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	<title>DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記 アーカイブ - 145MAGAZINE</title>
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	<description>ヒットの生まれ方と育て方を考えるメディア。</description>
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	<title>DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記 アーカイブ - 145MAGAZINE</title>
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		<title>組織改革と物流戦略で掴んだ成果〜アイリスプラザ au PAY マーケット店が総合賞1位</title>
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		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 13 Mar 2026 12:46:59 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　戦略転換を推進し、モールの価値を上手に生かすべく、貪欲に施策を重ねながら掴み取った栄光。2026年3月13日、KDDIとau コマース&#38;ライ [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#dff2fe">　戦略転換を推進し、モールの価値を上手に生かすべく、貪欲に施策を重ねながら掴み取った栄光。2026年3月13日、KDDIとau コマース&amp;ライフが運営するECモール「au PAY マーケット」において、2025年に活躍した店舗を表彰する「ベストショップアワード2025」が開催された。売上やサービス品質、ユーザー投票などを総合的に評価して選出されるこのイベントで、総合賞1位に輝いたのが「アイリスプラザ au PAY マーケット店」である。</p>



<p>　授賞式後には、<strong>アイリスプラザ 取締役社長 岩崎亮太さん</strong>への取材が行われ、同店の戦略転換の背景や、消耗品を軸にした事業改革、物流を活かした独自のスキームなどが語られた。単なる商品ラインナップの拡大ではない。組織の評価制度から物流設計まで含めた“構造の作り直し”によって成果を生んだ点が、今回の受賞の本質と言えるだろう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-家電中心の店舗から-消耗品の店-へ舵を切った転換点"><strong>家電中心の店舗から「消耗品の店」へ舵を切った転換点</strong></h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" fetchpriority="high" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2026/03/auPay260302.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-58784" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2026/03/auPay260302.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2026/03/auPay260302.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2026/03/auPay260302.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="(max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　今回の受賞を語る上で欠かせないのが、家電中心のEC店舗から消耗品中心へと舵を切った戦略転換である。</p>



<p>　アイリスグループの取締役会で議論を重ねた結果、「これからは消耗品だ」という判断に至ったことが明かされた。家電のような耐久消費財は単価が高い。その一方で、購入頻度が低く、市場環境によって売上が大きく左右されやすい。そこで同社は、継続的に購入される消耗品カテゴリーへ本格参入する方針を固めた。</p>



<p>　実際、ベビー用おむつなどのカテゴリーにも参入。店舗の性格そのものを変える形で改革を進めたという。この転換は単に商品を追加するだけではない。店舗の戦略そのものを「消耗品を継続的に販売する店」へと再定義するものであり、EC運営の考え方自体を大きく変える決断だった。</p>



<p>　さらに、この変化を実現するためには、社内の評価制度や業績の見方も変える必要があった。消耗品は家電に比べて単価が低く、短期的には売上が縮小して見える。</p>



<p>　しかし同社では、年間単位で見ればリピート購入によって売上が積み上がるというシミュレーションを社内で共有し、戦略の理解を深めていった。つまり今回の成果は、商品戦略だけでなく、組織の認識や評価基準まで含めた改革の結果とも言える。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-au-pay-マーケットを-実験の場-として活用した一年"><strong>au PAY マーケットを“実験の場”として活用した一年</strong></h2>



<p>　もう一つ興味深いのは、アイリスプラザがau PAY マーケットを新しい施策の実験の場として活用してきた点だ。他の巨大モールと比べて「試してみるのにちょうどいいボリューム感」があると語られた。</p>



<p>　巨大化したEC市場では、一度の施策が大きなリスクになることも多い。しかしau PAY マーケットでは、大胆なチャレンジを比較的柔軟に試せる環境があるという。実際、この1年の間にも多くの施策が試された。ライブコマースやサンプル配布といった販売施策もその一つ。正直、成功したものもあれば、投資に見合わない結果に終わったものもあったという。</p>



<p>　しかし重要なのは、その失敗が無駄にならなかったことだ。「それなりの規模で試しながら、失敗も学びに変えることができた」と語る。要するに、それらのPDCAを高速で回す環境があったことが、戦略を磨き上げることにつながった。</p>



<p>　EC運営では、成功事例ばかりが語られがちだが、実際には多くの試行錯誤がある。その意味で、今回の受賞は「成功した施策」だけでなく、失敗も含めた検証の積み重ねの結果とも言えるだろう。&nbsp;</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-単価5分の1の世界で求められる組織改革"><strong>単価5分の1の世界で求められる組織改革</strong></h2>



<p>　消耗品戦略のもう一つの難しさは、繰り返しになるが、単価構造の違いにある。実際、具体的なデータを挙げると、家電と比べると、消耗品の平均単価はおよそ5分の1程度。これは大きい。そのため、短期的な売上だけを見れば、どうしても数字が縮小して見えてしまう。</p>



<p>　この問題を解決するため、アイリスプラザでは店長やスタッフの評価制度そのものを見直した。では、それをどのように見直したのだろう。</p>



<p>　従来のように短期売上で評価してしまうと、消耗品戦略は成立しない。そこで同社では、「消耗品を年間で4回購入してもらえば売上はプラスになる」という考え方を共有したのだ。長期的な視点で成果を評価する仕組みを整え、その理解を徹底的に促した。</p>



<p>　つまり、単に商品ラインナップを変えただけではなく、組織の評価指標まで含めて設計し直したのである。このような取り組みは、EC事業者にとっても重要な示唆を含んでいる。ECではどうしても短期の売上が注目されがちだが、リピート購買を前提にした消耗品ビジネスでは、時間軸そのものを変えたマネジメントが必要になる。</p>



<p>　その勇気こそが、結果につながっている。今回の受賞は、その変化を組織として受け入れ、実行できたことの証とも言える。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-物流を横断することで生まれた新しい利益構造"><strong>物流を横断することで生まれた新しい利益構造</strong></h2>



<p>　今回の取材で特に印象的だったのは、<strong>消耗品戦略の裏側にある物流設計</strong>である。彼らは「店舗」でありながら、同時に<strong>商品を生み出すメーカーとしての顔</strong>も持っている。多くのメーカーは、基本的に商品ごとの利益構造で事業を考える。</p>



<p>　つまり、各商品カテゴリーごとに収益を計算する<strong>縦割りの発想</strong>でビジネスが成り立っている。しかし、アイリスプラザの場合、利益の考え方は少し違う。例えば、飲料は重量が重いため、トラックに積むと<strong>重量制限に先に達してしまい、運賃効率が悪くなる</strong>。</p>



<p>　一方で、おむつのような紙製品は、容量は大きいが<strong>重量は軽い</strong>。この二つの商品を組み合わせて配送することで、<strong>トラックの積載効率を最大化できる</strong>というわけだ。</p>



<p>　要するに、「家電で利益を出し、食品で補う」といった<strong>商品ミックスの発想ではない</strong>。そうではなく、<strong>物流効率そのものを高めることで利益を生む構造</strong>を作っているのである。そして、この仕組みは、メーカーとして自ら物流リソースを持つ<strong>アイリスグループだからこそ実現できる強み</strong>でもある。</p>



<p>　自社物流をベースにしながら、ラストワンマイルは外部キャリアを活用する。そうすることで、配送能力にも余力を持たせているという。こうした物流戦略が、消耗品ビジネスの拡大を支える基盤になっている。</p>



<p>　だから消耗品なのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-消耗品と家電のシナジーをどう作るか"><strong>消耗品と家電のシナジーをどう作るか</strong></h2>



<p>　そして最後に興味深かったのが、<strong>消耗品と家電の関係性の捉え方</strong>である。EC業界の一般的な考え方では、消耗品は日常的に必要とされる商品である。そのため、まず消耗品で顧客を獲得し、その後、家電のような高単価商品で利益を取る――。</p>



<p>　こうした戦略はよく語られるところだ。しかし、アイリスプラザの考え方は、<strong>必ずしもその構造に当てはまるわけではない</strong>。これが正直、僕にとっては<strong>大きな驚きをもって受け止めたポイントだった</strong>。同社が重視しているのは、新しいカテゴリーが既存事業とどのようなシナジーを生むかという点だという。</p>



<p>　消耗品を扱うことで工場の稼働率が上がり、メーカーとしての事業にも好循環が生まれる。さらに、上記の通り、物流効率の改善など、事業全体の構造に影響を与える要素もある。つまり、単に売上を積み上げるためのカテゴリー追加ではなく、企業全体のリソースを活かす戦略として消耗品を捉えているのである。</p>



<p>　また、今後の課題としてSNSを通じた顧客接点の強化も挙げられた。ライブコマースなど動画を活用した販売は今後成長すると見ており、段階的に取り組みを進めていく考えだという。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-組織改革と挑戦が生んだ総合賞1位"><strong>組織改革と挑戦が生んだ総合賞1位</strong></h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2026/03/iris260302.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-58787" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2026/03/iris260302.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2026/03/iris260302.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2026/03/iris260302.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="(max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　今回の総合賞1位は、単なる売上の結果というよりも、<strong>組織と戦略を作り直した成果</strong>と言えるだろう。家電中心の店舗から消耗品へと舵を切り、評価制度を見直し、物流設計まで含めて戦略を組み直す。</p>



