は見えていなかった。</p>



<p>　だからこそ、<strong>優れたエンジニアとの出会いが大きな転機となる</strong>。仲里さんの思想に共鳴したその仲間と共に、「ユーザーの体験」を起点にシステムを磨き上げていった。</p>



<p>　その結果、生まれたのが“チェックアウト”という機能だ。店側がやることは、<strong>たった一行のタグを埋め込むだけ</strong>。導入がシンプルであるにも関わらず、裏では決済・物流・カスタマー対応までが一気通貫で整備されている。</p>



<p>　これは、ただのシステム設計ではない。<strong>現場を思い抜いた“思想”の結晶</strong>なのだ。そしてその思想は、マーケットの“誰もいなかった空白地帯”に、静かに、しかし確かに根を張っていった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-3-現場で戦う店舗を-味方-にした-逆転のマーケティング">3. 現場で戦う店舗を“味方”にした、逆転のマーケティング</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-気付かぬところに光を充てる">気付かぬところに光を充てる</h3>



<p>　仲里さんは語る。「海外のお客様のアクセスを、店舗自身が見えていないだけなんです」。</p>



<p>　改めて、その“気づき”から生まれたのが、彼らのサービス「<strong>WorldShopping BIZ</strong>」なのだ。</p>



<p>　店側はタグを<strong>一行埋め込むだけ</strong>で、越境ECが始まる。それだけで、言語対応・決済・物流・カスタマーサービスまですべてが整う。これは、<strong>「越境ECの敷居を下げた発明</strong>」だった。</p>



<p>　他のプレーヤーが、越境の難しさを前提にしてビジネスを組む中で、ジグザグは“誰も拾えていなかったお客様”に寄り添った。</p>



<p>　この視点の違いが、大きな差を生み出している。だからこそ、彼らがこのサービスを“どこに主眼を置いているか”がとても重要になる。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-敷居を下げることこそ-ジグザグの真骨頂">敷居を下げることこそ、ジグザグの真骨頂</h3>



<p>　僕は語弊を恐れず、仲里さんにこう伝えた。「BASEみたいな存在ですね」と。（※関係者の皆さんごめんなさい、これは僕なりの例えです。）</p>



<p>　なぜそう思ったのか。思い出してほしい。かつて、クリエイターたちは自分の作品を“手売り”していた。ネットで販売するなんて、敷居が高すぎた。でも、BASEが出てきたことで、インスタントにネットショップが持てるようになった。</p>



<p>　だからこそ、自らの才能だけで、生活を立てられるクリエイターも現れたのだ。同じことが、<strong>今の越境ECにも言える</strong>。</p>



<p>　確かに、市場は大きいし、投資をしてドカンと展開すれば、大きなリターンを得る企業もあるだろう。それはそれで正しい。でも、すべての企業がそうできるわけじゃない。</p>



<p>　投資、言語、物流、顧客対応……そのひとつひとつに専門知識と信頼できるパートナーが必要。<strong>実際のところは“とても高い壁”</strong>だ。</p>



<p>　多くのEC担当者に、そこまでのリソースや裁量があるだろうか？経営者にだって、二の足を踏むのが現実なのだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-今ある価値を海外で最大化させればいい">今ある価値を海外で最大化させればいい</h3>



<p>　だれでも抵抗なく、自ら積み上げてきた事業の価値を、海外を通じて発揮させる。まずは、海外初心者の企業にこそ、やってもらえばいい。売上手数料も無料にして、敢えて初期費用33,000円、月額5,500円のみという価格設定にし、タグ一つで全てが完結する仕様にした。</p>



<p>　それによって「まず一歩踏み出してみよう」。ショップの背中を後押しした。</p>



<p>　ともすれば、消費者側に立って、モール的に海外ユーザーを集める事業もできたであろう。</p>



<p>　でも、仲里さんが描く未来はそこじゃないのだ。プラットフォームでありながら、そこではない。</p>



<p>　第一に、顧客の買いやすさというのはあるけれど、それを<strong>企業の付加価値の上に簡単に</strong>成り立たせること。それが本質だ。そこが他とは決定的に違う部分だといっても良い。</p>



<p>　その信念だけが最初は頼りで、現場に寄り添い、泥臭い営業で積み重ねた。まわりに流されず、直向きな努力で勝ち得た信頼が、ジグザグの礎を築いていったのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-4-買い物代行-が-文化をつなぐ接点に進化した">4. “買い物代行”が、文化をつなぐ接点に進化した</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-買い物代行はキッカケでしかない">買い物代行はキッカケでしかない</h3>



<p>　そう考えると、買い物代行は、あくまで“きっかけ”に過ぎない。ジグザグが本当に提供しているのは、店の「体験」と「信頼」である。</p>



<p>　まさに、上場が現実味を増してきた2020年頃から、彼ららしい進化を遂げていく。ここまでの核心があってのことだ。</p>



<p>　その時にジョインした鈴木賢さんが、営業の最前線に立ち、こう主張した。</p>



<p>　これからはマーケティングが大事であると。つまり、ジグザグは結果、個々のお店に向き合いつつも、それらの商品、店の属性などを把握し、海外マーケットにおける傾向を、把握できる立場になった。</p>



<p>　だから、逆にそれを店側が活用して、越境ECの可能性を伸ばしていける。そう主張し、それが営業面でも、店に対して強い差別化要因になって受け入れられる要因となったのだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-データの蓄積こそが彼らの真骨頂">データの蓄積こそが彼らの真骨頂</h3>



<p>　ゆえに、今、データの蓄積が新たな循環を生み出している。</p>



<p>　ECサイト側はショップダッシュボードを通して、個人情報こそ伏せるけど、客観的データを可視化する。だから、それを使いこなせば、自ずと自分のお店のターゲットに即したユーザーへのマーケティングが可能となる。</p>



<p>　つまり、、、</p>



<p>　購入データ → 顧客分析 → 最適化されたマーケティング支援 → 店舗の売上向上 → 顧客体験の向上 → リピート購入→顧客の把握→新商品の立案→ショップの最適化が推進→購入データ・・・</p>



<p>　これが、ジグザグが描く「エンゲージメントの渦」だ。</p>



<p>　これは企業側の視点に立ち続けて、個々の店舗と向き合ってやってきたことの賜物だ。これらは他の店舗の傾向と合わせて分析できるようにすれば、もはや買い物代行はきっかけではないのである。</p>



<p>　“越境EC”を単なる機能で終わらせず、店舗と顧客が心を通わせる場へと進化させてきた。ジグザグは今、それを「価値共創のプラットフォーム」へと昇華させようとしているのだ。</p>



<p>　この伸び代にこそ、上場することの価値が出てくるのである。むしろ、ここからが彼らの本領発揮ではないか。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-5-あなたが信じる未来は-必ず形になる-仲里さんから-かつての自分へ">5. 「あなたが信じる未来は、必ず形になる」──仲里さんから、かつての自分へ</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-上場へと至る真髄">上場へと至る真髄</h3>



<p>　これこそが、上場にまで至る力の答えではないか。一貫して、核心は存在し、それは確信に満ちているからブレない。譲ることなく信じ続けて、拡張させてきた。だから、エンゲージメント性を高める差別化要因が出てきた。思想は派生するのである。　</p>



<p>　「使命感しかなかったんです」</p>



<p>　他人から見れば無謀な道であった。でも、それが無謀かどうかは、本人にしかわからない。再三、書いてきた彼の設計図の大元は、ちゃんと彼自身の胸の内にある核心。そこへの確信に支えられて、革新を生み出している。</p>



<p>　ここに海老根さんの助言が加わるわけだ。</p>



<p>　物事を動かすには資金が必要だ。だから、投資家の元を訪ねて、その確信を切々と説くところから始まる。正直、海の物とも山の物ともつかぬものである。でも、本人の核心と確信だけが頼りである。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-物には順序があるから成長できる">物には順序があるから成長できる</h3>



<p>　そして、物には順序がある。仲里さんに聞いて納得した。資金調達の仕方も、そのフェースごとに異なるのだ。借りたいお金がたくさんある。</p>



<p>　けれど、借りるお金が、自分の会社の資本の大半を占めてしまったらダメなのだ。やりたいことが貫けなくなる。常に、自分が推進する余地を資金繰りの中で、持たせながら、システム構築などの投資にして、価値を向上させていく。</p>



<p>　価値が向上すれば、調達できる資金が増える。だから、同じように自分の会社の資本の大半を占めることのないよう、今の環境と投資のバランスを見ながら、調達をする。ここに海老根さんのアドバイスが効いているわけなのだ。</p>



<p>　この匙加減こそが、今の上場へと至る大事な根本なのだから。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-それもまたブレない核心があってこそ">それもまたブレない核心があってこそ</h3>



<p>　でも、それは彼自身のブレない核心があってこそ。そう考えると、最初に海老根さんが　「お前の企画書は、5000万円の価値がある」といった言葉の深さを感じる。</p>



<p>　これらの仲里さんの試行錯誤して、朧げながらでも描いた未来が、確実に世の中をよくしていくことを直感したからに他ならない。どれが欠けても、上場なんてなかっただろう。その途中、途中で追い込まれるその窮地に精神的に辛い時もあっただろう。でも、元を糺せば、あの時の信念なんだ。</p>



<p>　それがあってこそ、乗り切れた。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-必要なのは-やるかどうか">必要なのは、「やるかどうか」</h3>



<p>　最後に、僕は聞いたのさ。もしも、起業当初の自分のような人に出会ったら、なんて言葉をかけて、発破をかけるだろうかと。　</p>



<p>「年齢なんて関係ない。（自分を振り返り）41歳から始めたって、10年後に上場できる。やるかどうかです」</p>



<p>　そう答えてくれた。やっぱりそうなのだ。苦しかった時、支えてくれたのは、おそらくその信念を諦めない自分自身の気持ち。まずはこれ抜きには語れない。必死に考え抜いて、そして出した自分なりの道筋。それがあって、賛同してくれた多くの仲間の存在がある。</p>



<p>　そこから先は、すべて「自分を信じてくれた人たち」に応えるために動いた結果だ。これは仲里さんが、この取材で終始、出てきた言葉だ。人の出会いなしには、今はない。これははっきり断言した。</p>



<p>　「想いが行動を生み出す。行動が未来をつくる。」その礎は、人にある。</p>



<p>　起業を志す人にとって必要なのは何だろう。究極、彼がいう通り、やるかどうか。</p>



<p>　なぜなら、それは、<strong>“奇跡”は、想いと行動があってこそ起きる</strong>からだ。大事なのは「やる」と決めること。そして、一歩を踏み出し続けること。未来は、誰かがくれるものじゃない。<strong>自分の信念が、それを迎えに行くのだ。</strong></p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/04/zigzag-ipo-nakazato-story/">想いの証明が上場だった──越境ECジグザグ 仲里一義、信じた10年の結末と始まり</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<item>
		<title>MAでもCRMでもない。「配慮」を設計するという発想──シナブル小林社長の言葉から考える、ECと顧客体験の再構築</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2025/04/ec-crm-ma-unifiedcommerce/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=ec-crm-ma-unifiedcommerce</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 03 Apr 2025 05:45:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[all/初心者]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 賢くなろう─商売の教科書]]></category>
		<category><![CDATA[ECshop/MA]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　マーケティング・オートメーション（以下、MA）。その言葉が日本のEC業界で定着して久しい。しかし「自動化すれば売れる」「ツールを導入すればマーケティ [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/04/ec-crm-ma-unifiedcommerce/">MAでもCRMでもない。「配慮」を設計するという発想──シナブル小林社長の言葉から考える、ECと顧客体験の再構築</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#dff0fa">　マーケティング・オートメーション（以下、MA）。その言葉が日本のEC業界で定着して久しい。しかし「自動化すれば売れる」「ツールを導入すればマーケティングができる」といった安易な解釈は、店が本来果たすべき役割を曇らせてしまっているのではないか。</p>



<p>　MAツールを提供する側でありながら、「MAという言葉ではもはや本質が伝わらない」と語るのが、株式会社シナブル小林社長だ。EC Intelligenceを手がける彼の思想の根底には、「顧客満足度から逆算して店の役割を設計する」という一貫した哲学がある。</p>



<p>　ここでは敢えて、4つのキーワードを挙げて、お客様にとって必要な対応はシステムを通してどうやって行われるかの実態に迫る。そのキーワードは、CRM、MA、オムニチャネル、そしてユニファイドコマース。小林社長の発言を丁寧に読み解けば、それらの言葉に内包された本質が浮かび上がってくる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-第1章-ma-はツールではなく-気づき-を届けるための思考装置">第1章：「MA」はツールではなく、“気づき”を届けるための思考装置</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-マーケティングとは-ー価値ある体験を届ける">マーケティングとは？ー価値ある体験を届ける</h3>



<p>　MAという言葉は「マーケティング・オートメーション」。つまり「マーケティングを自動化するツール」として受け止められることが多い。しかし、この定義には大きな誤解が潜んでいると小林社長は語る。</p>



<p>　そもそもマーケティングの定義自体が曖昧。特に日本で見られる書籍を見ても“注釈だらけの複雑な定義”になってしまっていて、大混乱（笑）。</p>



<p>　それに対し、アメリカの定義は「提供物の創造・伝達・交換を通じて価値を届ける活動」とシンプルでわかりやすい。つまり、それによれば、マーケティングとは「<strong>価値ある体験を届けること</strong>」なのだ。</p>



<p>　その上で、常に顧客と作り出す体験こそ全て。では、そのオートメーションって何なのだろう。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-配慮をシステム的に支える思考装置">配慮をシステム的に支える思考装置</h3>



<p>　彼によれば、「MAとは、ただのマーケティングの自動化ではなく、<strong>顧客の行動に対する“配慮”をシステム的に支える思考装置</strong>である」。</p>



<p>　たとえば、EC業界でよく語られる「カゴ落ち対策」。</p>



<p>　カートに商品を入れたまま購入せず離脱したユーザーに対して、リマインドのメールを送るという施策だ。確かにこれもMAの一例ではあるが、それを“ただ送ればいい”と捉えるのは本質を見誤っている。</p>



<p>　大事なのはその事実ではなく、そこに気付いて配慮するという人間の行動である。</p>



<p>　「単に送る」ではなく「どう届けるか」「どんな言葉で伝えるか」。MAは、そうした人間の“気づき”や“配慮”を形にして、PDCAを回すための思考装置なのだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-顧客はお店ごと異なるから配慮も異なる">顧客はお店ごと異なるから配慮も異なる</h3>



<p>　つまり、重要なのは、そのアプローチが<strong>店舗や顧客ごとに最適化されているか</strong>どうかである。</p>



<p>　仮に、ぶっきらぼうな言葉で「カゴに商品が残っています」とだけ送っても、むしろ購買意欲を削ぐ可能性すらある。</p>



<p>　だからこそ、運営者は顧客の行動履歴や関心に基づき、言葉のニュアンスや送信タイミングを考慮して設計しなければならない。MAとは、<strong>その“配慮のきっかけ”を見つけ、実行に移す装置</strong>なのだ。まずこの本質を見誤らない様にしたい。ここではそれを真意のMAと呼ぶことにしよう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-第2章-crmとは-接客-ではない-すべての顧客体験に宿る視点">第2章：CRMとは「接客」ではない、すべての顧客体験に宿る視点</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-crmとは-顧客との関係性を築く全ての行動">CRMとは？顧客との関係性を築く全ての行動</h3>



<p>　そして、マーケティングとは「価値ある体験を届けること」であるとすれば、CRMもその一部と考えるに相応しいということになる。なぜなら、上記の通り、言葉のニュアンス、送信タイミングなどを考慮することはまさに、CRMに他ならないからだ。</p>



<p>　ところが、このCRMという言葉にもまた、誤ったイメージがつきまとっている。</p>



<p>　よくあるのは、「会員ランク性の運用」「定期通販でコールセンターが丁寧に接客すること」。それがCRMという狭義の理解だ。しかし小林社長は、CRMとは「顧客との関係性を築くすべての行動」に宿る概念であると語る。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-なにも接客そのものだけではない">なにも接客そのものだけではない</h3>



<p>　だとすれば、たとえば店舗での返品対応、配送タイミングの調整、商品のおすすめ、さらにはその伝え方まで。すべてが顧客満足度を左右する要素であり、それらの積み重ねこそが「CRM」そのものだというのだ。</p>



<p>　要するに、顧客との接点が生まれる全てにCRMが存在すると考えた方が正しい。そして、本当の意味での「MA」は、そのCRMを支える道具となるわけだ。</p>



<p>　なぜなら、これだけデジタルを活用する時代、ECサイト上にお客様の行動履歴が蓄積されるからである。</p>



<p>　データの分析からお客様の接点を最大化させる。きっかけはどの行動に起因するんだろう。その共通軸を提示するのが、MAなのである。だから、彼らはそれをECに特化させる形で、MAを提供してきたわけだ。</p>