<p>　しかもそれは、<strong>自社の強みを改めて見直した結果</strong>によるものだった。見直したからこそ、これまで向き合ってこなかった課題に直面することも多かったはずだ。それでも彼らは、そこに果敢に挑んだのである。</p>



<p>　そして、<strong>au PAY マーケットを実験の場として活用しながら、PDCAを回し続けてきた</strong>。</p>



<p>　そうした一つ一つの取り組みの積み重ねが、今回の結果につながったのだろう</p>



<p>　EC市場が成熟する中で、単なる商品戦略だけでは差別化は難しい。だからこそ、組織、物流、販売施策を一体で設計することの重要性が、今回の受賞から見えてくる。アイリスプラザの取り組みは、EC事業者にとっても多くの示唆を与える事例と言えそうだ。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2026/03/iris-aupay-bestshopaward-2025-consumables-strategy/">組織改革と物流戦略で掴んだ成果〜アイリスプラザ au PAY マーケット店が総合賞1位</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>なぜSK-IIは楽天市場で評価されたのか｜SHOP OF THE YEARに見るブランドの論理</title>
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		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 30 Jan 2026 02:40:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　Rakuten SHOP OF THE YEARの会場で、SK-IIの話を聞いていて、静かな納得感が残った。それは「売れた理由」がわかった、というよ [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2026/01/why-sk2-was-evaluated-on-rakuten-shop-of-the-year/">なぜSK-IIは楽天市場で評価されたのか｜SHOP OF THE YEARに見るブランドの論理</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#e9f7ff">　Rakuten SHOP OF THE YEARの会場で、SK-IIの話を聞いていて、静かな納得感が残った。それは「売れた理由」がわかった、というよりも、「評価された理由が腑に落ちた」という感覚に近い。楽天市場というモールに出ること。高価格帯・プレステージブランドであること。リアルでは当たり前の美容部員が存在しないこと。一見すると、難しさの方が先に立つ条件ばかりだ。だからこそ、なぜ評価されたのかを、丁寧に見ていく必要がある。</p>



<p>　それでもSK-IIは、感覚や勢いではなく、極めて論理的にこの場所と向き合ってきた。その論理は、「EC攻略法」ではない。<strong>ブランドとは何か、顧客接点とは何かを、あらためて問い直した結果</strong>だった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-楽天に出た理由は-販路-ではなく-顧客の現在地-だった"><strong>楽天に出た理由は「販路」ではなく「顧客の現在地」だった</strong></h2>



<p>　SK-IIほどのブランドであれば、自社ECや百貨店を軸にした展開だけでも成立する。<br>それでも楽天市場を重視した背景には、非常に冷静な視点があった。</p>



<p>　それは、「売り場を増やす」という発想ではない。<br><strong>本当に使ってほしいお客様が、いまどこにいるのか</strong>という問いだ。</p>



<p>　消費者の行動は、確実に変わっている。百貨店に行くことと、ECで購入することは、もはや対立関係ではない。生活の中で自然に行き来する、ひとつの連続した動線になっている。</p>



<p>　楽天市場は、その動線の中で「忘れられない場所」になっている。だからこそ、SK-IIにとっては、避けて通る場所ではなく、きちんと向き合うべき起点だった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-出店する時代から-向き合う時代へ一見すると-難しさの方が先に立つ条件ばかりだ">出店する時代から、向き合う時代へ一見すると、難しさの方が先に立つ条件ばかりだ。</h2>



<p>　従来の考え方では、楽天市場への出店とは、全国の商店が販路を広げるための選択肢のひとつだった。<br>「出店すること」そのものに意味があり、どれだけ多くの店が並ぶかが価値とされてきた。</p>



<p>だが、昨今の楽天市場は、そうした発想を超えた存在になりつつある。<br>すでに多くのユーザーが集まり、日常的にショッピングが行われる“拠点”として機能している。<br>そこに人が集まるということは、単なる売り場ではなく、明確なマーケットが成立しているということでもある。</p>



<p>だからこそ問われるのは、「出店するかどうか」ではない。<br>そのマーケットに対して、自らのブランドがどう入っていけるのか、どんな価値を提供できるのか、という視点だ。</p>



<p>　SK-IIの取り組みは、その変化を象徴しているようにも見える。楽天側が、高価格帯ブランドやプレステージブランドに対しても、単に“並べる場”ではなく、“伝えるための道筋”を示し始めた。その変化の上に、SK-IIの設計が重なった結果だった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-モールに入ることで-ブランドは薄まらなかったのか"><strong>モールに入ることで、ブランドは薄まらなかったのか</strong></h2>



<p>　高級ブランドがモールに出るとき、必ず浮かぶ不安がある。「楽天の色に染まってしまわないか」という問いだ。</p>



<p>　この点について、SK-IIの考え方は明確だった。重要なのは“どこに出るか”ではなく、“どう設計するか”だ。特に大きかったのは、楽天側の理解と協力体制だった。<br>　ブランドとして「やりたくないこと」「譲れないこと」を丁寧に共有し、その前提を壊さずに表現を組み立てていく。</p>



<p>　モールに合わせてブランドを変えるのではない。ブランドの思想を、モールの文脈に翻訳する。その姿勢が一貫していたからこそ、ブランディングは損なわれなかった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-楽天のレビューとデータは-商品開発にも戻っていく"><strong>楽天のレビューとデータは、商品開発にも戻っていく</strong></h2>



<p>　SK-IIは、単に楽天を「売る場所」として使っていない。顧客の声が集まる場所として、極めて重視している。</p>



<p>　レビュー、購買データ、行動履歴。それらはマーケティング施策のためだけではなく、「本当に必要とされている商品は何か」を考える材料になる。</p>



<p>　P&amp;Gの思想として語られた「消費者こそが本当の上司である」という考え方。それは、このECの現場でも生きている。</p>



<p>　ECで得られた声が、商品やコミュニケーションに反映され、また次の顧客体験へとつながっていく。楽天市場は、その循環が起きやすい場所だった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-美容部員がいないecで-どうやって一歩を踏み出してもらうか"><strong>美容部員がいないECで、どうやって一歩を踏み出してもらうか</strong></h2>



<p>　リアル店舗とECの決定的な違いは、美容部員がいないことだ。</p>



<p>　高価格帯の商品を、誰にも相談せずに選ぶ。その心理的ハードルを、SK-IIは最初から正面に据えていた。リアル店舗では、美容部員に声をかけられることで安心が生まれる。一方で同時に、「買わなければならない空気」も生まれる。ECには、その圧がない。</p>



<p>　誰にも話しかけられず、自分のペースで情報に触れ、納得した瞬間に決断できる。<br>SK-IIは、このEC特有の環境を弱点とは捉えなかった。むしろ、「自分で選びたい人」にとっては、最適な状態だと捉え直したのである。</p>



<p>　そこで活用されたのが、楽天のShowroomの仕組み。これは、楽天が用意している、ブランド向けのプロモーション施策のひとつだ。楽天市場の中に、ブランドの考え方や商品の背景を伝える専用ページを設け、ただ商品を並べるのではなく、ユーザーとの接点をつくるための仕組みである。</p>



<p>　つまり、一度商品ページに触れた人や、関心を示した人に対して、実際の使用者の声や、商品の意味を丁寧に届けていく。それは、背中を押すための演出ではない。迷いを減らすための情報提供だ。SK-IIがECで行っていたのは、まさにそのための設計だった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-コロナ禍が突きつけた-ecに本気で向き合う覚悟"><strong>コロナ禍が突きつけた、ECに本気で向き合う覚悟</strong></h2>



<p>　思うに、SK-IIが最初にSHOP OF THE YEARを受賞したのは、コロナ禍だった。百貨店が閉まり、リアルの接点が失われた時期だ。</p>



<p>　当時は、生き残るための選択でもあった。だが、その後の成長と停滞を経て、彼らは再び基本に立ち戻る。</p>



<p>　このチャネルで、このブランドを買う人は誰なのか。どんなカテゴリーと親和性があるのか。購入データを一つひとつ紐付けながら、愚直に考え直す。</p>



<p>　派手な打ち手ではなく、<strong>顧客理解を積み重ねること</strong>を選び続けた結果が、今回の評価につながっている。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-セールで売らない-準備が整った人に-選ばれる"><strong>セールで売らない。準備が整った人に、選ばれる</strong></h2>



<p>　楽天市場には、セールとポイントという強力な仕組みがある。だがSK-IIは、値引きで売れる商品ではない。だから彼らが考えたのは、「セールで売る」ことではなく、<strong>セールに入る前に、買う準備を終えてもらうこと</strong>だった。</p>



<p>なぜ買うのか。<br>誰が買うのか。<br>何を、いつ買うのか。</p>



<p>　これらを感覚ではなく、論理として設計し、実行する。SK-IIの強みと、楽天の強みを掛け算するとは、こういうことだ。</p>



<p>　評価されたのは、売上の数字だけではない。ブランドと顧客をつなぐ構造を、地道に作り続けた思考そのものだった。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2026/01/why-sk2-was-evaluated-on-rakuten-shop-of-the-year/">なぜSK-IIは楽天市場で評価されたのか｜SHOP OF THE YEARに見るブランドの論理</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>キムチではなく“素”だった｜樽の味がRakuten SHOP OF THE YEARを受賞するまで</title>
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		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 30 Jan 2026 00:15:07 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　その話は全てがつながっていた。商品はいかに想いを込めて作られ、そして戦略として太刀打ちできるように設計し直し、受け入れられて、一気に花咲く。「自然の [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2026/01/kimchi-moto-tarunoaji-rakuten-nations/">キムチではなく“素”だった｜樽の味がRakuten SHOP OF THE YEARを受賞するまで</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#d4ecfb">　その話は全てがつながっていた。商品はいかに想いを込めて作られ、そして戦略として太刀打ちできるように設計し直し、受け入れられて、一気に花咲く。「自然の食材と発酵で健幸に 樽の味」の話である。彼らは、Rakuten SHOP OF THE YEAR 2025のカテゴリー賞を受賞した。</p>



<p>　商品の切り口は面白くて、キムチの素は、キムチではない。キムチの“素”なのである。添加物をできるだけ抑え、素材本来の旨味と発酵の力、植物性乳酸菌を活かした、健康志向の製品なのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-キムチはたくさんある-でも-僕らがやったのはキムチじゃなかった"><strong>「キムチはたくさんある。でも、僕らがやったのはキムチじゃなかった」</strong></h2>



<p>　ごく自然な問いから始まった対話は、気づけば「キムチとは何か」という話を越えて、商品開発、売れるまでの時間、そして点と点が線になる瞬間の話へと進んでいった。</p>



<p>　まず話題に上がったのは、商品そのものだった。元々、漬物屋から始まっている彼らにとって、キムチはお馴染みだ。世の中に数え切れないほど存在する。そこで、革命を起こしたいと言っていたのが同社の常務だった。</p>



<p>　それをこの日、嬉しそうに語り出したのが、代表取締役 <strong>細田幸平さん</strong>だった。</p>



<p>「キムチじゃなくて、キムチの素やったんです」</p>



<p>　しかも、それは無添加で、粉状。当時は、そうした商品は世の中にほとんど存在していなかったという。これが不思議と、漬物屋としての起源と関わりを持っていて、彼らは、ずっと無添加の漬物を作ってきた背景がある。</p>



<p>　実は、この業界では添加物を使うことが当たり前になっている中で、同じことをしても勝負にならない、という感覚があった。だから、キムチの素であり、無添加であり、パウダータイプ。</p>



<p>　それまで世の中になかったもの。まさに彼らの言葉の通り、革命だった。そんな発想から、この商品は生まれている。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-やろうと決めても-すぐに-おいしい-にはならなかった"><strong>「やろうと決めても、すぐに“おいしい”にはならなかった」</strong></h2>



<p>　ただ、商品として世に出すまでの道のりは簡単ではなかった。話を聞いていて印象的だったのは、「味」に対する率直な言葉だ。</p>



<p>　徐々にその商品開発への熱意は、現場の本気度を高めて、敢えて味へのこだわりを徹底して、中途半端に結論を急ぐことをしなかった。彼ら自身で行った、品評会にも、一回目、二回目と挑戦する中で、「これだとちょっときついんちゃうか」と手厳しいコメントも飛び交った。</p>



<p>　でも、それは愛情の裏返し。世の中に前例がない。売れるかどうかも分からない。それでも開発を続けられた理由を辿っていくと、そこには人の存在があった。</p>



<p>　繰り返しになるが、開発の中心にいたのは、会社の常務だった。キムチ市場に何かを届けたい、という強い思いを持っていたという。だからこそ、最初の段階では、決して完成形とは言えない味だったが、妥協せず、何度も改良を重ねていったことで生まれ変わった。</p>



<p>「まだ伸ばせる」「もっと良くできる」。</p>



<p>　そうやって、疲れても手を止めず、最高の状態になったときに、ようやく世に出そうと決めた。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-売れ出したきっかけは-商品そのものではなかった"><strong>「売れ出したきっかけは、商品そのものではなかった」</strong></h2>



<p>　味が仕上がり、商品として世に出した。ただ、そこからすぐに大きな反応があったわけではない。最初の立ち上がりは、決して悪くはなかったが、爆発的、というほどでもなかったという。</p>



<p>　ここにも実はドラマがある。</p>



<p>「悪くはない。でも、まだ足りない」。そんな感覚のまま、時間が過ぎていく。流れが変わり始めたのは、インフルエンサーに取り上げられたことがきっかけだった。</p>



<p>　ここでキーとなったのは、大澤真弓さんの存在だ。</p>



<p>　彼女は軽い気持ちで楽天NATIONSに参加したが、そこでの空気を味わい、変わっていく。NATIONSとは、楽天市場の出店者が売上成長を目的に、実践事例をもとに学び合い、行動まで落とし込むための公式支援プログラム。</p>



<p>　「出たら、1.5倍の売上を半年間で伸ばさないといけない」。</p>



<p>　そんな空気に触れて、やらなあかん！</p>



<p>　そこで出会ったのが、インフルエンサー施策。それまで点として存在していた商品が、ようやく「人の手」によって語られ始めた。</p>



<p>　商品が変わったわけではない。語られ方が、少しずつ変わっていった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-ネイションズで知った-やばい-という実感"><strong>「ネイションズで知った、“やばい”という実感」</strong></h2>



<p>　彼らは、ヘアゴムを販売している、のりちゃんという女性と、枕カバーを販売している、さわちゃんという男性の方が、やっている方法を見て自分たちでアレンジした。</p>



<p>　そりゃそうだ。枕カバーやヘアゴムはキムチと似ても似つかない。とても大事な本質がここにあると思った。</p>



<p>　インフルエンサーをただ使えばいいのではないということ。彼らも話していたけど、インフルエンサーは無数に存在して、自分たちと相性の合うインフルエンサーに巡り合うのは、「正直、運」とまで言い切った。</p>



<p>　でも、運任せにしていたかというとそうではない。</p>



<p>　そんな中にあって、変わらないことがある。それは、自分たちの商品である。いうまでもないが、ここまで商品開発に関して、どれだけの工数と想いをかけてきたかは計り知れない。上記に書いた通りだ。</p>



<p>　だからこそ、それを誰に対して、どういう風に売っていこうと改めて、定義し直していくことで、インフルエンサーにとって魅力を感じてもらうことができるのである。</p>



<p>　インフルエンサーもまた、自らの信用の上で活動しているから、その商品と自分との親和性が高ければ、熱量も高く、受け止める人たちの印象もよりインパクトが強くなる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-点と点が-線になった瞬間の話"><strong>「点と点が、線になった瞬間の話」</strong></h2>



<p>　つまり、インフルエンサー施策がうまくいった理由を聞いていくと、「誰に紹介してもらったか」よりも、「なぜ合ったのか」という話に辿り着く。</p>



<p>　紹介してくれたのは、自然派の商品を扱う人、丁寧な暮らしを発信している人たちだった。ファッション系の派手な発信者ではなく、商品コンセプトと近い世界観を持つ人たち。</p>



<p>　無添加であること。健康や発酵食に関心がある人に向けて作っていること。</p>



<p>　その前提を、商品ページできちんと伝えていたからこそ、響く人に届いた。</p>



<p>　さらに、この商品には特徴があったということになる。白菜だけでなく、ブロッコリーでも、アスパラガスでも使える。作る人それぞれの「マイキムチ」が生まれる。</p>



<p>　商品そのものを紹介するのではなく、「この商品で作った私のキムチ」を見せられる。それが、インフルエンサーにとっても扱いやすかった。</p>



<p>　自分たちがやってきた施策と、インフルエンサーの発信が、ある瞬間に一気に重なった。彼らはこう語るんだ。</p>



<p>「点と点が線になった」</p>



<p>　その表現が、いちばんしっくりくる場面だった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-四年越しに訪れた受賞と-その先に見ているもの"><strong>「四年越しに訪れた受賞と、その先に見ているもの」</strong></h2>



<p>　印象的だったのは、この流れが起きたのが、発売から四年以上経ってからだったという点だ。四年間、何もなかったわけではない。</p>



<p>　売れてはいた。それは商品への想いもあったし、だからありとあらゆる施策も行った。けれど、「これだ」という手応えが続いていたわけでもない。</p>



<p>　それが、インフルエンサーのそのひと声を境に、一気に動き出した。すると、不思議なことに、歯車が回り始めて、テレビで取り上げられたのも、インフルエンサーの発信がきっかけだった。</p>



<p>　誰かが紹介し、それを見て、また誰かが紹介する。連鎖のように広がっていった。そして、Rakuten SHOP OF THE YEAR 2025のカテゴリー賞。</p>