<p>　すなわち、配慮ある対応を考えるのは人間であり、MAはそれを効率的かつ広範に届けるための仕組みである。CRMとMAは二項対立ではなく、本来は“同じ地平にある”視座なのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-第3章-オムニチャネルの限界-ユニファイドコマースが必要な理由">第3章：オムニチャネルの限界、ユニファイドコマースが必要な理由</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-連携がもたらす不一致とその限界">連携がもたらす不一致とその限界</h3>



<p>　これが「オムニチャネル」という概念にも関わってくる。それは、真意のMAは、顧客との接点が生まれる全てに配慮が生まれ、それはECに限らないからだ。</p>



<p>　これまでの理解で言えば「オムニチャネル」は、リアルとネットを横断する接点設計である。わかりやすく言えば、リアルとネットのお客様情報を会員IDとして統合。商品在庫もリアルとネットで在庫を統一して考える。</p>



<p>　これに関しては、リアルを主体としてきた企業が、コロナ禍を経て重要性が高まったという印象が強い。お客様を取りこぼさない様に。そして、在庫を増やさぬ様に。そう考えたからに他ならない。</p>



<p>　しかし小林社長はこのオムニチャネルに対し、「あくまで“連携”に過ぎない」と語る。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-オムニチャネルとは-ecとwms-posを繋ぐ">オムニチャネルとは？ECとWMS、POSを繋ぐ</h3>



<p>　たとえば、図で見ればわかるように、ECシステム（Front End/Back End）、WMS（倉庫管理）、POS（店舗管理）がそれぞれ独立した形で存在しており、それらがAPIなどを通じて連携されている状態が「オムニチャネル」である。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" fetchpriority="high" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/Omni-channel250401-3.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-56354" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/Omni-channel250401-3.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/Omni-channel250401-3.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/Omni-channel250401-3.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="(max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　これを共通して、会員データで統一するわけだ。これでも十分な進化で、顧客満足度は向上する。</p>



<p>　ただし、本質を辿ればまだ、完全とは言えないのである。なぜかわかるだろうか。この構成では、在庫管理や価格設定、決済処理などが各システムに分散されているため、顧客への一貫した対応には限界があるからだ。</p>



<p>　たとえば、どんなことが起こりうるのだろう。</p>



<p>　実際、よくある事例として「<strong>ECで3足1,000円</strong>（1足400円）の商品をセール＋クーポンで<strong>購入</strong>し、<strong>1足だけ</strong>を<strong>店舗で返品</strong>したい」といった場面がある。ところが、バラバラなシステム設計ゆえに「いくら返金すべきか」という判断がスムーズにできず、顧客も現場も混乱する。</p>



<p>　正解は、1足400円なので、200円返金である。だが、それを即座に算出するのは難しい。</p>



<p>　でも、それをできる様にしていくことが、必要なのである。そこで出てくる概念がユニファイドコマースとなる。これでこそ、真意の「MA」が実践できるとしている。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-統合という理想-ユニファイドコマースの登場">統合という理想──ユニファイドコマースの登場</h3>



<p>　だから最近、Shopifyは「Shopify POSを使うように」と明確に打ち出し始めていて、それと絡んでいる。</p>



<p>　これはPOSまで含めた“統合”を自らのプラットフォーム内に取り込むことで、ユニファイドコマースへの道を切り開こうとしているからにほかならない。</p>



<p>　改めて、ユニファイドコマースとは何か。それは、EC・WMS・POSといった各種業務システムが、最初から<strong>ひとつの共通ロジックの下で</strong>動作している構造を意味する。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/unifiedcommerce250401-2.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-56355" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/unifiedcommerce250401-2.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/unifiedcommerce250401-2.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/unifiedcommerce250401-2.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="(max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　会員管理、価格決定、在庫、決済、出荷。それら全ての情報が同じシステム内にあり、一貫したルールのもとで処理される。つまり“連携”ではなく“統合”されている状態である。</p>



<p>　これにより、店舗でもネットでも同じ判断基準で、同じようにサービスを提供できるのだ。</p>



<p>　オムニチャネルが「つなぐ」ことで利便性を実現しようとするのに対し、ユニファイドコマースは「最初からひとつである」ことで精度とスピード、そして何より“顧客への配慮”を最大化する。</p>



<p>　小林社長が重視しているのは、まさにこの思想だ。それで初めて、先ほどの様な混乱は起こらない。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-第4章-小林社長が考える-理想-のコマース像">第4章：小林社長が考える“理想”のコマース像</h2>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-サービスレベルの最大化のための一体化">サービスレベルの最大化のための一体化</h3>



<p>　小林社長の理想は明確だ。</p>



<p>「サービスレベルを最大化するためには、すべての業務が一体化されていなければならない」。</p>



<p>　それは現実的にはできていないことではある。だけど、考えとしては、それを目指していかなければならない。そこを見越して、メール配信ひとつとっても考えは貫かれている。</p>



<p>　その理論からすれば、「カゴ落ち通知」は、ただのトリガーで送るのではない。そう考えているのである。極論、その人が“今注文すればいつ届くか”まで加味して伝えるべきであるという。</p>



<p>　そこには、WMSや在庫、配送ロジックと連動したデータ基盤が不可欠となる。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-効率化ではなく顧客満足の世界">効率化ではなく顧客満足の世界</h3>



<p>　おわかりいただけるだろうか。単なる効率化の話ではない。</p>



<p>　たとえば、商品の在庫が倉庫に到着し、その情報が即座にECに反映され、最短配送可能日が自動計算されて、サイトに表示される。そんな仕組みが整えば、顧客は“いつ届くのか”を正確に知ったうえで購買判断ができるようになる。</p>



<p>　また、返品対応や価格調整といった複雑な業務も、統合されたシステム設計によってこそ柔軟に対応可能となる。つまり、ユニファイドコマースの思想があってこそ、MAもCRMもその真価を発揮することができるのだ。</p>



<p>　それは顧客が満足する環境を作り出すからなのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-最後に-言葉に振り回されず-顧客から逆算して行動せよ">最後に：言葉に振り回されず、顧客から逆算して行動せよ</h2>



<p>　MAやCRMという言葉は、今やマーケティング界隈で当たり前のように使われている。しかし小林社長の話を聞けば、それらの言葉が本質を伝えていないことに気づかされる。</p>



<p>　重要なのは、「ツールを導入するかどうか」ではなく、「そのツールで何を実現したいのか」という目的意識である。顧客に対してどのような配慮をすべきか。そこから逆算して設計されるべきなのだ。</p>



<p>　リアルとネット、倉庫と現場、全ての接点を貫く顧客満足のための仕組みこそが、真の意味でのCRMであり、それをアクションとしていくためのMAがある。そして、その土台を支えるのがユニファイドコマースの考え方である。</p>



<p>　極論、そこに近づく考え方を整理していくこと。それが店にとってお客様をファン化させて、一番、売上を上げる近道なのだと思う。なぜならそれができていれば、もはや顧客の間で熱狂が生まれているからだ。この本質に対して、店はどう動けるか。</p>



<p>　全ては、顧客の「この店、好きだな」という体験を生み出すために──。</p>



<p>今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/04/ec-crm-ma-unifiedcommerce/">MAでもCRMでもない。「配慮」を設計するという発想──シナブル小林社長の言葉から考える、ECと顧客体験の再構築</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>リアルの「色気」とオンラインの「光」が交差する時代―感性を瞬時に切り取り、仕組み化する株式会社yutori・片石貴展氏の挑戦―</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2025/03/yutori-brand-strategy/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=yutori-brand-strategy</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 28 Mar 2025 04:35:38 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[ECshop/自社EC]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　ファッションワールド東京のセミナーに登壇した株式会社yutori 代表取締役の片石貴展氏。彼は「若者が熱狂するブランド」を次々と立ち上げながら、IP [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/03/yutori-brand-strategy/">リアルの「色気」とオンラインの「光」が交差する時代―感性を瞬時に切り取り、仕組み化する株式会社yutori・片石貴展氏の挑戦―</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#ddeffa">　ファッションワールド東京のセミナーに登壇した株式会社yutori 代表取締役の片石貴展氏。彼は「若者が熱狂するブランド」を次々と立ち上げながら、IPO（株式上場）やM&amp;Aを駆使して急成長を遂げている時代の寵児である。表向きは“Z世代ストリート企業の成功者”と見られがち。だが、その実、彼の狙いはもっと奥深い。なぜなら、売り切り御免のネット通販の“光”と、長く愛されるリアル店舗の“色気”とを同時に追求しているからで、そんな姿にこそ、この時代にフィットするファッションビジネスの姿が浮かび上がる。</p>



<p>　その言葉が響いたんだよな。</p>



<p>　「ネットは一瞬の熱量を逃さず売り切る。そのスピード感は光のように速い。一方、リアル店舗には奥行きや継続力があり、それこそが色気としてお客様に伝わる」。</p>



<p>　こう語る片石氏は、ECに軸足を置いて成長してきた一方で、リアル店舗への積極投資も行い、急拡大を成し遂げている。考え方が本質的。このセミナーでは、Z世代向けビジネスを起点に躍進したyutoriが、いかに“リアル”と“オンライン”を使い分けながらブランドを長く浸透させているのか、その背景にある戦略と想いが余すところなく語られたのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-1-リアルがもたらす-色気-とオンラインの-光"><strong>1．リアルがもたらす“色気”とオンラインの“光”</strong></h2>



<p>　ファッション企業の多くは、オンラインとオフラインの接点をどう扱うかに頭を悩ませている。</p>



<p>　特にコロナ禍を経て、ECを強化する流れが加速してきたのは言うまでもない。一方で、「リアル店舗はオワコン」的な言説が一時期取りざたされたのも事実。しかし片石氏は、まさにその真逆を示すかのように、「リアル店舗」の拡大に力を注いでいる。</p>



<p>　でもそれは、過去、ネットを通して、生産性高く、圧倒的速さで躍進したからこその着地点だ。</p>



<p>　「ネットは“光”のように一瞬で売れる反面、あっという間に流れ去ってしまう。でもリアルは同じ服を置いていても‘色気’がにじみ出る。店舗の空気、照明、スタッフとの会話――それらが奥行きを生み、ブランドを長く支えてくれるんです」</p>



<p>　この「色気」という言葉は、実に面白い。商品自体が持つ魅力というよりは、「店舗空間でしか味わえない雰囲気」だと片石氏は語る。</p>



<p>　ECは“いま売れるもの”を見逃さず、瞬間最大風速でヒットを作ることに適している。</p>



<p>　それを“光”と表現し、ときに定番商品を育てることよりも目先のトレンドを優先する傾向を指摘する。そこに対して、リアル店舗こそが“色気”を宿し、ブランドとしての文化や歴史、人とのつながりをしっかりと育んでいく。</p>



<p>　両者の相互作用をうまく使い分けるからこそ、yutoriは若者向けのストリートブランドをオンラインで一気に拡大しつつ、実店舗で奥行きのある世界観を伝えることに成功しているのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-2-古着-に始まるブランド創造-一点物ecがもたらした試行錯誤"><strong>2．“古着”に始まるブランド創造――一点物ECがもたらした試行錯誤</strong></h2>



<p>　yutoriの出発点は“古着”で、時代背景を読む嗅覚があった。 「自分たちが学生の頃は、ネットで古着を買わなかった。けれど、ファストファッションが流行り、それに替わるものとして、古着を買うようになっていくと思った」。 </p>



<p>　片石氏は、まず「古着女子」というInstagramメディアの立ち上げに触れている。まさに、24歳で起業した片石氏がまだ資金もスキルもない状態のとき、唯一の武器として始めたものだ。</p>



<p>　しかし、当初は苦労も多かったという。古着は一点物であり、在庫管理が難しい上に、写真撮影や採寸、商品コメント作成（いわゆる「ささげ」業務）に膨大な手間がかかる。</p>



<p>　それをECで売ろうとしても、同じ商品を大量に販売できるわけではないからスケールがしにくい。実際に運営してみると「費用対効果が悪すぎる」ビジネスモデルだったのだ。</p>



<p>　ただ、若者のリアルな声や流行の種を次々と拾い上げる“センサー”として、古着メディアは機能した。</p>



<p>　すると次第に「新品を作ったほうがいいのでは？」という気づきが社内で芽生え、ストリートブランドやルームウェアなど、ヒットを生むさまざまなブランドが派生していった。ここで大きかったのが、<strong>「新品なら在庫をまとめて作れる」</strong> という、古着にないスケールメリットだった。</p>



<p>　一方、古着に取り組んだ経験は、「一点物を売り切るための瞬発力」や「デザイン・撮影での魅せ方」といった土台をもたらした。結果的に、最初の古着事業は莫大な売上を上げたわけではない。だが、そこに現場の感性が凝縮され、それが次の事業への飛躍に繋がったのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-3-色気と光の掛け合わせ-すぐ売る-長く愛される-それぞれの価値"><strong>3．色気と光の掛け合わせ―すぐ売る・長く愛される、それぞれの価値</strong></h2>



<p>　売り切りが得意な「オンライン」は、スピード重視の“光”のようにパンと広がる。一方、「リアル店舗」は、ブランドを深く愛してもらうための“色気”の要素が強い。yutoriは、どちらかを捨てるのではなく、両方を最大化している。</p>



<p>　たとえば、SNSやECで勢いよくヒットを生むブランドを「短期集中」で打ち上げる一方で、一定以上の売上規模や人気が得られたブランドに関しては、積極的に実店舗を展開する。</p>



<p>　現代のファッションは瞬時に消費されるイメージが強いが、リアル店舗があることで「店舗スタッフの接客」「商品の陳列・空間づくり」「直接コミュニケーションできるイベント」といった色気を帯びる余地が生まれる。</p>



<p>　そこでは顧客がゆっくりとブランドの世界観に浸り、作り手の想いを感じ取り、結果的に長期的なファンになっていく。</p>



<p>　しかも、その色気が強化されればされるほど、オンラインで販売する際のブランド価値にも上乗せされる。すぐ売り切る“光”の勢いと、じわじわ続く“色気”の底力。この両輪こそが、片石氏の言う「感性を最大化する仕組みづくり」なのだろう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-4-ブランドの-やめ時-をルール化する-yリーグの真意"><strong>4．ブランドの「やめ時」をルール化する―Yリーグの真意</strong></h2>



<p>　アパレル事業では、新しいブランドを立ち上げる以上に「撤退の決断」が難しい。デザイナーや担当者は思い入れが強いため、売上が伸びなくても“愛着”で惰性運営してしまうケースは珍しくない。そこに対してyutoriは「Yリーグ」という仕組みを導入している。</p>



<p><strong>「月商700万円を1年以内に達成しなかったら撤退」</strong></p>



<p>　この厳格なルールをあらかじめ提示することで、情や愛着ではなく“経営”としてブランドの存続を決める仕組みを作り上げたのだ。</p>



<p>　もちろん、立ち上げ当初からそれを目指すのは容易ではない。</p>



<p>　しかし、ルール化することで当事者にも「ブランドとして勝ち残る」明確な目標が示され、逆に言えば「達成できなければストップする」という潔さが伝わる。すると現場も最初から全力を尽くし、成功したブランドにはより熱が集まり、結果として非連続的な成長を引き出す要因になった。</p>



<p>　つまり、このYリーグという共通化させたプラットフォームの上に、30以上のブランドが集まることになった。そうすれば、古着単体の商売よりも生産性が高く、スケールしやすくなる。SNSなどを巻き込み、尖った感性が常にそこに集約される格好になった。</p>



<p>　実際、yutoriは創業7期にして、売上予想80億円（※セミナー当時）の規模まで成長している。その影には、多くのトライ＆エラーがありながらも「やめ時を決める」選択が効いていたわけだ。</p>



<p>　完成という曖昧なものを仕組み化でカバーし成果に繋げたわけである。案外、論理的で、本質的である。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-5-z世代だけじゃない-m世代や多世代を巻き込む拡張戦略"><strong>5．Z世代だけじゃない――M世代や多世代を巻き込む拡張戦略</strong></h2>



<p>　SNSを武器に急拡大したyutoriは、一見「Z世代専業」のようにも見える。しかし片石氏は「Z世代だけにこだわっているわけじゃない」と明言している。ここが実に彼らしい。Z世代すらキッカケでしかない。</p>