<p>　本当に嬉しかった、と語る姿からは、この時間の重みが伝わってきた。運なんかじゃない。商品への思い、こだわり、そして、それを活かすための熱意と現場の動き、どれが欠けてもなし得なかっただろう。</p>



<p>　キムチの話から始まったこの対話は、気づけば、商品をどう育て、どう信じ続けるか、という話になっていた。それが、このインタビューのいちばんの収穫だったように思う。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>



<p></p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2026/01/kimchi-moto-tarunoaji-rakuten-nations/">キムチではなく“素”だった｜樽の味がRakuten SHOP OF THE YEARを受賞するまで</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>心を動かす人。TOMORROWLAND仁藤はるかが示す「接客という創造」</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2025/12/tomorrowland-nito-creative-customer-service/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=tomorrowland-nito-creative-customer-service</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 02 Dec 2025 23:30:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[リアル店舗]]></category>
		<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　みなさんは、アパレルブランドの接客と聞いて、どんな光景を思い浮かべるだろう。多くの人にとって、それは「コーディネート」という言葉に集約される世界かも [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/12/tomorrowland-nito-creative-customer-service/">心を動かす人。TOMORROWLAND仁藤はるかが示す「接客という創造」</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#ddf0fb">　みなさんは、アパレルブランドの接客と聞いて、どんな光景を思い浮かべるだろう。多くの人にとって、それは「コーディネート」という言葉に集約される世界かもしれない。服の特徴を把握し、お客さまに似合うものを選び、提案する──いわば“技術”としての接客。僕自身もずっとそう捉えてきた。けれど、その理解は、この日まったく新しい角度から覆された。</p>



<p>　TOMORROWLAND の 仁藤はるかさんと話したとき、接客とは「服を人に合わせる」技の積み重ねではなく、もっと根源的な“創造”に近い営みなのだと気づかされた。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-接客-それは-本来とてもクリエイティブな世界線">接客。それは、本来とてもクリエイティブな世界線</h2>



<p>　何もないところから作品をつくり出すように、相手の心の動きを読み取りながら、その場にしか生まれない景色をともにつくり出していく行為。そんな接客の姿が、確かにそこにあった。</p>



<p>　仁藤はるかさんは、TOMORROWLAND 丸の内店で働く販売員だ。</p>



<p>　そして先日、約8万人が参加する「STAFF OF THE YEAR 2025」で頂点に立った人物でもある。</p>



<p>　アンミカさんら審査員によって選出されるこの賞は、ロールプレイング審査を含め、極めて高いレベルが求められる。そこで年間グランプリに選ばれたという事実が、彼女の接客に宿る本質を雄弁に物語っていた。</p>



<p>　では、その本質とは何なのか。何が、他の販売員と決定的に違うのだろう。</p>



<p>　そう考えたとき、僕はふと気づいた。彼女の接客には、独特の「待ち」がある、ということに。</p>



<p>　人と人との会話で生まれる“間”は、多くの場合、会話が途切れた、流れが止まった、とネガティブに捉えられがちだ。しかし仁藤さんは、その“間”そのものを味方につけている。</p>



<p>「急かさない」というより、「待つことによって相手の輪郭が浮かび上がる」ような接客。この瞬間にこそ、彼女の創造に近い営みの本質がある。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-接客は-技術-ではなく-創造-だった"><strong>接客は「技術」ではなく“創造”だった</strong></h2>



<p>　その瞬間に、彼女は何を考えているのだろう──。</p>



<p>　“間”を大切にするその接客の裏側には、どんな原点があるのか。それが気になって仕方がなかった。辿ってみれば、おそらくその答えは、この一言に集約されるのだと思う。</p>



<p><strong>「好きであることが大事なんです。」</strong></p>



<p>　仁藤さんは、ただファッションが“好き”だった。</p>



<p>　謙遜して「私は勉強が得意なタイプじゃなくて…」と笑うけれど、その分、机の上では身につかない“感性の蓄積”に向いていたのだと思う。理屈で理解するのではなく、自分の生活の中に取り込み、体験し、失敗し、噛み砕き、自分の血肉にすること。彼女はそれをずっと続けてきた。</p>



<p>　たとえば、背中がざっくり開いた、日常ではなかなか着ないような服も、まずは自分で買ってみるのだ。いざ買うと、デザインは素敵なのに着こなし方に苦戦して、自分のものになかなかしきれなかったりしたこともあったという。</p>



<p>　そんな失敗があっても、彼女は手を止めなかった。</p>



<p>　なぜそこまで続けられるのか──その理由は驚くほど単純で、そして強かった。「好きだから」である</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-好き-が積み重なって生まれる-彼女だけの創造"><strong>“好き”が積み重なって生まれる、彼女だけの創造</strong></h2>



<p>　商品という“個性”を、自分の肌で受け止め、生活の中でじっくり噛みしめることでしか、見えない何かがあると分かっていたからだ。</p>



<p>　つまり、仁藤さんの接客は、単にお客様のための「準備」ではない。商品を深く理解し、お客様に届けるためのレッスンでもない。</p>



<p><strong>　“好きだから、やらずにいられなかった”──ただその連続なのである。</strong></p>



<p>　だからこそ、彼女が提案するとき、それは単なる「似合うと思います」という提案では終わらない。自分が体験してきた世界を、お客様とともにもう一度歩き、別の景色を一緒に見にいくための“旅の誘い”になる。</p>



<p>　それはいうまでもなく、お客様を魅了する。</p>



<p>　提案は目的ではなく、「一緒に新しい世界へ行くための入口」。彼女が服と人をつなぐとき、そこにあるのは技術ではなく、好きであり続けることから生まれた“創造の営み”だ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-細部から人を描く-観察と想像-の接客"><strong>細部から人を描く、“観察と想像”の接客</strong></h2>



<p>　僕は仁藤さんに、こう伝えた</p>



<p>仁藤さんの接客は、まるで、ゼロからキャンバスに絵を描くようなものですね。　</p>



<p>　技術でもテクニックでもなく、“創造”に近い営みと書いた所以である。</p>



<p>　だとすれば、仁藤さんは、お客様とはどう向き合っているのだろう。聞いてみると、彼女は、お客様の隅々まで見るという。靴下の遊び心。ピアスの揺れ。色の選び方。シルエットへのこだわり。</p>



<p>　それらは、そのお客様がすでに持っている“色”だ。</p>



<p>　そして、そこに、接した時の様子を上書きする。控えめな性格なのだろうかとか、その人のおおよその人間像も自分の中で想像しながら、キャンバスの中の絵の素材を埋めていく。</p>



<p>　なるほど、これが彼女の“間”の理由であり、彼女の真骨頂だ。</p>



<p>　だから、彼女は“待つ”のである。その“待つ”の意味も深い。自分の中のひらめきが立ち上がる瞬間を待つのである。そして、当然ながら、コーディネイトは相手があってこそ完結するものだから、彼女は強調する。</p>



<p><strong>「お客様が動くまで待つんです」と</strong>。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-創造としての接客が立ち上がる-距離感-の美学"><strong>創造としての接客が立ち上がる“距離感”の美学</strong></h2>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" decoding="async" width="1024" height="576" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/12/notosan251202.jpg?resize=1024%2C576&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-58378" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/12/notosan251202.jpg?resize=1024%2C576&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/12/notosan251202.jpg?resize=300%2C169&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/12/notosan251202.jpg?resize=768%2C432&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/12/notosan251202.jpg?w=1200&amp;ssl=1 1200w" sizes="(max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　だから、彼女はコンテストでも臆することなく“待つ”という選択を貫いた。逆説的だが、待つことは勝負には不利に見える。テンポよく畳みかけたほうが「上手に接客している」と判断されがちな場であるにもかかわらず、彼女は急がなかった。</p>



<p>　しかし、その“待つ”という姿勢こそが、結果として大きなプラスに働いた。表面的なテクニックに頼らず、接客の本質──目の前の人の呼吸に寄り添うこと──を最後まで貫いたからだ。</p>



<p>　自分の中で育ててきた感性をそっと重ねると、まだ誰も見たことのないコーディネイト──一枚の絵が静かに立ち上がる。</p>



<p>　これは、理屈ではなく、感受性の問題であり、おそらく、先ほどのコンテストの受賞も、目には見えないそういう心の動きをもたらした結果なのだろう。彼女の話を聞いて、僕は独りごちた。</p>



<p>　だから、接客は安易なコミュニケーションでもない。面白いのは、たとえ2回目の来店でも、彼女は同じであることだ。</p>



<p>　「覚えてますよ！」と押しつけず、相手の反応を見て距離を測り、その人のペースで関係を育てていく。以前いらっしゃったなと思っても、それをすぐには出さず、その時その時のお客様の気持ちも含めて、提案に繋げていく。</p>



<p>　余計なノイズを消して、真摯に相手に向き合うためだ。そうすることで、その創造力は研ぎ澄まされる。自ずとその姿勢は、関係を構築せずとも、強い信頼で結ばれる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-好き-が仕事を創造に変える"><strong>“好き”が仕事を創造に変える</strong></h2>



<p>　では、原点に立ち返れば何か。それはやっぱり「好きであること」。</p>



<p>　実にシンプルな話であり、誰にとっても共感できるから、夢がある。「好き」を仕事にするということのヒントでもある。ただ、甘くはないのは、「どれだけ好きになれるか」ということだ。</p>



<p>　あえて彼女は、そこに至る道筋として、こんなことを話してくれた。</p>



<p>「1年目・2年目の若い子には、いいものを身につけてほしい」</p>



<p>　いいものを身につけ、本物の素材の変化を体で理解し、「服が持つ気配」を自分の感覚に取り込む。</p>



<p>　そうやって、自分はお客さまとの間でそのクリエイティブを切り開いてきた。だからこそ、そうした経験を若い販売員にも味わってほしいということなのだろう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-トレンドではなく-ひとりの美意識-を届ける"><strong>トレンドではなく、“ひとりの美意識”を届ける</strong></h2>



<p>　そして、オンラインではどうあるべきか。僕の関心は自ずとそこにも向いた。──その考え方も実に感受性に訴えるもので、トレンドには左右されない。</p>



<p>　彼女の口から出たのは、雑誌の偉大さ。</p>



<p>　かつて雑誌が隆盛を極めていた時代、メディアは人の顔色を伺いすぎなかった。確かに今のようにアルゴリズムで人を引き合わせるわけではない。人がメディアを参考にしながら、「自分はこうあるべきかもしれない」と想像した。</p>



<p>　だから仁藤さんは、トレンドだからでも、売れるからでもなく、自分のフィルターを通した「本当に美しい」と思うものを発信する。それゆえ、そこに彩られるのは、気に入られるためではなく、発見し、何かを踏み出すきっかけとなるような衣装となる。</p>



<p>　確かにそれは、実は雑誌との出会いに近い。そう考えると、彼女の接客は、その感性によってお客様を“編集”しているのである。</p>



<p>　やっぱり、クリエイティブであり、ファッションとは体験であると気づく。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-ブランドと-共鳴-するということ"><strong>ブランドと“共鳴”するということ</strong></h2>



<p>　そして、彼女にとって幸運だったのは、TOMORROWLANDと巡り会えたことだ。</p>



<p>　このブランドが掲げる“エレガンス”は、外見だけではなく“生き方”に宿っている。清潔感、丁寧な所作、心のあり方──その美意識が、彼女と自然に重なっていた。</p>



<p>「違和感がない。好きだから働けている」</p>



<p>　という彼女の言葉は象徴的だった。</p>



<p>　ブランドを“演じる”のではなく、ブランドと“共鳴する”。だから、服装の自由度が高くても迷わない。そういう環境だからこそ、自分という軸を確立できて、どんなスタイルであっても“仁藤はるかのエレガンス”になる。きっとそういうことなのだろう。</p>



<p>　<strong>このブランドとの出会いが、彼女を飛躍させた部分も大きいはずだ。</strong></p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-ファッションの本質と-接客が生む-創造"><strong>ファッションの本質と、接客が生む“創造”</strong></h2>



<p>　改めて聞きたい。</p>



<p>　みなさんは、アパレルブランドの接客と聞いて、どんな光景を思い浮かべるだろう。</p>



<p>僕は、少なくともこの日を境に、その光景がまるきり違うものに変わってしまった。</p>



<p>　ともすれば、服すらも消耗品のように扱われ、ただ着用するだけで終わりになってしまう。それが悪いとは言わない。でも、僕らは日々、いろいろな気持ちを抱えて生きている。その服を身につけるだけで、自分に自信が持てたり、前向きに踏み出せたり、颯爽と街を歩けたりする。</p>



<p>　洋服がそんな人々の“スイッチ”になるとしたら、そこにこそファッションの存在意義がある。だから、画一的ではなく、感受性に訴えかけるものでありたい。</p>



<p>　仁藤さんと話して感じたのは、接客とは“創造”に近い営みであり、作品づくりだということで、接客における大事な本質に触れた気がした。</p>



<p>　創造するから、未知なるその先にも、踏み出せる。</p>



<p>　人と人が向き合い、そこにある色を重ね、まだ誰も知らない美しさを描いていく仕事。その瞬間に立ち会えることこそ、販売員という職業の尊さなのだと。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
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		<title>当たり前を、当たり前に──exicoast Internet store 2号店が描く“王道を全うする”EC戦略</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2025/08/exicoast-soytrip-ec-strategy/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=exicoast-soytrip-ec-strategy</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 27 Aug 2025 22:51:03 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　改めて、逆転の発想。徹底したメカニズムによって着実に売上を積み上げる仕組みだと感じた。昨今はネットの表現力が高まり、「いかに店をブランディングするか [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/08/exicoast-soytrip-ec-strategy/">当たり前を、当たり前に──exicoast Internet store 2号店が描く“王道を全うする”EC戦略</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#cfeafa">　改めて、逆転の発想。徹底したメカニズムによって着実に売上を積み上げる仕組みだと感じた。昨今はネットの表現力が高まり、「いかに店をブランディングするか」という視点で語られることが多い。けれど、この店は徹底して逆を行く──ブランディングをしない。その常識を覆し、成果を出したのが <strong>exicoast Internet store 2号店</strong> だ。扱うのは誰もが知る“型番のお菓子”。一見すると差別化が難しく、大手が有利に見える領域で、一から挑み、成功へ導いたのが店長の石崎弘晃さんである。</p>



<p>　やがて楽天市場で高く評価され、SOYTRIPに招かれるまでに成長したのだから拍手を送りたい。彼らは「王道を全うする」という理念を掲げ、奇をてらわず、当たり前を当たり前に積み上げる。</p>



<p>それがなぜ最強の戦略になり得るのか。本稿では、取材で語られた言葉を手がかりに、その本質に迫る。</p>



<p>　そもそも歴史をひもとけば、彼は世界的な外資系ファストフードチェーン出身だ。細部は割愛するが、<strong>均質なサービス</strong>を迅速に提供し、<strong>絶え間なく顧客を迎え入れ、送り出す</strong>──その仕組みのノウハウは、この店の礎となっている。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-①-王道を全うする-外資系チェーンで培った理念"><strong>① <strong>「王道を全うする」──外資系チェーンで培った理念</strong></strong></h2>



<p>　そんな経歴がありながら、扱っているのは「お菓子」。だからこそ、面白い。</p>



<p>　もし過去のファーストフードチェーンのやり方を表層でなぞるだけなら、<strong>流れ作業の一部</strong>で終わっていただろう。だが彼は仕組みの本質を見抜き、自ら立ち上げた企業とお店で、それを<strong>実践へと昇華</strong>させていった。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="691" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250202.jpg?resize=1024%2C691&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57794" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250202.jpg?resize=1024%2C691&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250202.jpg?resize=300%2C203&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250202.jpg?resize=768%2C518&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250202.jpg?resize=740%2C500&amp;ssl=1 740w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250202.jpg?w=1400&amp;ssl=1 1400w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　こうして立ち上げた「exicoast Internet store 2号店」の経営理念は、<strong>「当たり前を当たり前にする」</strong>。</p>



<p>　その表現として掲げた言葉が、「王道を全うする」である。一見シンプルだが、その背後には彼が長年身を置いた現場での学びが深く刻まれている。直営店舗の現場、本社勤務、そしてフランチャイズの現場まで、計12年。</p>



<p>　そのなかで彼が痛感したのは、「数字だけを追う合理主義の限界」だった。目の前のお客様や現場スタッフを何より大切にするべきだと考えたとき、組織の論理と自らの信念が衝突し、離れる決断に至った。</p>



<p>　そこで掴んだのは、「売上や肩書きよりも、目の前のお客様の満足を最優先する」という信念。目的から徹底して逆算し、余計を削いだシンプルな仕組みを設計し、それを<strong>再現しながら広げていく</strong>。話を聞けば聞くほど、あの巨大マーケットプレイスの運用思想に近いものを感じた。</p>



<p>　本人もまた、その思想に学び、それを自分たちの仕組みに<strong>自社流で翻訳</strong>してきたと明言する。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-②-ブランディングをしない-誰もやらない場所で勝つ"><strong>② <strong>「ブランディングをしない」──誰もやらない場所で勝つ</strong></strong></h2>



<p>　では、それをどうやって実現したのか。取材を進めれば進めるほど、その思想と実践の結びつきが鮮やかに浮かび上がってきた。</p>



<p>　まず話を戻せば、一見すると“不利”に思えるお菓子をチョイスしたところに、すでに彼らしい戦略がある。世の中の常識は往々にして「なんとなくのイメージ」で形づくられ、それが答えのように思われがちだ。だが実際には違う。</p>



<p>　たとえば、ECでお菓子を扱うことを敬遠する理由は想像に難くない。単価が低く、近所のスーパーでも売っている型番商品だから差別化しにくい。さらに競合がひしめき合い、価格競争のなかで大量の在庫を売り切るのは至難の業──これが一般的な“常識”だ。だから、僕自身、まずはその疑問を石崎さんにぶつけた。</p>