<p>　彼の視点は「自分たちがリアリティを持てる領域に全力を注ぐ」という単純明快なスタンスにある。</p>



<p>　企業として立ち上げて間もないころは、片石氏も20代半ば。自分たちの強みを最大限に生かすには、同世代のトレンドを読むことが得意だった。それゆえZ世代向けのストリートファッションから着手し、大きく成長できたのだ。</p>



<p>　だが、実際に上場を達成し、事業領域を拡げる段階に入りはじめた今、「ストリート以外のテイストでも、自分たちがリアルに理解できるジャンルや、協業できる仲間がいればチャレンジしたい」という姿勢を見せる。</p>



<p>　<strong>Her lip to</strong>を子会社化したのもその一例だ。これは“小嶋陽菜さん”というまったく別のターゲット層を持つブランド。yutoriの中でも年商10億程度の店が多い中、<strong>Her lip to</strong>はその数倍をいく。だが、ある種の“切り口”を共有し、双方が学び合える関係性があったからこそ成立している。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-6-異なる世界観でも共鳴する-感性の設計図-という切り口"><strong>6．異なる世界観でも共鳴する、“感性の設計図”という切り口</strong></h2>



<p>　「Her lip to（ハーリップトゥ）」は、確かに、一見、yutoriとは対照的である。それにも関わらず、根底にある“切り口”の共有があったのだ。</p>



<p>　それは、テイストやターゲットではなく、<strong>「感性を起点にブランドを育てる」という哲学の一致</strong>だ。</p>



<p>　Her lip toは、30代女性に向けたロマンティックで洗練された世界観。それを、SNSやEC、そしてリアルイベントを通じて届けている。</p>



<p>　一方、yutoriはZ世代のストリートカルチャーに根ざしたプロダクトを次々と打ち出してきた。ターゲットもテイストも異なるが、<strong>「自分たちがリアリティを持てるカルチャーを熱狂の構造に乗せて育てていく」</strong>という発想は共通している。</p>



<p>　お互い、“感性の設計図”を持つ者同士。だからこそ、違いがあってこそ学び合えるという着地を得た。片石氏が「お互いに刺激を与え合える関係性」と表現するゆえんは、まさにこの部分にある。</p>



<p>　さらに海外展開にも積極的。韓国ブランドや台湾の商業施設への出店など、今後は若者中心だった日本国内からアジア全域への拡張を狙っている。</p>



<p>　そう考えると、「Z世代＝若さ」だけではない。「その世代が育んできた商品起点のコミュニティ文化を、他世代にも通じる形にリミックスできるのか」。その発想がyutoriの独自性だと言える。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-7-m-amp-aと-若者帝国-次々と仲間を増やす仕組み"><strong>7．M&amp;Aと“若者帝国”――次々と仲間を増やす仕組み</strong></h2>



<p>　yutoriの成長を加速させているもう一つの要因が、やっぱり、M&amp;Aへの積極的な姿勢だ。ファッション業界におけるM&amp;Aといえば、LVMHのような巨大グループの例が思い浮かぶかもしれない。しかし、yutoriは“ベンチャー”でありながら、短いスパンで複数ブランドを取り込んでいる。だから、熱狂するというわけだ。</p>



<ul class="wp-block-list">
<li>•&nbsp;<strong>Her lip to</strong>（ストリートとは真逆のフェミニン路線）</li>



<li>•&nbsp;<strong>オーバープリント</strong>（規模が小さいながらも熱量のあるブランド）</li>



<li>•ミニュム（minum）（プチプラコスメのリブランディング）</li>
</ul>



<p>　いずれも、単なる買収による売上増を狙うというより、「異なる感性を持つチームをグループに迎え入れ、若者帝国としてパワーを拡張する」イメージだ。</p>



<p>　加えて片石氏が強調するのは「人材を呼び込むためのニュースづくり」の重要性でもある。上場した企業が次々にM&amp;Aを仕掛けると、市場からの注目度が高まる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-7-sランク-が当たり前になる世界へ-m-amp-aが引き上げる全体のレベル感"><strong>7．“Sランク”が当たり前になる世界へ──M&amp;Aが引き上げる全体のレベル感</strong></h2>



<p>　同時に、yutoriは独自に採用している「NICOモデル」というのがあり、ブランド戦略の中核を担う仕組みだ。</p>



<p>　これは、<strong>N（ニッチ）→I（アイコニック）→C（コラボ）→O（オフライン）</strong>の頭文字を取ったもの。</p>



<p>　ニッチで熱量の高い市場を選び、象徴的な商品を企画し、コラボで拡張し、リアルで体験させるという流れが特徴だ。</p>



<p>　このモデルをベースに、yutoriは「Sランク商品」と呼ばれるヒットアイテム（＝1シーズンで500万円以上売れる商品）を数多く生み出しているのだ。</p>



<p>　実際、2023年2月〜7月のシーズンでは、全社売上の約2割をこのSランク商品が占めたとか。<strong>つまり、限られた“当たり”を狙うのではなく、ヒットを“仕組み化”して再現性を持って量産している</strong>。</p>



<p>　こうした再現性あるヒットを、自社ブランドだけでなく、<strong>M&amp;Aによって取り込んだブランドにも横展開していく</strong>ことで、全体のレベル感を底上げする。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-8-m-amp-aで掴んだブランドを自らの仕組みと掛け合わせる">8.M&amp;Aで掴んだブランドを自らの仕組みと掛け合わせる</h2>



<p>　たとえば、Her lip toのように既に高い完成度を誇るブランドをグループに迎えることで、「Sランクが当たり前」の空気が社内に広がる。すると、既存ブランドにも良い緊張感が走り、<strong>“普通のヒット”では満足できない組織文化が自然と育っていく</strong>。</p>



<p>片石氏の言う「ニュースをつくるためのM&amp;A」や「人材を惹きつける磁力」とは、単なる買収ではなく、<strong>全体の感性と成果の水準を引き上げるための成長装置</strong>なのだ。M&amp;Aはyutoriにとって、新しい“熱”を取り込み、自社の成長ループを加速させるエンジンでもある</p>



<p>　そうすると、結果的に「面白い人が入りたがる」環境ができる。</p>



<p>　それをするのは、ファッションビジネスは何より「人材」が命だと彼は考えているからだ。</p>



<p>　そのためには常に新しい話題性を提供し、世の中の才能が「yutoriグループ面白そう」と思ってくれる状態を作ることが肝要。企業の体力が増すほどに、M&amp;Aでダイナミックに事業領域を広げる。それは従来の老舗アパレル企業とは異なる、ベンチャーらしい“攻めの姿勢”と言えるだろう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-9-新時代のブランドづくりに学ぶ-好き-を軸に未来を切り拓く"><strong>9．新時代のブランドづくりに学ぶ――「好き」を軸に未来を切り拓く</strong></h2>



<p>　片石氏が繰り返し口にするキーワードが「好きなことを、好きな人たちとやりたい」だ。マインドともいえよう。これは設立当初から変わらないyutoriの根幹であり、そのうえでビジネスを“仕組み化”しながら感性を伸ばしてきた。</p>



<ul class="wp-block-list">
<li>•&nbsp;<strong>一点物の古着をどう扱うか？</strong></li>



<li>•&nbsp;<strong>Z世代がリアルに欲しがる新品をどう企画するか？</strong></li>



<li>•&nbsp;<strong>“やめ時”をあらかじめ決めることで、熱量と経営判断を両立させる仕組み</strong></li>



<li>•&nbsp;<strong>オンラインとオフラインを「光」と「色気」で結ぶブランドの奥行き</strong></li>



<li>•&nbsp;<strong>縦軸（世代）と横軸（テイスト）を拡張し、多層的にコミュニティを作る</strong></li>
</ul>



<p>　こうした総合力こそが、今の時代を象徴するファッションビジネスのモデルになりつつある。</p>



<p>　冒頭のリアルに対しての視点、それから多世代に対しての視点はある種、共通している。例えば、オンラインで瞬間的に売り切るスピード感が、情報飽和の現代では確かに効果的だ。</p>



<p>　だがその分だけ、ブランドやコミュニティの“温度”が抜け落ちてしまう危険もある。</p>



<p>　だからこそ片石氏は、「あえてリアル店舗を増やす」ことで、ブランドを深める“色気”の部分に価値を見出し、そこにこそ再投資をしているというのだ。</p>



<p>　また、「Z世代だけに限らず、自分たちがリアリティを感じられる領域で勝負する」姿勢は、どの世代に対しても応用がきく。それは、まさにZ世代における武器だった、SNSの利用度合いを見て感じるという。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-10-ブランドの-核-は-リアルとデジタルの掛け算にある">10.<strong>ブランドの“核”は、リアルとデジタルの掛け算にある</strong></h2>



<p>　その利用度合いからして、SNS活用など、むしろ30〜50代の人に対してアプローチすることのほうが伸び代があるのでは。要は転がっている曖昧なニーズをどう仕組み化するかなのだ。</p>



<p>　事実、YouTubeを始めとする動画プラットフォームの<strong>利用者層は確実に広がっている</strong>。だから、その“新しい波”を見逃さない姿勢が成長を後押しする。</p>



<p>　さらにM&amp;Aにおける人材の巻き込み方などを見ると、「自分の好きなことを自分よりも得意な人と組むことで大きく飛躍できる」という考え方が根本にあるのがわかる。</p>



<p>　足りない部分を補い合うのではなく、得意を掛け合わせて“爆発”させる。この発想があるからこそ、片石氏のもとには異なるテイストのブランドが次々に集まってくるのだ。</p>



<p>　繰り返すが、片石貴展氏の語りから浮かび上がるのは、「光（オンライン）と色気（リアル）」のあいだにあるダイナミックなブランド運営である。ネット通販は一瞬の売れ筋をさっと捉え、華やかな“光”の力で売り切る。</p>



<p>　その一方で、店舗というリアルな場では、スタッフやディスプレイ、空気感を通じて“色気”を感じさせる奥行きを育む。短期間のスピード消費と長期間の愛着維持をうまく両立できる。だからこそ、yutoriのブランドは若者の間で爆発的に広がり、さらには時代を超えて多世代に支持され始めている。</p>



<p>　そして、「辞め時」をあらかじめルール化するYリーグや、コミュニティを巻き込むM&amp;A戦略などを見ると、そこには「<strong>好きなことに集中するための仕組み作り</strong>」が徹底されていることがわかる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-結び-一瞬を捉え-永遠を育てる-それが-yutori式-の本質">（結び）<strong><strong>一瞬を捉え、永遠を育てる──それが“yutori式”の本質</strong></strong></h2>



<p>　一見すると感性重視の“ふんわり”した企業に見えて、実はきわめて合理的な意思決定が貫かれているのだ。</p>



<p>　今、若者文化を先端としてファッション業界は大きく変革している。</p>



<p>　ゆとり世代（Z世代）を軸に、アジア全域へと挑むyutoriの姿勢は、その変化を象徴する事例と言っていいだろう。だが、彼らが示すのは単なる“若者向け”ではなく、「好き」を起点に“光”と“色気”を行き来する新たなブランドづくりの在り方そのものだ。</p>



<p>　そこには、「時代の感性を瞬間的に切り取りながら、長く愛される土壌を同時に育てる」強い意志がある。片石氏の話が説得力を持つのは、まさにこの二面性を両立させるために、彼自身が日々もがき続け、その仕組みを実装してきたからだろう。</p>



<p>　ファッションの光と色気が混ざり合うこの時代のビジネスを、どのように楽しみ、どのように広げていくのか。yutoriの事例は、そのヒントがたっぷりと詰まっている。</p>



<p>　若者向けビジネスを越えて、あらゆる世代のプロダクトやコミュニティづくりにも応用できる要素が多いはずだ。「自分がリアリティを持てるジャンルで、“好き”を徹底的に仕組み化する」。</p>



<p>　そこにこそ、今を生きるブランドに必要な“核”があるのではないだろうか。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/03/yutori-brand-strategy/">リアルの「色気」とオンラインの「光」が交差する時代―感性を瞬時に切り取り、仕組み化する株式会社yutori・片石貴展氏の挑戦―</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>タイミーが生んだ新たな雇用モデル─小川嶺さんが語るスポットワークの真価</title>
		<link>https://145magazine.jp/goodsnews/2025/03/ogawa-taimee-spotwork/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=ogawa-taimee-spotwork</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Sat, 01 Mar 2025 03:39:45 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[サービスイン]]></category>
		<category><![CDATA[モノ談]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　柔軟かつ前向きな発想で時代の変化を捉え、新たな道を切り拓く姿勢。そこに感銘を受けた。オムニチャネルDAYでは、日本オムニチャネル協会会長・鈴木康弘さ [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/goodsnews/2025/03/ogawa-taimee-spotwork/">タイミーが生んだ新たな雇用モデル─小川嶺さんが語るスポットワークの真価</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#daeefa">　柔軟かつ前向きな発想で時代の変化を捉え、新たな道を切り拓く姿勢。そこに感銘を受けた。オムニチャネルDAYでは、日本オムニチャネル協会会長・鈴木康弘さんがモデレーターを務め、株式会社タイミー代表取締役・小川嶺さんが登壇。着目したのは、日本の労働市場。少子高齢化の影響を受け、深刻な人手不足の時代へと突入している。こうした中、企業は労働力確保の新たな選択肢として、従来の正社員雇用や長期アルバイトとは異なる「スポットワーク」に注目している。</p>



<p>　小川さんの視点と行動力は、新たな気づきをもたらし、企業に知恵をくれるとともに、起業を目指す者にも学びとなりそうだ。スポットワークの現状と未来について考察し、その発想の舞台裏に迫る。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-1-スポットワークが生まれる必然性"><strong>1. スポットワークが生まれる必然性</strong></h2>



<p>　小川さんはまだ二十代。一見すると、タイミーは上場企業となり、順風満帆の様に見える。でも、実は一度会社を廃業した経験もあり、苦労人ではある。ただ、それでもめげずに、とにかく一直線。目的を定めるなり、すぐに行動に移し、このタイミーという会社で、彼は一躍時代の寵児となった。</p>



<p>　この背景には、柔軟で前向きな発想がある。その本質を捉えることで、読者にも「挑戦は決して特別なことではない」と感じてもらえたらと思う。</p>



<p>　そこには、絶妙なタイミングをつかんだ運の要素もあっただろう。特に印象的だったのは、小川さんの「人口減少が進む中で、企業と働く人の意識が変わった」という言葉だ。これまで長い間、企業と雇われる関係性においては、どこか企業側の方が強い立場にある様に思えた。</p>



<p>　それには理由がある。実際に、企業の数に対して、働く人の数の方が多いからだ。必然的に、企業が働く人を“選別”する立場にあった。ところが、それが2020年代に入って変貌した。</p>



<p>　これこそが時代の変化を敏感に察知し、運を味方につけたと思う所以である。</p>



<p>　つまり、人口減少によって労働市場のバランスが崩れた。企業が労働者を選ぶ立場から、確保に奔走する立場へと逆転したのである。つまり、事業を続けるためには、選り好みをしている余裕がなくなり、働き手を集めること自体が大きな課題となったのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-2-スポットワーク-という新概念"><strong>2. 「スポットワーク」</strong>という新概念</h2>



<p>　だから、小川さんの発想がピタリとハマった。</p>



<p>　要するに、雇用のあり方を見直した。そして、短時間でも効率よく働ける環境を、スマホ一つで実現できる仕組みを作り出したのだ。それは、時代の流れを的確に捉えたものだった。</p>



<p>　企業側も、自らの経営課題に対応するため、必要なタイミングで人材を補充しながら柔軟な働き方を整えざるを得ない。結果、このスタイルこそが、新たな常識へと変わっていったのだ。</p>



<p>　そもそも、小川さんが最初からそれを考えていたかというと、そうではない。しかしタイミーを立ち上げた背景には、従来のアルバイトや派遣という働き方に対する強い問題意識があったのは事実だ。</p>



<p>　求人情報に応募し、面接を経て雇用契約を結ぶ従来のプロセス。それは、求職者にとっても企業にとっても時間と手間がかかるものだった。しかし、実際には「今日、数時間だけ働きたい」というニーズも多い。そのギャップを埋めるため、生まれたのが、スポットワークという新しい働き方である。</p>



<p>　この「スポットワーク」というキーワード。これこそ、この会社を大きく躍進させる要因となったのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-3-成功の鍵は-時代の流れを読む力"><strong>3. 成功の鍵は「時代の流れを読む力」</strong></h2>



<p>　それは、企業側にとっても、急な人員不足に対応できるだけでなく、従来の求人広告や採用活動にかかるコストを削減できる点が魅力となる。</p>



<p>　何より、日本の労働市場の変容はもう一つの観点でも見られた。これもこの事業には大きい。それは、長らく続いた「終身雇用」からの脱却だ。</p>



<p>　近年では副業の解禁や柔軟な働き方を推奨する企業も増えている。ここに追い打ちをかけたのが、コロナ禍だ。リモートワークの普及や働き方の多様化が進み、「必要な時に、必要なだけ働く」というスタイルへの需要が高まったことがそれを後押しした。</p>