<p>「全然、そんなことはないんですよ」</p>



<p>そう涼しい顔で答えたのが、石崎さんだった。</p>



<p>「データがあれば、それを可能にできるんです」</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-③-nbsp-在庫は武器-データで恐怖を優位に変える"><strong>③ &nbsp;<strong>「在庫は武器」──データで恐怖を優位に変える</strong></strong></h2>



<p>　　ここが、先ほど触れた「もとは本屋から始まった巨大マーケットプレイス」の思想と直結する。</p>



<p>　<strong>「品揃え」を広げれば顧客体験が高まり、満足度が上がる。満足は訪問客を呼び込み、アクセス増は販売者を惹きつけ、再び品揃えを厚くする──この好循環こそが成長を加速させるメカニズムだ。</strong>その循環を支えるために、早くから物流や在庫運用を高度化し、効率よく届けるインフラ自体を磨き続けていく。</p>



<p>　膨大な在庫が並ぶ環境でも、満足度を落とさずに売れるのは、仕組みが確立されているからに他ならない。</p>



<p>　突き詰めれば、それは「目の前のお客様の満足を最優先する」という思想でしかない。</p>



<p>　そこから逆算し、必要なデータとリソースを整え、属人化させずにシステマチックに運用する──そのメカニズムを回し続けたからこそ、今や膨大な商品を扱えるまでに拡張できた。</p>



<p>　石崎さんは、外資系チェーン時代に培ったオペレーション力と人材育成力、そして１秒を争う現場で鍛えられたスピード感を武器にした。<strong>大量に、正確に、効率よく捌く</strong>ことが得意領域である。</p>



<p>　戦略はシンプルだ。参入が少ない「お菓子」というジャンルを選び、<strong>必要な数量を必要なタイミングで</strong>提供する。誰がやっても同じ品質で回せるオペレーションと育成の設計（チェーンで学んだ回転率の思想）を現場に落とし込み、データで検証し続けることで、<strong>無駄のない在庫管理と高い顧客満足</strong>を同時に実現してきたのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-④-在庫の常識を覆す-恐怖を逆手に取る"><strong>④ 「在庫の常識を覆す」──恐怖を逆手に取る</strong></h2>



<p>　そうすると、華やかなブランディングは必ずしも必要ではなくなる。</p>



<p>　なぜなら、顧客がその店で商品を購入するきっかけは、店名ではなく<strong>商品名やメーカー名</strong>だからだ。だからこそ、仕入れる商品の選定が重要になる。要は「いま売れている商品」をあらゆる情報から吸収し、それを的確に揃えていくことに尽きる。</p>



<p>　先ほどから触れているように、データに基づいて実績を分析すれば、そのマーケットで求められる商品は自ずと見えてくる。そうすれば、着実に売上を積み上げていくことができるのだ。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="691" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250201.jpg?resize=1024%2C691&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57793" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250201.jpg?resize=1024%2C691&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250201.jpg?resize=300%2C203&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250201.jpg?resize=768%2C518&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250201.jpg?resize=740%2C500&amp;ssl=1 740w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250201.jpg?w=1400&amp;ssl=1 1400w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　では、そこに“ハズレ”はないのか。現状、その兆しは見られない。</p>



<p>　なぜ、僕はこの問いを投げかけたのか。それはいうまでもなく、多くの経営者にとって在庫は恐怖だからだ。売れ残れば資金を圧迫し、経営を揺るがすリスクになる。</p>



<p>　しかし、同店では真逆の答えが返ってきた。</p>



<p><strong>「在庫は武器」</strong>。</p>



<p>　そう言い切れるのは、徹底したデータ分析に裏打ちされているからだ。販売実績をもとに月ごとの需要を予測し、ときに10トン単位で仕入れる。単価を極限まで下げ、安定供給を実現する。銀行が「リスク」と見なす在庫を、彼は「供給力の担保」と定義し直す。リードタイムを縮めるための備えであり、むしろ競争優位の源泉なのだ。</p>



<p>　「普通の人が怖がるものも、ロジックで制御すれば怖くない」</p>



<p>　その思考の転換こそが、この店の成長を加速させている。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-⑤-nbsp-箱売りの合理性-欲しい人に欲しいだけ"><strong><strong>⑤ </strong>&nbsp;<strong>「箱売りの合理性」──欲しい人に欲しいだけ</strong></strong></h2>



<p>　販売単位は常に「箱」。ハイチュウなら12個入り、ミンティアなら複数個入りだ。</p>



<p>　果たして、そんなに買う人がいるのだろうか──そう思うかもしれない。だが、ここにもネットならではの強みが生きている。想像してほしい。リアルの店舗には棚のスペースという限界があり、置ける商品数には制約がある。だから有名な銘柄であっても、実は店頭には並ばない“レアな味”や“地域限定品”が存在する。</p>



<p>　同店では、そうした商品を取り揃えることで購買意欲を掻き立てている。たとえばミンティアのように継続的に購入される商材では、「手に入らないからこそまとめ買いをする」「箱で購入する」という行動が自然に生まれるのだ。</p>



<p>　ここには、消費者目線での利便性と、事業者側の効率性が両立している点が素晴らしい。単なる大量仕入れではなく、需要を読み取ったうえでの“最適な品揃え”が功を奏している。もちろん、単品やアソート販売をすれば売上は一時的に伸びるかもしれない。しかし生産性が落ちる。だからこそ徹底して「箱売り」にこだわるのだ。</p>



<p>　しかも、顧客には「この味でなければダメ」という熱烈なファンがいる。コンビニで探し回るより、ECで箱買いするほうが便利で確実。その合理性がリピートを生み、安定的な売上へとつながっていく。</p>



<p>　この戦略は、大手外資系チェーンで学んだ「効率を極限まで高めるオペレーション思考」とも重なる。派手なマーケティングではなく、顧客の欲望を淡々と満たす。だからこそ単価は小さくても、積み上がれば大きなビジネスになるのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-⑥-nbsp-送料無料の全体最適-部分ではなく全体で黒字を作る"><strong>⑥&nbsp;<strong>「送料無料の全体最適」──部分ではなく全体で黒字を作る</strong></strong></h2>



<p>　顧客の望むシーンから逆算する──その目的にストイックだからこそ、彼は最初から<strong>送料無料</strong>を実践してきた。ここにも、この店ならではの視点が際立っている。</p>



<p>　どういうことか。本来、送料無料は店舗にとって負担である。しかし彼らは「東名阪の7割で利益が出れば、他地域はゼロやマイナスでも構わない」と考える。</p>



<p>　つまり、部分最適に囚われず、<strong>全体最適で見る</strong>のである。</p>



<p>　北海道や沖縄で赤字配送が出ても、全体として黒字なら問題はない。むしろ送料無料の分かりやすさが購買を促し、結果的に売上全体を底上げする。ここにも、外資系チェーンで培った「全体で成立させるオペレーション思考」が活きている。</p>



<p>　そして、この強さは何より<strong>仕組み化</strong>されている点にある。だから対応が属人化することなく、安定的に運用できる。さらにこの発想は、人材育成にも通じている。部分で見れば未熟に映る人でも、全体で補い合えば大きな成果を生み出せる。</p>



<p>　物流と人材、異なる領域を同じ論理で貫く姿に、<strong>一貫した哲学</strong>が感じられる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-⑦-自前主義の物流-顧客満足を支える投資哲学"><strong> <strong>⑦「自前主義の物流」──顧客満足を支える投資哲学</strong></strong></h2>



<p>　そして僕は物流の話に絡めて、こう尋ねた。「自前主義であることも大きいですよね」と。</p>



<p>　思うに、複数の事業者と連携すればするほど、どうしても縦割りが生まれ、結果として顧客サービスの低下を招きやすい。ならば、すべてのリソースを自前で用意し、一体で管理すれば、その問題は起きない。倉庫も自前なのかと聞くと、彼は「そうだ」と答えた。</p>



<p>　もう想像がつくだろう。<strong>スケールする土壌ができているからこそ、あとはそれに合わせてインフラを拡張していけばいい。</strong></p>



<p>　倉庫はこれまでに5度移転し、そのたびに規模を拡大してきた。トラックやフォークリフトも、月商1000万円の段階で導入している。投資の判断基準は一貫して「回収できるロジックがあるか」だった。</p>



<p>　楽天倉庫を使わず、自前でほぼ365日の出荷体制を続ける。その背景には、彼の揺るぎない思想がある。</p>



<p>　「実店舗ならその場ですぐ買える。それが当たり前」──ネットだから遅くていい理由はない。顧客にとって自然なスピードを、自前で実現するのだ。その姿勢は平均レビュー4.8という数字に表れている。顧客満足を起点に逆算し、必要な投資を惜しまない。合理性とスピードへの執念が、唯一無二の顧客体験を生み出している。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-⑧-理と情の両立-人との縁が拓く未来"><strong> <strong>⑧「理と情の両立」──人との縁が拓く未来</strong></strong></h2>



<p>　それでいて面白いのが、案外、「自分は情に熱い」と語る点だ。そこで、楽天市場との出会いの意味を語る。語弊を恐れず言えば、かつて楽天を「広告を売る会社」としか見ていなかった。そんな彼にとって、SOYTRIPは大きな転機だった。</p>



<p>　ここまでの文章で分かる通り、それまで彼が重視してきたのは「理詰めのロジック」だった。</p>



<p>　仕入れも在庫も物流も、徹底的にデータと効率で制御する。だがSOYTRIPを通して出会った店舗仲間や社員との交流は、そこに「情の力」を加えてくれた。人と人が想いを分かち合うことで広がる可能性、文化や価値を守りながら共に歩むことの意味──その学びが、彼自身の懐を広げたのである。</p>



<p>　「SOYTRIPを経て、“人を信じる”“文化を受け継ぐ”という新しい視点が加わった」。</p>



<p>　彼はそう振り返る。ある種、ここでバランスを身につけたと言って良いかもしれない。</p>



<p>　結局のところ、“王道を全うする”とは、奇をてらわず当たり前を積み重ねること。そこに理と情を重ね合わせること。<strong>その普遍の戦略こそが、exicoast Internet store 2号店を唯一無二にしている。</strong></p>



<p>今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/08/exicoast-soytrip-ec-strategy/">当たり前を、当たり前に──exicoast Internet store 2号店が描く“王道を全うする”EC戦略</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>「小さな改良を重ねることで信頼を積み重ねる──LASIEMが地方から挑む、ブランドづくりの物語」</title>
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		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 27 Aug 2025 22:50:04 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　学習塾を立ち上げた青年が、楽天市場に挑み、失敗を経てもう一度挑戦する。その歩みの果てに生まれたのが、財布やバッグのブランド「LASIEM（ラシエム） [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/08/lasiem-soytrip-trust-brand/">「小さな改良を重ねることで信頼を積み重ねる──LASIEMが地方から挑む、ブランドづくりの物語」</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#def0fb">　学習塾を立ち上げた青年が、楽天市場に挑み、失敗を経てもう一度挑戦する。その歩みの果てに生まれたのが、財布やバッグのブランド「LASIEM（ラシエム）」だった。「信頼」という言葉を何度も口にする代表・齊藤真紀さんの姿勢は、単なるEC運営のテクニックにとどまらない。レビューひとつ、改善ひとつの積み重ねが、顧客との絆をつくり、ブランドを形にしていったのだ。</p>



<p>　地方・山口から世界へ──。その軌跡はやがて楽天市場で高く評価され、SOYTRIPに招かれるまでに至った。LASIEMの物語は、これからの小さな事業者にとって、大きな示唆を与えてくれる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-①-22歳で起業-学習塾から始まった道のり"><strong>①：22歳で起業──学習塾から始まった道のり</strong></h2>



<p>　大学を卒業したばかりの22歳という若さで、彼は起業を決意した。選んだのは「学習塾」という教育のフィールドだった。実家が自営業という環境で育った彼にとって、商売はごく自然な選択肢だったのかもしれない。しかし、何をどう始めるのか分からないまま、それでも「自分らしく生きたい」という衝動に背中を押されるようにスタートを切った。</p>



<p>　10年間にわたる塾経営は決して順風満帆ではなかった。生徒の学力向上に全力を注ぎ、保護者との信頼関係を築く日々はやりがいに満ちていた一方で、経営的な厳しさも常に隣り合わせだった。「教育は尊いが、事業として持続させるのは難しい」──現実が突きつける壁を前に、彼は模索を続けた。</p>



<p>　そんなとき頭をよぎったのは、高校時代に味わった小さな成功体験だ。</p>



<p>　地方に住み、ファッションに触れる機会の少なかった少年時代。ネットはそこへの接点となった。ヤフオクで古着を売り買いし、思わぬ利益を得たことがあった。</p>



<p>　その原体験は、ただのお小遣い稼ぎではなく、「ECで商売する」という可能性を心に残していた。教育という道に情熱を注ぎながらも、心の奥底には「もう一度ECに挑戦してみたい」という芽がずっと残っていたのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-②-初めての楽天出店-失敗から学んだこと"><strong>②：初めての楽天出店──失敗から学んだこと</strong></h2>



<p>　とはいえ、華麗なる転身とはいかなかった。</p>



<p>　塾を経営して5年目、26歳の頃に楽天市場へ初出店。取り扱ったのは仕入れ雑貨だった。しかし結果は散々で、シャンプーや日用品を並べても利益は1円、50円といったレベル。売れても手応えはなく、わずか2年で退店を余儀なくされた。</p>



<p>「とりあえずやってみよう」という軽い気持ちで始めたECは、決して甘くはなかった。</p>



<p>　仕入れの難しさ、利益率の低さ、在庫リスク──すべてが未経験者には高すぎる壁だったのだ。結局、経営の軸を一旦は塾に戻さざるを得なかった。だからこそ、10年続けた塾経営のうち最初の楽天出店は5年目の出来事になる。</p>



<p>　それでも、不思議と心の奥には「またやりたい」という思いが芽生えていた。ネットで自分が扱った商品が売れる、その瞬間の高揚感は、失敗の苦さを上回る魅力を放っていたからだ。失敗の経験が、むしろ燃料になっていたのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-③-再挑戦-生活雑貨から財布へ"><strong>③：再挑戦──生活雑貨から財布へ</strong></h2>



<p>　2019年、ついに再出店を果たした。だが、そのときからすぐに財布や小物へ特化したわけではない。</p>



<p>　まずは雑貨全般を仕入れて販売し、顧客の反応を見ながら学び直す日々が続いた。そのなかで大きな気づきが訪れる。面白いのは、楽天市場を「単なる販売の場」ではなく、<strong>マーケティングの舞台</strong>として捉えていた点である。すでに多くの顧客が集まる楽天市場で注目を集めることができれば、そのまま商売につながる──そう考えたのだ。</p>



<p>　これは他の成功店舗にも共通して見られる“楽天流の方程式”だった。</p>



<p>　さらに齊藤さんは、楽天市場に精通する知人からノウハウを学びつつ、まずは仕入れ商材の販売からスタート。ここで「仕入れ商材から始める」というアプローチが肝心だった。いきなり商品を作り込むのではなく、どの立ち位置が自分にふさわしいかを、市場を通して効果測定できたからである。</p>



<p>　そうして経験を重ねるうちに、自分の進むべき道が徐々に明確になっていった。</p>



<p>「財布や小物には、潜在的なニーズがある」</p>



<p>　ブランド物は高価すぎる。一方で、安物では満足できない。結婚や家庭を持てば、ファッションに使えるお金は限られてくる。それでも、デザイン性や機能性にはこだわりたい──そんな“ちょうどいい”商品を探す人が多いのではないか。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-④-オリジナル商品への道-中国工場との出会い"><strong>④：オリジナル商品への道──中国工場との出会い</strong></h2>



<p>　実際、消費者からは『ブランド物は高すぎるけれど、安っぽいものでは気分が上がらない』という声が寄せられていた。そうした声を糸口に、LASIEMの方向性が少しずつ形を帯びていく。</p>



<p>　生活雑貨から財布へ──ジャンルを絞り込んだのは偶然ではなく、顧客の声に導かれた必然だった。</p>



<p>　とはいえ、財布や小物といっても世の中には数え切れないほど存在する。ではLASIEMはどう差別化したのか──。</p>



<p>　商品を仕入れて販売するうちに方向性をつかんだ彼は、やがて“仕入れ商人”から“メーカー”の立場へと踏み出した。そこで一貫して大切にしたのが、顧客の声である。レビューを読み込み、小さな改善を重ねながら商品を磨いていった。</p>



<p>　転機となったのは、中国の工場との出会いだった。若い社長が率いるその工場はLASIEMのアイデアに「面白い」と共感し、協力を惜しまなかった。単なる下請けではなく、共にブランドを育てるパートナーだったのである。</p>



<p>　僕は率直に齊藤さんに伝えた。オリジナル商品を作るとなれば原価は高くなる。いくら顧客が望んでいても、必ずしも理想的な価格で販売できるとは限らないのではないか──と。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="691" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250102.jpg?resize=1024%2C691&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57790" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250102.jpg?resize=1024%2C691&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250102.jpg?resize=300%2C203&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250102.jpg?resize=768%2C518&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250102.jpg?resize=740%2C500&amp;ssl=1 740w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250102.jpg?w=1400&amp;ssl=1 1400w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　しかしLASIEMの強みはそこにあった。</p>



<p>　たとえば札入れを2ミリ広げる、小銭入れの仕切りを工夫するといった“細やかな改良”であれば、原価にほとんど影響はない。それでいて顧客が本当に望む商品に近づけることができる。楽天市場に集まる多くの顧客の声をフックに、商品は確実に進化していったのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-⑤-信頼を積み重ねるということ"><strong>⑤：信頼を積み重ねるということ</strong></h2>