<p>　タイミーはこの流れにうまく乗り、多くのユーザーを獲得したのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-4-スポットワークがもたらす社会的価値"><strong>4. スポットワークがもたらす社会的価値</strong></h2>



<p>　それらスポットワークの広がりは、単に人手不足を補うだけではない。働く個人にとっても大きな可能性をもたらしている。</p>



<p>　例えば、小川さんが講演で紹介した事例の一つに、定年退職後にタイミーを活用して再び働き始めた高齢者の話がある。銀行員として長年勤務していた。</p>



<p>　だが、飲食店での接客業を経験することで新たな生きがいを見つけ、365日中300日を働くほどに。こうしたスポットワークの活用により、シニア層の社会参加を促進。高齢者の生きがいにもつながっている。</p>



<p>　また、会社員が副業としてスポットワークを活用するケースも増えている。</p>



<p>　繰り返しになるが、コロナ禍を機にリモートワークが進み、働く時間に余裕ができた。だから、「週末だけ働きたい」「趣味の延長として仕事をしたい」といったニーズが生まれた。スポットワークは、こうした「働くことの選択肢」を広げ、労働市場の柔軟性を高める役割を果たしている。</p>



<p>　なんとタイミー調べでは会社員の占める割合が約3割を占めるほどである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-5-企業はスポットワークをどう活用すべきか"><strong>5. 企業はスポットワークをどう活用すべきか</strong></h2>



<p>　何より評価されるべき小川さんの視点は、雇う側の企業の手間を軽減しようという発想にまで至らせたことにある。働く環境がそれだけコンパクトになれば、企業の人事や総務に対して皺寄せがいくことになる。</p>



<p>　それでは不便さゆえに一向に働く人は増えない。だから、それらの手間を彼らが引き取る。そうすることで、企業がそこに飛び込みやすい環境を作ったわけである。</p>



<p>　つまり、タイミーは、働く人に対して給与を先に立て替えて支払い、その後、企業に請求する仕組みを採用している。このように、単なるマッチングサービスにとどまらず、企業の課題解決の手段として機能したことが、成功の大きな要因となっている。</p>



<p>　そうやって、その「スポットワーク」を、従来のバイトを雇う感覚とは違う概念にしていった。だから、それらを踏まえた一部の企業から、スポットワークを単なる「短期労働力」としてではなく、「業務プロセスの最適化」の手段として活用している事例が見られる様になった。</p>



<p>　例えば、スーパーでは、商品の陳列やピッキングといった業務をスポットワーカーに任せる。それで、<strong>社員はより付加価値の高い業務に集中できる</strong>環境を作っている。</p>



<p>　また、スポットワークを活用することで、新たな人材採用の機会も生まれる。従来の面接だけでは見極められなかった「実際の働きぶり」を企業側が確認できる。そのため、企業と求職者の間のミスマッチを防ぎ、より適切な人材を確保しやすくなる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-6-スマートというより泥臭さ"><strong>6. スマートというより泥臭さ</strong></h2>



<p>　だからこそ、タイミーは「泥臭い部分」にも向き合う。社員の半数を営業職にしているほど。マッチングサービスだけなら、そこまで営業は必要ないはずだ。では、なぜこれほど営業に力を入れるのか？</p>



<p>　それは、蓄積したデータを活用し、企業ごとに最適な働き方や人材活用の方法を提案するためだ。ただマッチングするだけではなく、実際に企業の課題を解決する。そのためには、現場に足を運び、経営者や担当者と直接向き合って話をすることが不可欠だからである。</p>



<p>　僕らが描くタイミーという会社の印象が変わったのではないか。</p>



<p>　そして、忘れてはならないのは、デジタルの力だ。生産性が向上したことで、サービスの細部まで手厚く対応できるようになった。そして何より、先ほど触れた仕組みにより、利用者の利便性が向上し、満足度が高まった。選択と集中がもたらした成功である。</p>



<p>　その結果、リピート利用が増え、市場全体が活性化する基盤が築かれた。こうした仕組みが社会に根付き、文化として受け入れられるほど、タイミーの企業価値はさらに高まっていく。</p>



<p>　時代の変化に対応することで、彼らは企業とともに成長し、さらなる飛躍の機会を生み出している。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-7-そして未来へ">7.そして未来へ</h2>



<p>「働く」という概念が大きく変わる。そう強く感じたのは、小川さんの言葉だった。</p>



<p>「スマホでYouTubeを観る時間があるなら、その時間を“働く”に充ててみてはどうか？」</p>



<p>　従来の「朝9時から夜18時まで働く」という固定観念の中では、こうした発想は生まれにくい。だからこそ、小川さんは“働く”をもっと気軽で柔軟なものへと変え、働くことの魅力を自らの手で広げていったのだ。</p>



<p>　まさに既成概念の打破。</p>



<p>　そして、彼は「スポットワークの可能性は、労働人口の半分を支えるレベルにまで達する」と語る。現在、タイミーの登録ユーザーは1,000万人を超え、今後3,000万人規模への拡大を目指している。さらに、日本の人手不足問題が深刻化する中で、この仕組みが企業の持続的な成長を支える重要な要素となることは間違いない。</p>



<p>　今日、僕たちは「働くことの意味」について改めて考え直す時期に来ている。スポットワークの広がりが、日本の労働環境をどのように変えていくのか。これからの展開に期待が寄せられる。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>



<p class="has-small-font-size">オムニチャネルDAYの様子はここでも。</p>



<p class="has-background has-small-font-size" style="background-color:#f4e9fe">参考：<a href="https://145magazine.jp/goodsnews/2025/03/sukesan-udon-growth-strategy/">街の味を全国へ、そして世界へ――資さんうどんの挑戦</a></p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/goodsnews/2025/03/ogawa-taimee-spotwork/">タイミーが生んだ新たな雇用モデル─小川嶺さんが語るスポットワークの真価</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>挑戦し考え続ける力――モノプラス会長 秋葉淳一さんが語る「無駄にしない人生」</title>
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		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 26 Dec 2024 12:10:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[【buying】サプライチェーンマネジメント]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　目の前にあることをただただ、やり過ごす。その日常では見えてこない。モノプラス 会長 秋葉淳一さんはそれを強調する。それは「経験も無駄ではない」「時間 [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2024/12/junichi-akiba-chairman-of-monoplus-talks-about-a-life-not-wasted/">挑戦し考え続ける力――モノプラス会長 秋葉淳一さんが語る「無駄にしない人生」</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#f2f9fe">　目の前にあることをただただ、やり過ごす。その日常では見えてこない。モノプラス 会長 秋葉淳一さんはそれを強調する。それは「経験も無駄ではない」「時間は無駄にしない」とも表すことができる。徹底してその真理を突き詰めて、物事の本質を解き明かすこと。それを繰り返すのが、彼にとっての無駄にしないセオリー。エンジニア、経営者など多岐にわたる経験で、自身が学んだことだ。常に「何が本当に大事なのか」を問い続けてきた人生。その軌跡には、AI時代を迎える現代においても通じる、普遍的な教訓が詰まっている。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-どんな経験も無駄ではない"><strong>「どんな経験も無駄ではない」</strong></h2>



<p>　自分が大事にしているのはこれでなんですよね。そう言って見せられたのがこの二つだ。</p>



<p><strong>「経験は無駄ではない」「時間は無駄にしない」</strong></p>



<p>　こちらは、矛盾しているように思えるが、矛盾していない。多くの人は「時間を無駄にしない」という意味を、単純に「無駄なことをしない」と解釈しがち。だが、「無駄なことをしろ」というのである。</p>



<p>　つまり、一見すると無駄に思えるような経験も、無駄ではない。ただ、それはただ、経験をすればいいわけでもない。経験を受け入れ、そことどう向き合うのか。自らの姿勢について、彼は言っているのである。</p>



<p>　これを語る上では、秋葉さんの過去を振り返ることなしにはありえない。彼が最初に入社したのが新日本製鐵。配属されたのは新規事業で、制御用マイクロコンピュータを扱う部署であった。</p>



<p>　彼は大学で土木工学を学んでいたから、ゼネコンに入ったのに「コンピューターの開発かよ」と当初は嘆いていた。</p>



<p>　おまけに、その後、SCM（サプライチェーンマネジメント）について学ぶべく、海外に行くことになり、ますます遠のいていく。当時、そもそもSCMという言葉すら浸透していなかった。だから、その時の落胆ぶりは、言葉にならないほどだった。</p>



<p>　つまり、この時点では彼は「時間を無駄にしている」そう思い込んでいたのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-想像とは異なる世界が広がっていた">想像とは異なる世界が広がっていた</h2>



<p>　ところが、「何が無駄であるか」。案外、人は、わかっているようでわからない。だから、目の前に何か対峙した時の姿勢が問われるのである。</p>



<p>　少々、話が細かくなるけど、大事な話なので聞いてほしい。実は、製鉄所では、鉄鋼を製造するために多くの工程があり、それぞれの工程で「制御」技術が重要な役割を果たしている。制御技術とは、機械やプロセスを自動的に管理し、最適な状態で運転するための技術のことなのだ。</p>



<p>　これにより、製品の品質を向上させ、コストを削減することが可能になる。</p>



<p>　だから、製鉄所でいえば、鉄が冷えると加工ができないので、それだけ高速でコントロールすることになる。だから、制御用マイクロコンピュータの製造や、製造装置の通信・動作検証を通じて、「10ミリ秒」という単位で物事を考える厳密な世界を経験した。</p>



<p>　ところが、彼は衝撃を受ける。それまでの知見を生かすべく、その後、半導体工場の立ち上げ現場に携わるときのこと。環境は、まるで違っていたのだ。自分の手で、ケーブルを抜いて「3秒」経ったらケーブルを指す。</p>



<p>　つまり、アナログの世界であったわけである。しかし、ここでアナログ作業にとらわれていたら、何も見えない。</p>



<p>　彼はその前の仕事で、物事を俯瞰して、全体での効率化を考えていた。だから、この作業も、それを形成する一部分に過ぎないことを察した。それと同時に、とても大事な作業であることもわかった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-人間こそ-仕組みが大事"><strong>人間こそ、仕組みが大事</strong></h2>



<p>　彼はこれを面白い表現で説明してくれた。抽象度の問題ではないかと。具体的な要素があって、それがある一定のところで抽象化された時に、どこまで抽象化されることが、全体最適になるのか、それを考えることがとても大事だということ。その本質がこの時、片鱗として見えてきたのかも知れない。</p>



<p>　それを踏まえて、僕ら人間が的確な指示を出せば、しっかり現場が稼働していく。それはまわりまわって、個々の人間の業務すらも助けることになって、僕らの環境は改善していく。</p>



<p>　目の前にある事象の何を見極め、どう指示をしていくか。これを考える上で、その物事の本質をみていかなければ、それができない。だから、最初に話した通り、目の前にあることをやり過ごす。その日常では見えてこない。そう書いた次第だ。</p>



<p>　つまり、作業員になってはダメなのだ。それこそが「時間を無駄にしている」ということになる。</p>



<p>　この根本を辿れば、SCM（サプライチェーンマネジメント）にも応用できる。</p>



<p>　サプライチェーンマネジメント（SCM）は、製品の原材料調達から製造、流通、販売に至るまでの一連のプロセスを統合的に管理する手法。この管理手法は、企業が効率的に商品を供給し、顧客のニーズに応えるために重要である。秋葉さんは、現に、SCM導入コンサルタントとして、エスビー食品やユニクロなど数々の企業で成功を収めた。「無駄である」と思った「SCM」が結果、彼の強みとなっていくのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-コンピューターの世界と変わらない">コンピューターの世界と変わらない</h2>



<p>　この話で最も注目すべき点は、全く違う業種であるということ。なにせ、食品とアパレルだ。それでも、活躍する所以はどこにあるのか。繰り返しになるが、仕組みづくりなのである。その意味では、彼が新日鐵で向き合ったことと大きく変わらない。</p>



<p>　それらの倉庫などに訪れ、その環境の違いは感じながらも、一定の共通項を見出す。それこそが、先ほどの抽象度の話につながる。これが突破口になりうる。</p>



<p> 　倉庫では、制御用マイクロコンピュータに関わっていた時とは比べ物にならないくらいに、人の数が多い。だからこそ、イレギュラーがたくさんあったし、業務効率の悪いところも見られた。しかし、その多くが解決策を見出せなかったのは、その目先の作業に追われていたからである。</p>



<p>　ところが、ひらめきを得たのは、実はコンピューターと変わらないではないかということ。コンピューターの業務は設計をして、それを滞りなく、一つの目的を達成するために、連携して形をなしている。それらは一つ一つ、仕組みづくりから入る。実際に作業を動かして、何か問題が発生すれば、その仕組みの部分から立ち返り、解決策を見出していた。それと同じじゃないか。</p>



<p>　しかし、いざそれが人間となると、そういう動き方はしない。なぜなら、個々人の存在に目を向けてしまい、問題を人間単位で捉えるからだ。それにより、物事の本質に辿り着けないのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-具体と抽象"><strong>具体と抽象</strong></h2>



<p>　でも、物事は必ずロジックがあって、それが生産性高く、運用されている。抽象度を調節して、共通項を見出し、早く物事を解決させるためのアップデートをしていく。そうすることで、コンピュータと同じく、引きずることなく、業務の改善ができるのである。これが他ジャンルでも活躍できた所以である。</p>



<p>　正直、彼は新しい分野に飛び込むたびに「知らないことだらけ」だったと語る。</p>



<p>　しかし、「未知への挑戦こそが成長につながる」と信じ、常に一歩を踏み出した。専門外だからやっても無駄と判断して、避ける事こそが時間を無駄にするとわかっていたから。だから、驚くほど、同じ部分があると気づいた。扱うものは違っているし、環境も、働く人も異なる。けれど、そこには共通して「ロジックが存在して、それにより運用が進められている」という現実。</p>



<p>　だから、しぶとくその現場を見て回り、よくよく理解を深めて、個々の事例に合わせて考えていくにすぎない。何を課題としてチョイスして、業務の要かを見極める力。それこそが大事なのである。</p>



<p>　結果的に、過去からそういうことを繰り返すほど、見極めと解決の精度が上がっていく。</p>



<p>　特にユニクロの案件では、中国の縫製工場に何か月も常駐し、生産現場の実態を徹底的に学び取った。「システム屋が現場に飛び込むことで、初めて見える本質がある」と彼は強調する。この経験が、物流業界での活躍を支える重要な基盤となった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-本質を見極める-投資家としての視点"><strong>「本質を見極める」投資家としての視点</strong></h2>



<p>　秋葉さんが天才というわけではない（失礼！）。考え方の問題なのだ。新日鐵での話とユニクロの話で共通して、彼の手腕によって果たされた事はなんだろう。それは本当に些細なことにもロジックがある。その時に大事なのは何か。究極は、「なぜだろう」という興味を持って、奥底にある心理を引っ張り出すことに他ならない。</p>



<p>　ビジネスの話だけではないんですよ。子供に語りかけるように、人懐っこい笑顔を浮かべて、こう語る。例えば、僕らの「カラダ」だってロジックがある。例えば、なぜ、僕らはボールを投げられるのだろう。</p>



<p>　それには「手はなぜ動くのだろう？」という構造的なことがある。考えてみてほしい。肩は「回る」けど、肘は「上下にしか動かない」。つまり、この構造的なことはどうやっても覆せない。でも、それぞれ異なる役目が連携して、一つの行動として成立するから、ボールが投げられる。</p>



<p>　僕らはその腕の役目や、肩の役目を一つ一つ考えたことがあるだろうか。もしも、投げられないとしたら、ここの役目に何かがある。それで、原因を突き止められる。</p>



<p>　うまく行っていない工場ほど、役目が不明確だったり、役目の価値を発揮する連携になっていない。人が集まる以上、ここは同じ。どれだけ商材が変わろうと、人が変わろうと、本質は変わらない。</p>



<p>　だから、他の業種になったとしても、何を見極めて、どう役割として、連携として正しいか。それを判断していけば、同じようにできる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-ベンチャーの経営者のその立場になれているのか"><strong>ベンチャーの経営者のその立場になれているのか</strong></h2>



<p>　秋葉氏は、その後、フレームワークスの代表取締役や、モノプラスの経営者としての経験を経て、大和ハウスベンチャーズのアドバイザーに就任した。</p>



<p>　そこで彼がその社員たちにこういって発破をかけるわけだ。</p>



<p>「<strong>経営者目線、投資家目線で、自分ごととして視ることが経験である</strong>」</p>



<p>　スタートアップ企業と向き合う中で、単に財務データを見るだけで済ませていないか？そうではなく、「創業者の熱意や事業の本質」までも見極めずして、ロジックは見えてこない。そのことの重要性を語っているわけだ。</p>



<p>&nbsp;　つまり、投資先を選ぶ際、企業の成長性だけでなく、その事業がどのように人々の生活に影響を与えるのか。そこまで、考えているだろうかと熱っぽく説く。なぜなら、物事はシンプルだけど、そのシンプルさはとことん入り込んで、ものごとの本質をその企業ごと見定めてこそ、解き明かせるものなのだ。</p>



<p>　だから、その投資家、経営者になった気持ちで、その企業の中にある本質を見極めてこそ、それが相応しいかが見えてくる。それには深く深く、先ほど工場に何ヶ月も通い詰めたという秋葉さんの話があったけど、そこまでしてやらないと見えてこないものなのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-時間を無駄にすることは人生を無駄にすること"><strong>時間を無駄にすることは人生を無駄にすること</strong></h2>



<p>　物事はシンプルだけど、シンプルに感じるまでの道のりは簡単ではない。</p>



<p>　「その商品が単なる機能性だけでなく、ユーザーの生活全体にどのような価値をもたらすか。それを考え抜くことが、これからのビジネスの鍵だ」と彼は力説する。</p>



<p>&nbsp;　こういう考え方が、過去にとどまらず、未来につながる理由は、まさにAIを見ればよくわかる話だ。</p>



<p>　これについても秋葉さんの話は痛快だ。かつてであれば、コンピューターのキャパシティに限界があった。だから、できる作業量に上限があって、頼める範囲も小さかった。だから、その分、人間が入り込んで、一つの業務となるように落とし込んできたわけである。</p>



<p>　ところが、最近はそれをやるだけのキャパシティが備わった。だから、人間の手を介さずに、人間がやっていたことをできるようになった。それこそが、AIなのである。</p>



<p>　では、人間の仕事は奪われるのか。寧ろ、逆に人間は更に進化する。コンピューターができるキャパシティが増えた分だけ、一人一人の人間の行動の生産性は、AIと共に歩むことで格段に高くなるのだから。できることの幅が広がった分だけ、人間は俯瞰すべし。自分がやれることを作業単位ではなく、事業単位で見ていく。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-挑戦し続けることが人生を豊かにする"><strong>「挑戦し続けることが人生を豊かにする」</strong></h2>



<p>　AIと共に描く、未来の設計図を書くのは人間である。それは人それぞれの生き様によって、全く違ったものになる。逆にどんな経験をしているか。それがAIに指示できる内容の質を左右していく。</p>



<p>　そう考えると、秋葉さんのいう「どんな経験も無駄ではない」はますます意味を持つ。</p>



<p>　最後に、語弊を恐れず言えば、「残業をしない世の中によって、人間はチャンスを失っている」と漏らした。</p>



<p>　秋葉さんの時代は残業も青天井で、働き続けた。それがいいとは言わない。</p>



<p>　ただ、それは会社のためになった以上に、自分のためになった。本質を追い求め、現場に張り付き、答えを見出すための行動。それは無駄とも思える仕事の数々の中で気づくことができた。いうまでもなく、その後の人生を大きく左右するまでの大事な経験となった。</p>



<p>　今はっきりとわかるのは、無駄と思える行為の中に、時間を無駄にしない本質があった。</p>



<p>　だから、最初から無駄かどうかを考えて行動するのではない。そうすれば、結果、時間を無駄にしていないと言える人生が待っている。彼のキャリアは、多様な経験を通じて「本質」を追求し続けた物語だ。そしてそれは、AI時代を迎える私たちに向けた、普遍的なメッセージでもある。</p>



<p>　「経験は無駄ではない」「時間は無駄にしない」秋葉氏は語る。その言葉は、今後の未来を切り開く全ての人々にとって、心に響く指針となるだろう。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/12/akibasan241222.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-53932" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/12/akibasan241222.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/12/akibasan241222.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/12/akibasan241222.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/12/akibasan241222.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="(max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2024/12/junichi-akiba-chairman-of-monoplus-talks-about-a-life-not-wasted/">挑戦し考え続ける力――モノプラス会長 秋葉淳一さんが語る「無駄にしない人生」</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>買い物を変える 新たに創る、シナブル代表取締役 小林裕紀さん その傍にエンジニアがいる理由</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2024/08/scinable-ceo-hiroki-kobayashi/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=scinable-ceo-hiroki-kobayashi</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 18 Aug 2024 22:45:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　一昔前なら、ものづくりをする職人のようなもの。エンジニアなしに現代の“ものづくり”はできない。起案する人間が、エンジニアと頭の中身を一緒にして創り上 [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2024/08/scinable-ceo-hiroki-kobayashi/">買い物を変える 新たに創る、シナブル代表取締役 小林裕紀さん その傍にエンジニアがいる理由</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#ecf7fe">　一昔前なら、ものづくりをする職人のようなもの。エンジニアなしに現代の“ものづくり”はできない。起案する人間が、エンジニアと頭の中身を一緒にして創り上げる環境を作れるか。そこに尽きる。お客様目線に立って一歩先回りして、エンジニアと共に新しい世界を創ってきたのが、シナブル代表取締役 小林 裕紀さん。彼の人生を紐解くと、その必要性と共に、現代で、ゼロイチを生むヒントが見えてくる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-クリエイター気質であり経営者である">クリエイター気質であり経営者である</h2>



<p>　時に、感覚的な話も小林さんはするけど、寧ろ、僕にはその部分が共感できるものだった。</p>



<p>　「一度は創ったものでも、積み木をまるでバラバラと完全に崩すように、中途半端に残さないほうがいい。それからまた、感覚として残っている頭の中のイメージを描きながら、もう一度、ゼロから創り上げていく。すると、そのプロダクトは、以前にもまして、本当に良いものへとブラッシュアップされていく」。</p>



<p>　いわば、感性を重んじるクリエイター気質がありながらも、それでいて経営者でもある。なぜ、そうなのかはわからない。けれど、だからこそ、エンジニアの才能を、上手に奏でながら、お客様との間で、一つの答えを導き出すのが、上手である。</p>



<p>　そんな人だから、さぞかし、志は高かったのかと思えば、のっけからズッコケた。</p>



<p>　「いやー、社会人になる時は何も考えていませんでした（笑）。学校もそれなりのレベルでしたし、周りの皆も優秀でした。推薦で決まっていく友達も多い中で、自分だけ、就職活動をしていなくて。合同説明会に行って、話を聞いたその1社に入社したんです」。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-プログラマーとの距離が近づくきっかけ">プログラマーとの距離が近づくきっかけ</h2>



<p>　うっすら社長になりたいという夢はあったようだが、人の輪の中に入って何かをするのが得意ではないからというのが面白い（笑）。そこで入社した会社は中小規模のソフトウェア会社で、勢いはあった。</p>



<p>　彼は理系ではあるものの、当然ながら、開発に携われるわけもなく、クリエイター気質の片鱗も見えない。そこは自社ソフトウェアを開発して販売する会社で、新たなサービスが作られたばかりだから、彼は営業として、採用された。</p>



<p>　その会社は、官公庁にツテがあった。だから、関係性を辿って売り捌いていたが、数には限りがある。そのうち、自ら志願して、飛び込み営業を行ったというのは、彼らしい。気がつけば、全省庁に行っていたとか。</p>



<p>　決まったルートで決まったやり方で売るのではない。飛び込み営業をしたからこそ、その実態に合わせて、相手の要望を受けながら、対応していく必要性があった。それで、そのプログラマーとの距離感も近づくことになる。</p>



<p>　新しいサービスは、統計系のサービスだったので、管理部署に持ち込み、交渉する。興味を持って貰えば、データをもらって、レポートを出して、その性能を知らせる。彼にとってこの経験が大きかったのは、製品自体の質が高かったことと、それらの製品を自前で作っていたことにあった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-今も師匠と慕うその存在が今に続く">今も師匠と慕うその存在が今に続く</h2>



<p>　だから、プログラマーとの距離も近い。二人三脚で製品を作り上げたのが、当時のプログラマーで、彼が師匠と慕う存在である。この出会いが、エンジニアとの接点を重んじる彼の原点へと繋がる。</p>



<p>　「どんな人なのですか？」</p>



<p>　僕がそう尋ねると、「お客さんのいうことについては常に気にしている人」だと語る。</p>



<p>　なんともシンプルな答えだ。ちなみに、70代を超えたその方は、今もまだ現役でプログラマーとして活躍中。 変化するお客様のニーズに今も忠実に向き合い、時代を踏まえた答えを出し続けている。</p>



<p>　つまり、小林さんは、営業だけではなく、プロダクトマネージャーとして、お客様の要望をダイレクトにそのプログラマーに伝えることで、製品の質を上げていった。もしも、このプログラミングを全く異なる外部の会社に依頼していたら、この環境は作れなかっただろう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-ゼロイチではないけど-ゼロイチに活きる動き方">ゼロイチではないけど、ゼロイチに活きる動き方</h2>



<p>　結果、この経験が形を変えて、ゼロから一を創り上げる上でも、活かされている。その証拠にシナブルのソリューションだって、何もないところから作り上げて、今や多くの取引先に恵まれている。</p>



<p>　その本質は、ずっと変わることがない。それが、おそらく、彼の経営手法にも直結している。だから、僕は、何か新しい提案をしたい人に、彼の言葉は、ヒントとなるに違いないと思ったわけである。</p>



<p>　多分、過去の話に触れたくないのだと思うけど、これを抜きに、彼について語れないので、敢えて、書かせてもらう。以前、その後、入って、彼が代表を務めるまでにいたったECのプラットフォームの会社でもそれは発揮された。</p>



<p>　就任時、赤字でいつ倒産してもおかしくないところからのV字回復を果たした。彼曰く、幸運なことに、その時も製品はよくできていた。だから、ある意味、大事なのはマネージメントの方だった。紆余曲折あって、最終的に残った社員の7割は、エンジニアで占められ、彼は奮闘をしていく。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-出逢いからその後の繋がり全てにエンジニアの発想が寄り添う">出逢いからその後の繋がり全てにエンジニアの発想が寄り添う</h2>



<p>　それによって何が変わったのか。当時は、別でそれらの商品を販売してくる人たちが、外にいた。だから「売ってきた後」からが彼らの出番。システム構築における手入れに加え、コンサルタントとしての役目も果たしていた。それを、小林さんは、その会社が自ら販売も行う方向へと転換させた。</p>



<p>　エンジニアに仕様書を作ってもらい、それに基づき、自ら営業していく。何より、その方が導入後、スムーズで、そのサービスと相手の状況が自然に、シンクロする。身の丈に合わせたレベル感で、お互い、必要なサービスに集中させて、堅実に成長することができた。まずは、ここが大事である。</p>



<p>　そして、彼が強調するのが、大事なのはプロダクトマネージャーの力量ではなく、エンジニアそのものであり、彼らとの関係構築なのだ。</p>



<p>　ここでまた、話が戻ってくる。彼は、新卒時代、師匠と慕うその人との出会いで学んだのは、常にお客様の声に敏感に反応して、その声をシステムに落とし込むこと。それに関連して、小林さんはこんなことをポツリという。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-自分で作ってきちゃうんですよね">自分で作ってきちゃうんですよね</h2>



<p>　「優れているエンジニアというのは、自分で作ってきちゃうんですよね。」</p>



<p>　その師匠もそうだが、とにかく「まずは作ってしまう」のである。エンジニア側の言葉に「どう作ればいいのですか？」という言葉がないのである。</p>



<p>　とはいえ、それはその師匠がいたからできた話。そんなエンジニアを育成するのも大変ではないか。「確かにそうですね、百人いたら、一人か二人か。その程度」と小林さんも笑う。</p>



<p>　でも、それは天才を見つけてくることではない。勿論、ある程度の才能などもあるだろうが、エンジニアとの向き合い方にこそ、それを乗り越えられるヒントがあるのだ。</p>



<p>　「例えば、最初の会社は、それほど大きな会社ではない。だとすれば、提案する時、他人が難しいと言っているようなことを、受注していかないと、自分の食い扶持はなくなる。そんな私たちに必要なのは、難しいことを簡単に整理して、まとめていくこと。すごく本質的な作業。だから、相手の考える一手先で提案ができて、喜ばれる。言われたものをそのまま、見積もるということではありません」と小林さん。</p>



<p>　先ほどの積み木の話が妙にしっくりくる。創り上げる姿勢が強い。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-経営者と見ているもの自体はまるで同じ">経営者と見ているもの自体はまるで同じ</h2>



<p>　従来のイメージにありがちな、エンジニアとは違う。営業がとってきて、あとはエンジニアに任せる。エンジニアもまた、ただ請け負うことに終始する。その手の話とは、まるで逆の発想である。</p>



<p>「だから、ある意味、経営者に近いんですよ」とも小林さん。</p>



<p>　こういうことをやりたいんだと未来絵図を広げる。それならば、こういう風なUI、UXだったらどうだろう。そうエンジニアは口にして、もう次の瞬間には、作ってくる。そこで可視化されているという現実があるから、ブラッシュアップされていく。ゆえに、自然に未来絵図を広げた人のやりたい世界が、エンジニアの才能を最大化させて、具現化されていくのである。</p>



<p>　だから、取引先が提案依頼書を出してきても、「いらないでしょ？」とエンジニアが断ることすらある。「そんな難しいこと、必要ない」と。明らかに全体が見えている証拠である。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-生産性高く-事業が回っていく">生産性高く、事業が回っていく</h2>



<p>　遡って、新卒時代。最初入った会社は製品ができていた。そして、赤字におちいった会社でも、製品はあったが、お客様の声をヒントに、エンジニアの発想を最大化させて、答えを導き出す姿勢は同じである。</p>



<p>　売る相手の要望をダイレクトにエンジニアに伝えて、エンジニア側のアイデアを尊重していく。営業の生産性が高いのは、相手側の満足度の高さゆえ、取引先が他の取引先を連れてくるからだ。また、転職してその担当者が移った先でも使いたい。そんな声も多い。つまり、取引先と作り上げたその仕組みそのものが、その会社の販促材料となったわけである。</p>



<p>　しかも、外注を使っていない分、利益率も良くなって、エンジニアを増やしていけば、できることの幅が大きくなる。だから、経営基盤が安定してくる。そういうことなのだ。</p>



<p>　ただ、ここには繊細に働くバランスがある。彼のクリエイター気質の経営手法らしいと感じさせる所以でもある。</p>



<p>　要するに、人を多くすれば解決するものではないのだ。語弊を恐れずいえば、新たなものが作られる時、それは属人的にならざるを得ないとまで言っている。人を入れすぎると、追うべき点に対してのアプローチが様々飛び交い、薄まって、完成度が低くなるというわけだ。そのバランスを見ていくことが、経営上、大事なのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-分散と統合-シンプルなその言葉から広がる設計">分散と統合、シンプルなその言葉から広がる設計</h2>



<p>　それが、以前社長を務めた会社の黒字転換における小林さんにとっての肝だったのであろう。だから、その延長線上に、シナブルがあるわけだ。ゼロから生み出すことも、その経営手法と根本は同じだから。世の中になかったサービスを提案しつつも、経営は盤石だ。</p>



<p>　改めて、シナブルのやっていることが気になった。要するに、顧客のサイト内での行動ログから解析されたレコメンドエンジンがメールの中で働いて、それを送ることで、購入を促す。ここに然るべき接点ができるから、あとはお客様の属性ごとシナリオを作れば、自動的にアプローチできるわけだ。</p>



<p>　ただ、改めて、このことは、結果論でしかないことに気付かされる。大事なのはこの裏側でどんな構想があったのかということの方だ。</p>



<p>　小林さんは、時代を感じさせる、当時の企画書をみせてくれた。すると、そこには分散化と統合という言葉が並ぶ。</p>



<p>　つまり、2000年代後半、会員情報、注文などのデータ、アクセス情報など、色々散らばった情報が手に入るようにきてなっていた。だから、適宜、組み合わせて使っていけば、それらが何かの効果を導き出す施策となっていく。それを、統合という表現で表したのだ。今からざっと10年以上前には、このような発想自体はあっても、具体的なサービスでは、あまり見られなかった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-常にお客様の必要なことに敏感であれば競合は関係ない">常にお客様の必要なことに敏感であれば競合は関係ない</h2>



<p>　こういう概念的なものをより実践に伴うようにしていく中で、経営者である自分の頭の中を、エンジニアと一緒にして、着地させたのが、先ほど触れたシナブルのサービスであるということ。</p>



<p>　わかる通り、「他でこんなことをやっているから、うちもやろう」なんて話は断じてない。</p>



<p>　だから、僕はそれをクリエイター気質と表現した。朧げなものから、それを具現化する方向へと導けたのは、それを形にするエンジニアが横にいてこそだ。エンジニアもまた、その良き理解者が発案することだから、同じレベル感で、同じものを見ていく。</p>



<p>　経営者と変わらない。ただ、彼らはお金の管理をしない。それよりはもっと、いいシステムを自ら構築していく。そちらのほうに関心があるからそこに打ち込むだけのことである。だから、経営者の方が給料が上なんてことがなくていいと語る。経営の一部分を担うのが、“有能な”エンジニアなのだ。</p>



<p>　そして、幸いにして、時代が追いついた。いわゆるMA（マーケティング・オートメーション）という括りで理解されるようになって、多くの取引先に恵まれるようになった。だけど、小林さんは、ここまでの過程でもわかる通り、何かの枠にとらわれ、サービスを作り出しているわけではない。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-世の中の-今-に縛られない-未来に必要なものを作るから">世の中の“今”に縛られない。未来に必要なものを作るから。</h2>



<p>　だから、最近、それも違うなぁと。サービスの方がその言葉よりも、先に進んでいる。「違った枠組み、定義が必要なのかもしれない」。そう言って話が尽きない。</p>



<p>　確かに、分散と統合が進んで、消費者を特定しやすくなった。けれど、それだけではスケールはしないと小林さん。</p>



<p>　分散は更に広がり、データはより直感的にリアルに近いアプローチをネットでも可能にする。</p>



<p>　個々を手厚くフォローするCRMの側面を持ちつつ、大衆から生産性高く、見合う顧客を引き当てる。この両面を解決するデータの活用は、もはやMAではない。ミクロとマクロで緩急をつけ、垣根を越えて正確に消費者にアプローチする。</p>



<p>　あの時、分散と統合を口にしたときのように、まだ、明確な言葉がないけど、彼にはそれが見えている。だから、気づけば、EC Intelligenceも、コマース Intelligenceにかわっている。</p>



<p>　それどころか「石郷さん、personalized precision CRMなんて言葉、どうかな？」なんて、MAに変わる彼らのサービスをシンボリックに示す、新たな言葉すら飛び出した。</p>



<p>　顧客との関係に今よりもっと“精度＝precision”が求められる時代か。間違いなく時代の節目であることを彼の言葉から悟った。彼の頭にある図面が、エンジニアと共に、新しい購買シーンを作って、リアルともデジタルともいえない、新たな小売の時代を先駆けていくのだろう。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2024/08/scinable-ceo-hiroki-kobayashi/">買い物を変える 新たに創る、シナブル代表取締役 小林裕紀さん その傍にエンジニアがいる理由</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>果たすは“受け取る側の平準化” 2024年問題の解決は「スマロビ」で  Nice Eze代表 松浦学さん</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2024/06/solving-the-2024-problem-with-smarovi-manabu-matsuura-president-nice-eze/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=solving-the-2024-problem-with-smarovi-manabu-matsuura-president-nice-eze</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 17 Jun 2024 23:55:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[【Buying】フルフィルメント]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2024/06/solving-the-2024-problem-with-smarovi-manabu-matsuura-president-nice-eze/">果たすは“受け取る側の平準化” 2024年問題の解決は「スマロビ」で  Nice Eze代表 松浦学さん</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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<p class="has-background" style="background-color:#d6ecfa">　まさに発想の転換。「2024年問題」に関してNice Eze社は、今までフォローしきれなかった箇所に風穴をあけて、課題を解決する。多くの人は、その配送に絡む問題への対処として、荷主や配送側のほうで解決しようとした。だが、彼らの視点はそことは逆。要するに、商品を注文して、受けとるお客様の側の改革だ。受け取る環境を変化させ、そこでデータを蓄積し、AIを活用し、実体に即したインフラを作って、問題の改善を図る。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-2024年問題とnice-ezeなりの解決策">2024年問題とNice Ezeなりの解決策</h2>



<p>　そもそも「2024年問題」とは何か。2024年4月から、法改正を行うことで起こる諸問題である。トラックドライバーの時間外労働に関して、960時間の上限設定をする。自ずと働く人は減少するから、輸送力の低下が進む。荷物を運べないであるとか、利用者側の配達料金が上昇するから、各社で構造的な転換が迫られている。</p>



<p>　これまでもこの対策として、実にいろいろな会社が対策を講じてきた。BtoBで言えば、「同業種の共同配送」BtoCなら「置き配の標準化」など。ただその多くは、荷主ならびに、配送業者の側で語られることが多かった。</p>



<p>　また、受け取る側の視点では、宅配ボックスなどの議論はあっても、設置することで全てが解決するという単純な話ではない。お手並み拝見とばかり、この日、会見で僕は、同社代表取締役 松浦学さんの話を聞いていた。満を持して、この日、ローンチされたのは「スマロビ」というサービスである。</p>



<p>　思うに、彼の着眼点の素晴らしさは、宅配ボックスの利用自体に答えを導き出すのではなく、それを受け取る側の環境を把握するための手段としたところにある。それは、松浦さんらしい俯瞰的目線に立ったもの。</p>



<p>　受け取る側の環境の平準化を促す。ここの部分が肝となる。受け取る側の平準化？そう思う人もいるだろう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-全ての答えはラック式の宅配ボックスにある">全ての答えはラック式の宅配ボックスにある</h2>



<p>　彼は「スマロビ」の核たる要素として、変形型のAI宅配ボックスの存在を強調した。それこそが「2024年問題」を解決へと導く、受け取り側の変革である。それを語る上では、宅配ボックスを変形型にした理由から、紐解くべきだろう。</p>



<p>　実機については同社ゼネラルマネージャー古賀健二さんが案内してくれた。</p>



<p>　違うのは、ラックタイプであること。要するに、荷物を陳列棚に並べるような感覚で、宅配業者は置くわけだ。実は、その棚の下部には一定間隔でセンサーがついている。一方で、手前にぶら下がっている番号札の前にはライトがある。つまり、このセンサーと番号が連動しているわけである。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="576" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/naiceeze240601.jpg?resize=1024%2C576&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49617" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/naiceeze240601.jpg?resize=1024%2C576&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/naiceeze240601.jpg?resize=300%2C169&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/naiceeze240601.jpg?resize=768%2C432&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/naiceeze240601.jpg?w=1200&amp;ssl=1 1200w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　だから、宅配業者はスマホでQRコードをこの宅配ボックスにかざす。そして、各々荷物を入れると、その入れた場所を番号で宅配ボックスが認識する。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240602.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49619" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240602.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240602.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240602.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240602.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　住民も荷物を受け取る場合、スマホでQRコードを宅配ボックスについた画面にかざす。すると、その荷物に該当する「番号の下にあるランプ」が点灯する。画面にもその番号は示される。写真で言えば354,355,356に跨って荷物は置かれている。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="576" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240603.jpg?resize=1024%2C576&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49620" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240603.jpg?resize=1024%2C576&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240603.jpg?resize=300%2C169&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240603.jpg?resize=768%2C432&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240603.jpg?w=1200&amp;ssl=1 1200w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　これで商品の受け取りは完了だ。ただ、彼らの目的は、宅配ボックスの設置で完結しないところにあり、その真骨頂は、ここからである。実は、このラック式の宅配ボックスは、棚の上下の高さも調整ができるようになっている。ネジを外して、一段取り除けば、高さのある荷物が入れられるようになるわけだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-届くほどにその集合住宅の個性が露見する">届くほどにその集合住宅の個性が露見する</h2>



<p>　わかるだろうか。まず前提として、棚である以上、横に仕切りがなく、自由に使える。そして、上下も高さを変えられる。・・ということは、横も縦も、その集合住宅の届く荷物の傾向に合わせて、カスタマイズできるのである。</p>



<p>　大きい荷物が多い集合住宅であれば、高さの高い棚が多めになる。その逆も然り。そうやって、その住民が求める必要なサイズを特定。それに合わせた形状に、宅配ボックスを変形させる。この仕様にこそ、彼らの存在意義がある。</p>



<p>　彼らはサービスを提供しながら、その集合住宅の荷物の傾向をデータ化していく。各々の集合住宅ごと、荷物の傾向に対して、ベストな宅配ボックスの棚の形状を作る。それができれば、宅配業者が物を入れられないという事態を防ぐことができるのだ。</p>



<p>　これは宅配ボックスが抱える根本的な問題への課題解決の側面を持っている。確かに、宅配ボックスは随分、増えたが、その箱のサイズに必然性がない。だから、サイズに見合わない荷物を、ボックスに入れてしまう。ゆえに、本来、必要なボックスが不足して、再配達をうむのである。</p>



<p>　また、それが集合住宅にあるということ自体が、そのポテンシャルを活かすことにもなっている。例えば、駅で宅配ボックスがあるけど、すぐに受け取りをしないという話も聞く。だから、集合住宅を拠点に、適切なサイズの宅配ボックスを作ることに意味がある。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-宅配ボックスの利用頻度と回転率の高さが再配達を劇的に減らす">宅配ボックスの利用頻度と回転率の高さが再配達を劇的に減らす</h2>



<p>　そして、それは空間スペースの最大化であり、マンションの管理会社に、歓迎される要素である。ラック式であり、集合住宅であるという事実が、掛け合わせると、宅配ボックスの利用頻度と“回転率”がよくなる。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="576" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/toudan-matuurasan.jpg?resize=1024%2C576&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49637" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/toudan-matuurasan.jpg?resize=1024%2C576&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/toudan-matuurasan.jpg?resize=300%2C169&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/toudan-matuurasan.jpg?resize=768%2C432&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/toudan-matuurasan.jpg?w=1200&amp;ssl=1 1200w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　松浦さんがそれを物流テックであると言いつつ、不動産テックであるという所以である。</p>



<p>　もう一つ、語弊を恐れずいうなら、家の規模と、家族世帯年収の額は比例するのではないかと思う。だから、自ずと財布の事情に合わせて、買うものが変わってくるに違いない。だとすれば、これらの宅配ボックスに入れられるものは、集合住宅単位でこそ、共通化できるということになる。</p>



<p>　NiceEzeはそれを通してデータを収集することに重きを置く。AIを使えば、利用頻度と回転率が高まるのはどういう形状なのか。２LDKが多い、３LDKが多いなど、その集合住宅の集まる部屋の傾向で、その傾向を洗い出せるのだ。しかも、使ってもらうほど、その精度を高められ、利用者の利便性を上げる。</p>



<p>　改めて、その着眼点の良さに痺れる。多くは発送する側で物事を考えようとする。しかし、発送する方は、売れる時期も決まっている。その上、出荷量を制限することもできない。荷主側がコントロールするにも限界があるのだ。</p>



<p>　松浦さんはそう話す。それは、彼自身がローソンで小売の現場を経験し、ローソンユニオンの執行役員まで上り詰めたからこその着眼点だと思う。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-視点を変えて-受け取る側の整理をするから効果覿面">視点を変えて、受け取る側の整理をするから効果覿面</h2>



<p>　また、受け取る側の視点に着目する利点は、サイズというアナログな要素で共通化されることにある。まさに配送での生産性を左右するのは、その荷物の物理的要因であるから、効果覿面なのである。</p>



<p>　商流から必要な物流環境を洗い出し、今回でいえば、それをユーザー目線でアジャストしている。</p>



<p>　その俯瞰的な視点は、彼がニトリホールディングスで上級役員を務め、サプライチェーンマネジメントを把握した経歴も生きているのだろう。だから、僕は同社が「スマロビ」の横に無人ストアの併設をすることも納得できた。</p>



<p>　ものをお客様にどう届ければ、利便性の高い環境を作るか。そして、同時に、空いているスペースがあるなら、それをどう活かすか。集合住宅が人が集まることで成り立つ利点を活かして、そこに小売店の発想を持ち込む。そして、住む人にとっての価値向上を作り出す。その延長線にあるのが「スマロビAIストア」なのである。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="576" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240604.jpg?resize=1024%2C576&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49629" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240604.jpg?resize=1024%2C576&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240604.jpg?resize=300%2C169&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240604.jpg?resize=768%2C432&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/niceeze240604.jpg?w=1200&amp;ssl=1 1200w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　飲料や食品、日用品を入れた、冷蔵庫のような無人ストアである。僕が、松浦さんの話を聞いて面白いと思ったのは、「すでに、ネットスーパーがこれだけ浸透しているとすれば、すでにそこに傾向がある」ということだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-住居という拠点に注目するとまだ発掘できるチャンスはある">住居という拠点に注目するとまだ発掘できるチャンスはある</h2>



<p>　例えば、ネットスーパーのデータを見たら、いつもその集合住宅の住人からバラバラに発注が来るということもある。しかしそれらの食材を、その無人ストアに入れて、適宜、ほしい時に取り出してもらうようにすればいい。この場合、スーパーから商品を卸してもらうことで、ネットスーパーにかかる配達の人員を減少させ、発注者の自宅での待機時間をなくすという利点も生み出せる。</p>



<p>　ちなみに、商品登録はクラウド上で操作すればよい。つまり、この場所にいなくてもそれができる。だから、あとは、現場にいる人間がそのものを補充するだけで良い。お客様は事前にアカウント登録をしておき、決済手段を決めていれば、QRコードをかざした後、商品を取り出すだけで、決済が完了する。これを可能にするのは、AIストアといわれる冷蔵庫のようなものに、カメラがついているから。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/Niceeze240605.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49670" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/Niceeze240605.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/Niceeze240605.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/Niceeze240605.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/Niceeze240605.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　その商品がどれであるか。AIで機械学習させているので、そのカメラは、すぐにどれかを識別する。</p>



<p>　ここまで、「スマロビ」と「スマロビAIストア」と説明してきた。</p>



<p>　改めて、彼らの視点は、この集合住宅という単位であることに価値があることに気付かされる。結局、集合住宅は、先ほどの世帯年収の話ではないけど、共通化できる単位としてふさわしい。だから、そこを起点に、平準化を図ることで、将来性を見出すというのは、着眼点としては新しく、面白い。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-全ての要素があらゆる課題に直結して相関関係を持っている">全ての要素があらゆる課題に直結して相関関係を持っている</h2>



<p>　だから、彼らはスマロビを通して再配達ゼロを達成できると意気込むのである。</p>



<p>　独自の仕様で、生産性で言えば今までの8倍。通常の宅配ボックスの3倍の収納能力を果たし、結果、価格は5分の１以下を目指せる。縦割りにない俯瞰的なアプローチで、補完し合う中で勝ち取った実証実験に基づく数値である。</p>



<p>　「スマロビ」での配達コストの軽減により、生まれた利益分を彼らは手にすることで、ビジネスは拡大できる。それが、さらに配達コストを削減するのである。しかも受け取りやすい環境がユーザーの行動で平準化されつつ具現化されるから効率が良く、消費者にも利点がある。</p>



<p>　また、人手不足が叫ばれる中で、配送に絡むところは勿論、店のサービスも限定的になりうる。だから、小さなストアでそれを補完する意味合いも持たせる。ゆえに冒頭に書いた通り。今までフォローしきれなかった箇所に風穴をあけて、課題を解決すると。</p>



<p>　繰り返しになるけど、宅配ボックスの利用自体に答えを導き出すのではない。それを受け取る側の環境を把握するための手段とした視点にこそ学びがある。</p>



<p>　わかりやすく説明するべく、2024年問題の解決策とは書いた。けれど、未来に起こりうる課題に応えるべく、このサービスが機能するというのが本望だろう。松浦さんらしい俯瞰的目線に立った考え方にこそ、2024年問題に限らず、今山積する多くの課題を解決するヒントがあるのではないか。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2024/06/solving-the-2024-problem-with-smarovi-manabu-matsuura-president-nice-eze/">果たすは“受け取る側の平準化” 2024年問題の解決は「スマロビ」で  Nice Eze代表 松浦学さん</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>陸前高田の街にもたらす希望の“芽” ピーカンナッツと共に歩む「サロンドロワイヤル」夢と覚悟の挑戦</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2024/06/salon-royales-preparedness-challenge-to-walk-with-pecan-nuts-in-rikuzentakata/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=salon-royales-preparedness-challenge-to-walk-with-pecan-nuts-in-rikuzentakata</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 02 Jun 2024 22:45:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[リアル店舗]]></category>
		<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[【Buying】商品企画/マーチャンダイジング]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　ここは、陸前高田。2011年3月11日、東日本大震災で津波の被害に遭い、大きな打撃を受けた場所。いろんな人の思いが交錯して、希望が今、芽吹きだそうと [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2024/06/salon-royales-preparedness-challenge-to-walk-with-pecan-nuts-in-rikuzentakata/">陸前高田の街にもたらす希望の“芽” ピーカンナッツと共に歩む「サロンドロワイヤル」夢と覚悟の挑戦</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#e8f4fb">　ここは、陸前高田。2011年3月11日、東日本大震災で津波の被害に遭い、大きな打撃を受けた場所。いろんな人の思いが交錯して、希望が今、芽吹きだそうとしていた。僕がこの場所に行ったその時、「雄花がついてる！」跳ねるようにその木に駆け寄り、そう口にした人の姿があった。サロンドロワイヤル 代表取締役 前内 真智子さんである。彼女がその手で大事に包み込む、小さな雄花は、ピーカンナッツという食材と陸前高田の街に希望をもたらす“芽”であった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-縁もゆかりもないはずなのに">縁もゆかりもないはずなのに</h2>



<p>　雄花とは何か？それを語る上では、まず、陸前高田という場所の話を抜きには語れない。陸前高田は、2011年3月11日、東日本大震災により津波の被害を受けた。この日、僕は仙台でマルヤ水産という会社を経営する千葉卓也社長が運転する車で、被災地を回った。そして、目に入ってきたのは、こんな光景。今も残されている震災遺構である。最も簡単に建物が崩壊していて、自然の脅威を感じさせる。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240501.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49148" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240501.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240501.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240501.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240501.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　これほどの破壊力を持った津波が押し寄せたのだから、街はひとたまりもない。跡形もなくなり、建物も人の命も失われた。そしてそれは過去ではなく、現在進行形の話である。その後、その危険度から新居は高台の上で建設される。かつて人と人とで賑わっていたその地は、閑散とした大地となったのである。</p>



<p>　そして、人が住まなくなったその場所に、植えられたのがピーカンナッツの木である。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240515.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49220" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240515.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240515.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240515.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240515.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　それらは東京大学の生産技術研究所と大学院農学生命科学研究科の「ピーカンナッツによる農業再生と地方創生プロジェクト（以下、ピーカンナッツプロジェクト）」によってもたらされた。</p>



<p>　そして、そこへの関わりにおいて、欠かせないのがこれから話す「サロンドロワイヤル」の存在である。ヨーロッパ・フランスの『王族たちのサロン』の洗練されたイメージをもとに、1935年、大阪に創業された、老舗のショコラティエである。一見、両者に繋がりはないと思えるだろう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-ピーカンナッツの持つポテンシャルとは">ピーカンナッツの持つポテンシャルとは？</h2>



<p>　きっかけは、2016年、彼らのもとに、東京大学生産技術研究所が訪問したことにある。テーマとしていたのは、ピーカンナッツであった。東大の研究所がなぜ、彼らのもとへと訪れたのか。それは、サロンドロワイヤルが、それらチョコレートの商品を作る過程で、ピーカンナッツの国内流通量の三分の一を占めていたからだ。</p>



<p>　そして、彼らの言葉に、興味深く関心を示したのが、前内さんなのである。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/rikuzen240531.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49254" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/rikuzen240531.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/rikuzen240531.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/rikuzen240531.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/06/rikuzen240531.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　元々米国アリゾナ州で大規模に栽培されているのがピーカンナッツ。それらは栄養価と抗酸化作用が高く、機能性が高い。また、柔らかく食感が良いので、年齢を問わず支持される素地があり、料理の素材に用いやすく、汎用性が高い。</p>



<p>　それなのに、まだ日本では、殆ど流通していない。前内さんが面白い数字を教えてくれた。僕らに馴染みがある“アーモンド”と比較して、ピーカンナッツの流通量が、どれだけか、お分かりだろうか。</p>



<p>　その答えは、、、100分の一。</p>



<p>　つまり、東大の研究所が着目したのは、それだけのポテンシャルを持ちながら、現在日本ではそれほど、栽培されていないからなのだ。そして、ピーカンナッツプロジェクトに同じく参画する陸前高田市にとっては、ピーカンナッツの栽培の方法において相性が良かった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-陸前高田との距離を近づけたピーカンナッツの特性">陸前高田との距離を近づけたピーカンナッツの特性</h2>



<p>　そもそも、陸前高田市は、被災したことで、住めなくなった土地の活用を思案していた。</p>



<p>　その点、ピーカンナッツは、放任栽培。つまり、整枝などの手をかけないで栽培することが可能で、人の手間がかからない。この小さな街で、育てるには適切な植物であったと考えて良い。</p>



<p>いわば、ピーカンナッツのポテンシャルが両者を引き寄せた。</p>



<p>　こちらは海外でのピーカンナッツの農園の写真。それらピーカンナッツを育てれば、このような場所が陸前高田に生まれることになる。　</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen-240503.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49173" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen-240503.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen-240503.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen-240503.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen-240503.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　食材としての可能性を感じ、その裾野を広げる必要性。そして、広がることによっての社会的意義。また、それで、被災したその土地を活用することで、その行為は、この街の復興において、大きな意味を持つ。人口の少ないこの地域において、それらの栽培方法が活きてくる。それぞれの大事な思いが一つにつながっていく。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-そして-大いなる決断へと至る">そして、大いなる決断へと至る</h2>



<p>　前内さんは、取締役会などでも反対意見が多く出る中で、覚悟を持ち、一大決心をした。　</p>



<p>　これを踏まえて、僕が記事にしようと思った理由は、ここの話なんだ。</p>



<p>　確かに、課題を明示し、その理想を語ることはできるだろう。でも、それを形にするのは本当に大変なこと。ちゃんとお金に変えて、成立させなければ、その夢や理想も散ることになる。それは前内さんの経営者としての行動を見ればわかる。僕は、その努力とそれによってもたらされる「事業の価値」と広がる「可能性」の方に焦点を当てたいのだ。</p>



<p>　かくして誰も住まなくなった土地には、品種開発と市場性調査のためにピーカンナッツの木が植えられることになった。そして、その横の土地は嵩上げされている。だから、サロンドロワイヤル タカタの本店と、ピーカンナッツを広めるための工場が、建てられることになった。でも、いきなりそれができたわけではない。</p>



<p>　この街の人口はわずか1万7000人。お店に来る人の数には限りがある。理想だけに走ることなく、赤字にさせない工夫も考えて決断した。それが工場部分である。</p>



<p>　前内さんは、工場ができたことの責任の重さを語る。なぜなら、稼働を止めるわけにはいかないから。止めれば、即赤字である。そこで僕が感銘を受けたのは、作ることに終始しなかったこと。売り先を念頭に置き、そこから逆算して作ることを考えたことにある。</p>



<p>　当然だが、売れる場所があって、初めて作ることの意味がある。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-工場ができるということの重圧と覚悟">工場ができるということの重圧と覚悟</h2>



<p>　だから、店の立ち上げが決定するなり、彼女は大阪でナッツ事業を創設した。それと共に、これまで培ってきたお菓子の知見を生かして、新たに、それが回るだけのピーカンナッツの流通を作りだした。それは、チョコの商品ではない。全く別事業である。それ専用に、ピーカンナッツをローストし、包装して、商品として開発し直し、売り出したのだ。　</p>



<p>　なぜ、大阪でやり始めたかといえば、何もない中で、いきなり陸前高田で工場を始めるわけにはいかないのだ。何もないのに、稼働させるわけにはいかない。繰り返すが、稼働させると決めたからには、稼働し続けなければならない。</p>



<p>　必死になって、そのマーケットを作る努力の甲斐あって、驚くなかれ、最近では夏だけで3〜4億円の売上を出すほどにも成長した。これで、その骨格ができたわけである。</p>



<p>　実は、陸前高田の工場としてはようやくこれで、スタートライン。大阪での築き上げたナッツ事業を、そのまま、この陸前高田の工場に持ってくる。そうすればいきなり、この地で売上を作ることができる。</p>



<p>　そして、常に稼働させて、この場所が機能する。ここまでの話はわずか数年ほどで達成しているから尚更驚く。もう、お分かりだろう。そうすることで、ピーカンナッツの栽培から始まり、製造、販売まで、彼らは垂直統合型で、ここに産業を生み出せる礎ができたのである。2022年のことである。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240504.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49184" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240504.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240504.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240504.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240504.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-事業が生まれれば陸前高田に雇用が生まれる">事業が生まれれば陸前高田に雇用が生まれる</h2>



<p>　それはいうまでもなく、その地で雇用を生み出すことにもなる。だから、この工場の稼働により、店の運営と合わせて、陸前高田の出身の人たちだけで、20名のスタッフが生まれた。今はもう大阪のスタッフは誰もいない。自分たちで回している。文字通り、復興のシンボルとしてのスタートである。</p>



<p>　繰り返しになるが、売れてこそ、生産が生まれる。だから、準備は念入りに。店ができる前から、自ら広報的な役目を担いつつ、マーケットを作っていた。東北で人が集まる拠点といえば、仙台と盛岡で、ここに店を構えようと考えた。最終的に行き着く先として、この陸前高田の店がイメージできる道筋を作るためである。</p>



<p>　この話が出たときに、まず彼女が訪れたのが「藤崎 仙台店」。それこそ、陸前高田に店すらできていない時期である。店名に“タカタ”の名称を冠することはできなかったが、藤崎に「サロンドロワイヤル」としての出店は叶った。</p>



<p>　それで、そこのショーケースには、陸前高田のシンボル「奇跡の一本松」（津波に流されず生き残った木）をあしらった西陣織などを飾っていく。その手は休めることなく、2021年、仙台のエスパルに「サロンドロワイヤル タカタ」として出店を決めるなど、攻勢をかけたのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-商品力の向上のために">商品力の向上のために</h2>



<p>　あわせて、商品自体の品質向上も徹底していくべく、2017年には陸前高田にゴールデンピーカン社を作っている。最初にも話したが、ピーカンナッツの「機能性」の部分をより明確にするためだ。それを可視化できれば、商品力の向上となる。お客様からの信頼は、売上を裏側から支える大事な要因となっていくから、これも大事な活動。その機能性部分で配慮したのは、大きく二つ。</p>



<p>　一つは、認証実験を行った。具体的には、陸前高田の高齢者施設に協力を要請。1日５粒、食べてもらい、そこでの変化を見たのである。結果、「介護の負担が減った」という優位性が認められたことで、彼らはそれを国際学会で発表したのである。</p>



<p>　そしてもう一つは、自ら販売するアリゾナ産のピーカンナッツで、「機能性表示食品」として認可をこの会社で取得したのである。それが2018年で、ピーカンナッツの商材で認可が取れたのは日本初のことだ。</p>



<p>　いうまでもなく、それらは食材を語る上での貴重なエビデンスとなる。商品を訴求する上で確かな礎が築かれることとなった。</p>



<p>　加えて、製造面では、工場の精度に気を配る。それまで、ピーカンナッツは多くが輸入品。だから、殻が剥けた状態で日本に入り、それを用いて商品化される。しかし、地元で栽培されるなら、そうはいかない。だから、日本初のピーカンナッツの殻剥き機を、自らの工場に実装したのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-バラバラなピースは一つに集約されてくる">バラバラなピースは一つに集約されてくる</h2>



<p>　また、この殻剥きの部分がまた、日本にないから、完璧には使いこなせない。そこで、前内さん自ら、その粉砕の機械に関して扱う海外メーカーの社長の元へと飛んだ。前内さん曰く、この社長は苦労人で、より深く、人の思いに共感して、彼女たちの想いに対して真摯に向き合ってくれた。遂にはその社長自らが、この陸前高田の工場へと足を運んで、アドバイスをしてくれたのである。</p>



<p>　殻を粉砕することで舞い上がる粉の問題など、現地だからこそ、受けられるアドバイスもあって精度の高い機械の運用環境が整ったのである。</p>



<p>　商品力、製造環境、ここに至るまでのプロモーションは、一つ一つ関連性を持ち、深い繋がりを持ってより確かな一歩に変わっていく。そして、彼らは消費者に対しても直接、アプローチするのである。</p>



<p>　それが「全国ピーカンナッツレシピコンテスト」なのだ。</p>



<p>　料理研究家 浜内千波さんらを審査委員に迎え、選定。第一回目の開催が2019年。まだ、先ほどのお店もできていないから、陸前高田の施設を借りて実施した。</p>



<p>　そして、改めて、2024年の今、この店を眺めて思う。そうか。このお店がイベントスペースを兼ねているのは、そういうことなのだ。今後、コンテストを開催するなら、この場所なのだ。だから、料理を作る場面もみれるように工夫されている。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240505.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49191" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240505.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240505.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240505.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240505.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　単純に、売るだけでもなく、作るだけでもない。この場が、それらを結集したことで生まれる、人の繋がりを触発させるために機能していく。</p>



<figure class="wp-block-gallery has-nested-images columns-default is-cropped wp-block-gallery-1 is-layout-flex wp-block-gallery-is-layout-flex">
<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" data-id="49202" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240514.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49202" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240514.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240514.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240514.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240514.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>
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<h2 class="wp-block-heading" id="h-ピーカンナッツに夢を抱く人がまた一人">ピーカンナッツに夢を抱く人がまた一人</h2>



<p>　レシピコンテストに関しては、集まったレシピで、書籍も作成。コンテストのジュニアの部で優勝した沼田夏美さんには、ピーカンナッツの本場、アリゾナを視察してもらうと共に、その様子を書籍に綴った。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240506.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49193" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240506.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240506.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240506.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240506.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　当然そこには陸前高田の魅力とともに添えて、今まで関わった全ての人たちの想いと努力の結晶を詰め込んだのである。</p>



<p>　わかるだろうか。一つのことを結実させるために、あらゆる配慮を行き渡らせている。今この場所が成立しているのは、事業者としての覚悟あってのこと。バラバラになっているピースを大事に当てはめて、作り上げて、この工場、お店、ピーカンナッツ農園にたどり着く。</p>



<p>　そして、最初に戻る。一緒に行ったマルヤ水産の千葉さんとともに、陸前高田の町を訪れ、この取材を行って、案内を受けているその時。初めて、前内さんは、ピーカンナッツに雄花をつけていたことを発見するのだ。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="615" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240507.jpg?resize=900%2C615&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-49195" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240507.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240507.jpg?resize=300%2C205&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240507.jpg?resize=768%2C525&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/rikuzen240507.jpg?resize=730%2C500&amp;ssl=1 730w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　ここまでの数々の苦労と行動力を鑑みれば、その感動は、言葉にも、し難いものである。</p>



<p>　実がならなければ、ピーカンナッツプロジェクトは意味をなさない。だから、今日、この日雄花がついたことがどれだけ大きいことか。そして、雌花がついて、初めて実をつける。この雄花は正真正銘、全ての第一歩なのだ。</p>



<p>　「雄花がついてる！」その時、パッと明るくなった前内さんの表情が忘れられない。まさにそれは、希望の“芽”である。どうかこの芽が、陸前高田と、ピーカンナッツのこれからを明るく照らし、前内さんのこれまで力を尽くした数々が、実りある結果となるよう、未来へと導いてくれることを切に祈る。この文章をエールに代えて贈る。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2024/06/salon-royales-preparedness-challenge-to-walk-with-pecan-nuts-in-rikuzentakata/">陸前高田の街にもたらす希望の“芽” ピーカンナッツと共に歩む「サロンドロワイヤル」夢と覚悟の挑戦</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>“大量に売れるという事は何を削るかである” AMS 社長 村井 眞一さん</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2023/05/shinichi-murai-president-ams/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=shinichi-murai-president-ams</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 21 May 2023 23:45:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[ECshop/多店舗統合システム（OMS）]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネス思考法｜HERO insight —“仕組み”と“本質”を捉える視点]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　その答えは目の間にいるお客様と、商品にある。僕は、株式会社AMSの代表取締役村井&#160;眞一さんにお会いして、そんなことを思った。話を聞いている [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2023/05/shinichi-murai-president-ams/">“大量に売れるという事は何を削るかである” AMS 社長 村井 眞一さん</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#eef8fe">　その答えは目の間にいるお客様と、商品にある。僕は、株式会社AMSの代表取締役村井&nbsp;眞一さんにお会いして、そんなことを思った。話を聞いていると、本当の原点は、彼の鈴屋でのバイヤー時代にあると気付かされ、それがご自身の経験とともに確立されて、信念たる「商売人人価」という言葉にも活きる。その視点は時代を問わず、本質的で、応用の効く発想だからこそ、今にも通じる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-マイナスを考えると-プラスが見えてくる">マイナスを考えると、プラスが見えてくる</h2>



<h3 class="wp-block-heading">1.そもそもどんな仕組みを作ってきたのか</h3>



<p>　こう言っちゃ語弊があるけど、村井さんの考え方を学びたいと思っているので、敢えてAMSの話は控えめでいく（すみません）。AMSは「<a href="https://www.amsinc.co.jp/solution/prams-ec/">PRAMS EC</a>」というECシステムと「ミドルウェア」のシステムを提供しており、この「ミドルウェア」は、ECと倉庫と店の間に入って「つなぎ込み」をするという意味合いで使われる。</p>



<p>　なぜ、「つなぎ込み」が必要なのか。それは、今までリアル店は店頭にある商品を売ることに終始していたからである。つまり、「入荷してきたものを売る」という風だから、在庫に対しての意識が薄い。結果、売れ残った在庫はセールでまかなうが、利益率は良くない。一方、ネットはネットで、店頭在庫の数量分を把握できていない。だから、自社倉庫の数の中でしか売ることができない。これでは生産的とはいえない。</p>



<p>　はたから見れば、お互いの動きはチグハグだったと言える。だから、ネットショップへの商品掲載も、店頭に入荷してからという有様。よく考えれば、店側に発売日という概念すらあまりなかった。それでは施策も伴わず、熱狂も生まれにくい。同時にそれはどう解決するのかが分からなかったとも言える。</p>



<h3 class="wp-block-heading">2.在庫を一つと考える為に「つなぎこむ」システム</h3>



<p>　ゆえに、彼らは、最初から「店頭と倉庫の在庫を一つ」で考え、そこから在庫をリアルとネットに振り分けようと考えた。すると、足並みを揃える必要性が出てくるから、スケジュールを組み立て、互いにどのタイミングで手を加えるのかを考える。つまり、店と倉庫を「つなぎ込む」システムを手がけて、商品在庫の最大化を図ったわけである。</p>



<p>　こうすれば、常に在庫は一元化される、それとともに、リアル店舗を補完する役目として、ネットショップが機能するようになったのだ。</p>



<p>　おかげで、リアル店は接客や試着など自らの強みに気づくことになった。それと共に「どこで売るか」にこだわらなくなる。リアル側がネットに理解を示すほど、ネット通販がリアルをフォローして売りやすくなる。だから、商品の価値を正当に活かして、企業の利益率に大きく貢献したのである。</p>



<p>　この「商品の価値を正当に活かして」という部分が大事。これが村井さんの本筋である。</p>



<p>　AMSの話はこのくらいにして（失礼！）、今から10年も前からこういう着想をして、この会社に実践するようになった理由は、彼のどんな考え方によるものなのか。その本質的な部分を探ることで、「未来の小売のあり方」を考える上でのヒントにしたいと考えた。</p>



<h3 class="wp-block-heading">3.他にはない視点を着想した理由は？</h3>



<p>　その意味で言うと、冒頭にも書いた通り、本当の原点は、彼の鈴屋でのバイヤー時代にあると僕は気付かされた。ここから始まる一連の話は「過去から今」と「今から未来」。その二つを見据える上でも参考になる思考の仕方である。</p>



<p>　真っ先に彼の言葉で驚かされたのは、この言葉。</p>



<p>　「鈴屋時代、月商1000万円の部門を渡されるとすると、僕の場合、一年以内に1億円にしたいと考えていた」。思うに彼は勝負師なのである。でも、それは闇雲にやるのではなく、メリハリをつけることで、大きなことを成し遂げてきたのである。</p>



<p>　そもそも彼は、鈴屋時代、バイヤーとして名を馳せた。古くから鈴屋の伝統で、数字を出した人が全てであり、年齢に関係なく、高く評価された。</p>



<p>　つまり、彼は「どうすればトップを取れるか」を考えていて、それにより彼の欲しいものが手に入ると考えた。欲しいもの、それは世の中を知り、自分がチャレンジすることでその仮説と検証を繰り返せる立場である。結果、この職場はその後、彼の人生を満たすだけの十分な経験をもたらした。</p>



<p>　だから、彼はこの会社でとにかく打ち込んだ。それゆえ、鈴屋出身の経営者は案外多いと村井さん。いずれにせよ、自分は経営者になっていたと語る。この環境こそが、先ほどの強気な言葉が出てくる所以である。</p>



<h2 class="wp-block-heading">在庫を制するものが小売を制する</h2>



<h3 class="wp-block-heading">1.多くを売る為に必要なのは沢山商品を用意することではない</h3>



<p>　一方で、先ほど、僕が「メリハリ」という言葉を使わせてもらったように、それはただ色々な商品を買い付けすればいいというわけではない。確かに高い売上を目指そうとすれば、たくさんの商品を仕入れれば、結果が出やすい。でもそれだけでは意味がない。</p>



<p>　彼は言う。バイヤー時代に「予算が未達成」など、悔しい思いをするときの大抵の理由は何か。それが在庫の問題だ。当時、在庫によって倒産した企業も少なくない。だから在庫を残せば、いくら売り上げてもその評価はマイナスになった。</p>



<p>　ここが彼の話の肝で、恐る恐るやる人は、「発注するのが量的に少ない」から目標達成できない。その上で「月商1000万円の部門を渡されるとすると、僕の場合、一年以内に1億円にしたい」という言葉を考えてみよう。それを具現化しようとすれば、そうは簡単なものではないということにお気づきいただけることだろう。ちょうどいい数の見極めが実に難しいからだ。</p>



<p>　でも、実際、彼はそこで結果を出したから高く評価された。彼が今、AMSの代表取締役として、皆を指揮する上でも、実は、この「在庫」に対しての意識は徹底されていて、いわば、彼の考え方の礎である。</p>



<h3 class="wp-block-heading">2.それまで大手メーカーから仕入れるには時間を要した</h3>



<p>　だから、その考えに至る起源をたどりたい。彼曰く、今から何十年も前の話にはなるけど70年代、トレンドの商品の押さえ方が違っていた。発注を8ヶ月前くらいからし始めるわけである。鈴屋はセレクトショップ的な売り方をしていて、例えば、国内大手アパレルメーカーなどの企業から「仕入れ」を行っていたわけだ。</p>



<p>　すると、在庫の部分が一番、リスクとなる。つまり、一流の大手企業ばかりやっていると、機転が効かないのである。だから、それ以外の中小企業などとも「仕入れ」をやらせてもらっていた。それは、彼らならシーズンが迫ってきても作ってくれていたからだ。つまり、それらを織り交ぜながら、売場を構築したのである。</p>



<p>　それでも流石に１週間で入荷することなんてあるわけはない。シーズン最盛期になって、仕入れも遅いから、それらに加えて、少しでも早くトレンドに気づいて、量に対してしっかり向き合う。そうすることで、お客様のトレンドに対しての最大値をとりやすくしていったのである。</p>



<h3 class="wp-block-heading">3.お客様のニーズは繊細である</h3>



<p>　ゆえに村井さんの「売れ筋」への指摘は繊細である。</p>



<p>　例えば、洋服が紺とベージュと黒の３色展開。「今夏、ベージュがかった白の動きがいいよね」。そうなれば1:1:1では発注するはずがない。白10、ベージュ5、黒1という具合になる。どれが売れるかを見極める一方で、どれを減らすかを考える。それで取りこぼしがなくなる。そうやって売場を構築していくわけだ。</p>



<p>　だから、僕は「大量に売るということは、実は『何を削るか』ということなのですね」と村井さんにいうと頷いた。だから、お客様を自分の目で見て、確認していくことが大事になる。彼はバイヤーであり、販売員ではない。けれど１週間のうち、4〜5日は売り場に顔を出していた所以だ。</p>



<p>　これが、僕は今に通じる本質的な話だと思った。今も昔もお客様を理解するという部分では村井さんの行動は変わっていない。時代背景を考えれば、過去は今よりずっとマスメディアの影響が大きく、画一的で大きなトレンドが生み出されていたけど、年を追うごとに、商圏が小さくなっていった。その中身は、一見、異なるように思える。</p>



<p>　でも同じなのだ。当時でいえば、トレンドを読みながら、足繁く通ってお客様の細かなニーズを取りに行った。一方、今はお客様の行動データをとりに行くことで、それができる。同じくお客様あっての事だし、そのニーズを掴む為の手段が、トレンドなのかデータなのかの違いに過ぎない。</p>



<h2 class="wp-block-heading">トレンドに乗るのも、ヒットを生み出すのも同じ</h2>



<h3 class="wp-block-heading">1.答えがお客様にあることには変わりない</h3>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="576" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/ams_muraisan230503.jpg?resize=1024%2C576&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-40821" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/ams_muraisan230503.jpg?resize=1024%2C576&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/ams_muraisan230503.jpg?resize=300%2C169&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/ams_muraisan230503.jpg?resize=768%2C432&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/ams_muraisan230503.jpg?w=1200&amp;ssl=1 1200w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　だから、その後、TSUTAYAを運営するカルチャーコンビニエンスクラブ（CCC）を、増田宗昭さんと立ち上げることとなるが、そこでもその知見は生かされる。彼は、トレンドを追うだけではなく、自ら生み出すことで、進化していくのである。</p>



<p>　その後、TSUTAYAで怪獣コンテンツを大体的に展開して、ヒットを作り出した。そのコンテンツは60年代に放映されていたものだったのに、レンタルで動いていたのを見逃さなかった。しかもそのキャラクターのぬいぐるみが売れていると言う。つまり、これは世代を超えて、受け入れられる可能性があると直感したわけだ。</p>



<p>　ところが、TSUTAYAの加盟店ではどうだろう。それらのシリーズをどれだけレンタルできているかというと、殆ど仕入れられてない。それは今更、買おうとしても絶版で買うことができなかったからだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading">2.世の中的な流れではなく自らヒットを創出</h3>



<p>　でも、村井さんはだからこそチャンスだと思った。絶版であろうが、版権元は存在する。そのコンテンツに関係する今までの作品を全巻、発売しましょうと交渉を開始して話をまとめた。</p>



<p>　それで販売して分かったのは、怪獣が多く出てくるものほど、売れる。加えて、彼は玩具メーカーにも話をしに行く。それはコンテンツの新たな価値を知ってもらうことになりからだ。いうまでもなく、版権元にはリップサービスになるから、協力体制は強化される。同時に、おもちゃを作る方向へ話が進む。それゆえ、それも販売して、TSUTAYAでフィギュアが売れるという現象も起こった。</p>



<p>　全然、時代の手段に左右されていないのだ。見るべきが分かっているから。だから、ネット通販に関心を抱くのも自然だった。今でこそ、AMSの代表取締役を務めて、ECに関わることになった。だが、彼がネットの可能性に着目していたのは、1995年当時。その視点もまた、彼が想像力豊かなリアリストであることを示す。</p>



<h3 class="wp-block-heading">3.想像力豊かなリアリストであれ</h3>



<p>　ECにどんな可能性を抱いていたのか。すると「本をまず売ればいい」と思っていたと語る。その理由もまた、センスに溢れている。彼はここでも「在庫」の概念を持ち出し、それを自らの強みに変える視点で、全く違ったアイデアを生み出す。</p>



<p>　要するに、本は返品が可能であるという部分を活かすのである。当時の本の問屋は大手書店を優先していた。だから、ネット通販を始めたところで意味はない。当然、後回しにされて直ぐには届かないからだ。しかし、そこに光明を見出す。</p>



<p>　バイヤー時代と同様に、欲しい時にサッと販売することが大事。ならば、彼は自社で倉庫を構えて、本を仕入れればいいと着想したのである。それはバイヤーとして大きな勝負をかけた時と同じ発想の仕方である。大きな投資を必要とする。だがしかし、その一方で、出版には返品という文化があるから、リスクヘッジが可能である。</p>



<p>　面白いのは、大きな売上を作るには敢えて、何を省くかを考える事が大事なのが、ここでも証明された。</p>



<p>　その倉庫を最小限に活用して、直ぐに届けられたら、そこで覇権を握れるだろう。具現化されることはなかったが、それってAmazonではないか。そういうと、村井さんはニヤリ。偶然、その時代に会って同じ価値観だと話が盛り上がったのが若きジェフベゾスだったというから、尚更驚きである。本質的視点は時代に左右されない。</p>



<h2 class="wp-block-heading">商売人人価で貫く人生を</h2>



<h3 class="wp-block-heading">1.鈴屋でもTSUTAYAでもAMSでも同じ</h3>



<p>　そんな彼が、折に触れて、使う言葉が「商売人人価」というものだ。この言葉は自らが経営に関わったCCCにいた時代も口にしていたもの。これも鈴屋のバイヤーの頃から、成長してご自身が身につけた様々な知見が込められていて、非常に奥が深い。</p>



<p>　まずは商品（「商」）である。それは相応しい商品を持って売ることで、機会損失なく、売り尽くすことである。そのためには、然るべき売り場「（売）」がきちんと設計されていること。</p>



<p>　さらには、人である。例えば、TSUTAYAがそうであるように、スタッフ（「人」）が映画の知識を深めれば、それが、お客様との接点を重んじて、映画のソフトの購入（レンタル）へと繋げられる。そこまでの土台ができれば、あとは、集客（「人」）を行い、ふさわしい値付け（「価」）をすれば、結果はついてくると。</p>



<p>　まさにAMSはそれを活かす中で成長している。提供するECシステムとミドルウェアとなるOMOソリューションはその中でも、「売」に相当するところだろう。売り場を最大化するための商品の陳列である。彼の核なる部分「在庫」をベースに、システムを構築して、AMSの価値を引き上げたのは、手堅い。来るネット時代に備えて、この会社にジョインして、彼が手腕を発揮したのが2012年のことである。</p>



<h3 class="wp-block-heading">2.AMSの仕組みで、アパレル店員がかつての“村井”体験をしていく</h3>



<p>　いかにその視点が先駆けであったのかは、お分かりだろう。今でこそ、リアルとネットを繋いで、シームレスに在庫を管理していく発想はもうこの段階で、彼の頭の中では存在していた。彼自身が、鈴屋でやっていたように、在庫を的確にコントロールすることで、店は最大級の売り上げを作ることができる。</p>



<p>　流石に村井さんのレベルまで緩急を上手にできるかは別。だが、村井さんを“疑似体験”できるだけの武器をシステムによって、全国のスタッフに提供してきたわけだ。自ずとスタッフの意識が変わる。必要な在庫をどれだけ仕入れて、売りつつも、機会損失を作らずに利益を生み出すか。それを味方につければ、結果が出る。</p>



<p>　村井さんが「売り場まで通っていた」という話が先程あった。同じように、AMSの社員も売り場を大事にする。システム側と販売側に溝が生まれがちだからこそ互いに寄り添い、ギャップをなくした。それはより多くの企業に提供できるようにと、それを共通化させて、今に至る。コロナ禍で多くの企業が救われたのは、AMSの社員のここまでの頑張りによるところだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading">3.現場に入り込むことは当時の村井さんと今も変わらず</h3>



<p>　自分流に切り開いてきた村井さんだ。月並みだけど、小売が今後、大事すべきことは何かと聞いてみた。すると、彼は自らの歴史を彷彿とさせる未来の提示をしてくれた。彼が初期、大手企業から仕入れてから売るまで、相当な時間を要した。けれど、望む商品とお客様と距離感を縮めていくことが大事だとその働きかけをしてきた。</p>



<p>　故に今で言うなら、生産と物流の距離をいかに縮められるかだと言う。昨今、話題の「SHEIN」では提携工場をいくつも構えている。その中で、大事なのは製造内容に合わせて、うまく棲み分けしながら、発注をしていることだと。アメリカで売りつつも、その工場は中国がベストだと判断したのは、その地域や土壌を含めて、工場のバックグラウンドがわかっているからで、これは大きいと。</p>



<p>　どの工場が何にどれだけ強いのか。それが分かればリードタイムが減少し、それがトレンドやニーズを逃さず、適量生産できる。あとは連携するハブとなる物流環境を整えれば、お客様の感覚と商品との間のギャップがほぼなくなると。サプライチェーンマネジメントである。</p>



<p>　不思議な話だけど、彼がお客様の元へ足繁く運んで、お客様のニーズと売り場の提案、そして何より商品がずれないようにしてきたこととオーバーラップする。それを最大化するには、何を削るかであり、それで必要なのは、お客様を知ることである。今も昔も人の心を動かす本質は普遍的である。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="576" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/145tomuraisan230505.jpg?resize=1024%2C576&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-40823" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/145tomuraisan230505.jpg?resize=1024%2C576&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/145tomuraisan230505.jpg?resize=300%2C169&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/145tomuraisan230505.jpg?resize=768%2C432&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2023/05/145tomuraisan230505.jpg?w=1200&amp;ssl=1 1200w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　</p>
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