<p>　だから、「このお店はお客様の声を聞いている」──レビューにはそうした声が増え、自然と信頼が積み重なっていった。</p>



<p>　そして、商品企画から顧客との関係づくりに繋がっていくのは自然な流れであったのだ。</p>



<p>　その姿勢はSNSの発信にも表れている。実際、Xを拝見すると“店”という無機質な存在ではなく、スタッフの顔が見える設計が意識されている。そこには常に“対人”を意識した運営の姿勢がにじみ出ているのだ。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="691" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250103.jpg?resize=1024%2C691&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57791" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250103.jpg?resize=1024%2C691&amp;ssl=1 1024w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250103.jpg?resize=300%2C203&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250103.jpg?resize=768%2C518&amp;ssl=1 768w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250103.jpg?resize=740%2C500&amp;ssl=1 740w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/soy250103.jpg?w=1400&amp;ssl=1 1400w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /></figure>



<p>　齊藤さんは改めて「最初から顧客ケアを大事にしてきたことが伸びにつながった」と語る。それは単なる商品改良の話ではなく、購入後にどう寄り添うかという姿勢そのものだった。つまり、<strong>商品開発の姿勢と顧客対応のケアが同じ根っこで結びついている</strong>のだ。</p>



<p>　だから、施策も、メールや楽天専用LINEを通じて商品が届いた後も顧客とつながり続けることを重視する。おのずと、必要以上の安売りではなく、新商品の認知を広げるためのクーポン活用など、あくまで“顧客との関係づくり”を意識していく内容となる。</p>



<p>　信頼は一朝一夕では築けない。小さな接点を積み重ねていくことが、やがて「このお店は大丈夫」という安心感へと変わっていく。無機質に見えるECの世界だからこそ、LASIEMのECは“人の温度”で輝いている。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-⑥-在庫と配送-数字の裏にある哲学"><strong>⑥：在庫と配送──数字の裏にある哲学</strong></h2>



<p>　そして忘れてはならないのが、<strong>顧客体験と“届く速度”の関係性</strong>である。</p>



<p>　とはいえ、それは綿密に考え抜かれた在庫管理があってこそ成り立つものだ。必要な数量が、必要なタイミングで倉庫に入っていなければ、顧客が「欲しい」と思ったときに購入することはできない。だからこそ、新規顧客の獲得と同時に「配送スピード」や「在庫管理」の姿勢が、そのまま信頼に直結する。LASIEMは楽天倉庫に99％の商品を預け、「最強配送」に対応した。</p>



<p>　「いつ届くか分からない」──それでは顧客は不安になる。</p>



<p>　以前は「◯日頃お届け」と曖昧に記していたが、問い合わせが増え、改善を余儀なくされた。今はできる限り正確な納期を提示する。小さな誠実さが、確かな信頼を支えている。</p>



<p>　この視点にも、顧客との関係性を大切にする姿勢が現れている。とはいえ、彼らはすでに“メーカー”の立場。過剰に在庫を抱えれば、経営の足を引っ張りかねない。</p>



<p>　だからこそ、毎週データを分析し、回転率や長期在庫を可視化。単純な値下げで処分せず、早めに調整することで顧客の信頼を損なわないようにしている。在庫の裏にあるのは、「お客様を裏切らない」という哲学だった。</p>



<p>　メーカーである以上、需要と供給のバランスを取る仕組みを、自分たちなりに確立することが欠かせない。それこそが、この会社にとっての肝なのだろう。数字と仕組みを管理する一方で、そこには人間的な温かさが込められている。ECという合理的な世界にあって、LASIEMの運営には確かに“心の体温”が宿っているのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-⑦-地方から挑む意味-山口で会社を立ち上げた理由"><strong>⑦：地方から挑む意味──山口で会社を立ち上げた理由</strong></h2>



<p>　商品の一つひとつに心を込める姿勢は、そのまま事業の拠点選びにもつながっていた。「自分が本当に生きたい場所で、仲間と共に挑戦したい」──そう考えた齊藤さんが選んだのは、地元・山口で会社を立ち上げることだった。</p>



<p>　そして、ここに込めた想いは「地方経済のエンパワーメント」そのものである。</p>



<p>　「地方からでも面白い仕事は生み出せる」──それを証明したかったのだ。自然豊かな環境を愛しながらも、地方に仕事の選択肢が少ないことに違和感を覚えていた。</p>



<p>　「地方に生まれたから諦める」のではなく、「地方にいるからこそできる」ことを示す。LASIEMの挑戦は、その意思表示でもある。地方に根差しながら全国に商品を届ける。その姿は、同じように地方で挑戦を夢見る人々に勇気を与えている。</p>



<p>　地元に仕事をつくることは、経済的な意味だけではない。若者に「ここで生きていける」という未来を見せることだ。そして、その挑戦を未来にどうつなげていくのか。地方に根ざしながらも、時代の大きな変化を見据える視点が欠かせない。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-⑧-未来への展望-ai時代に残るもの-そしてsoytripが教えてくれたこと"><strong>⑧：未来への展望──AI時代に残るもの、そしてSOYTRIPが教えてくれたこと</strong></h2>



<p>　地方に根ざすLASIEMが、次に直面するのはテクノロジーの急速な進化だ。 AIが進化すれば、商品はますますコモディティ化する──。似たような商品が溢れ、価格やスピードで競争する時代が来るだろう。それでもLASIEMが信じるのは繰り返しになるが「信頼関係」だろう。</p>



<p>　その確信をさらに深めてくれたのが、今年初めて参加した SOYTRIP だった。</p>



<p>　シアトルでの研修やロサンゼルスでの交流を通じて、楽天のスタッフと直接言葉を交わし、改めて気づいたのは「“店と顧客”との関係づくりを最優先にしている」という姿勢。LASIEM自体、クーポンや広告などの施策も単なる値引きではなく、信頼をベースにお客様体験を豊かにするために存在している。</p>



<p>　その姿勢は、自分たちがずっと大切にしてきた価値観と重なるものだった。</p>



<p>　それを踏まえて、訪問先のMicrosoftの話は、印象的だった。AIに関する最新テクノロジーの話は、何もデジタルに完結するわけではない。彼らが築いてきた人との信頼関係というアナログでこそ発揮する。つまり、楽天のそれらの姿勢とデジタルが調和して、もっと、自分たちの個性は発揮できるという確信を得たのだ。</p>



<p>　「やっぱり僕たちは間違っていなかった」。</p>



<p>　小さな改良を続けること。誠実な対応を積み重ねること。その地道な努力こそが、AI時代にも揺るがない価値になる。地方から世界へ──LASIEMの挑戦は、信頼という人間的な力が未来を切り拓くことを証明しようとしている。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/08/lasiem-soytrip-trust-brand/">「小さな改良を重ねることで信頼を積み重ねる──LASIEMが地方から挑む、ブランドづくりの物語」</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>石垣島プリン本舗に宿る、“リンドバーグの記憶”──火中の栗を拾った男の物語</title>
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		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 07 Aug 2025 05:39:46 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[モノ談]]></category>
		<category><![CDATA[ローカルイン]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　火中の栗を拾う──そんな無謀とも思える行動を、人はなぜ選ぶのだろうか。けれど、もしもそれが「自分にしかできないことだ」と魂が叫ぶのだとしたら──それ [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/goodsnews/2025/08/ishigakijima-purin-lindberg/">石垣島プリン本舗に宿る、“リンドバーグの記憶”──火中の栗を拾った男の物語</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#f9f0d8">　火中の栗を拾う──そんな無謀とも思える行動を、人はなぜ選ぶのだろうか。けれど、もしもそれが「自分にしかできないことだ」と魂が叫ぶのだとしたら──それはもう、“運命”としか言いようがないのかもしれない。僕が出会ったのは、沖縄・石垣島の地にある一軒のプリン屋。その名は「石垣島プリン本舗」。地元の人々に愛され、観光客の人気も集めていたその店は、ある日、静かに崖っぷちに立たされていた。</p>



<p>　　経営危機。閉店の瀬戸際。誰もが「ああ、あの店も終わってしまうのか」と思ったその瞬間──手を差し伸べた一人の男がいた。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-名もなき-救いの手-それは-飲食業界とは無縁の男だった"><strong>名もなき“救いの手”──それは、飲食業界とは無縁の男だった</strong></h2>



<p>　その男の名は、松田智博さん。率いるのは「ちばりよー株式会社」という、全く飲食とは関係のない会社。普通に考えれば、まったく接点のない世界。プリンの製造にも販売にも携わった経験はなかった。</p>



<p>　だからこそ、人はこう思うだろう──</p>



<p>　「なぜ彼が、そこまでする必要があったのか？」と。</p>



<p>　だが、彼にとっては「必要かどうか」ではなかった。「やるべきことなのかどうか」。それだけを、心の奥で問い続けていたのかもしれない。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-すべての始まりは-不誠実な経営者-との決別から"><strong>すべての始まりは“不誠実な経営者”との決別から</strong></h2>



<p>　真相をたどると、店の危機はある人物によって引き起こされた。それは、もともと店を所有していたオーナーが見込んで任せた経営者──</p>



<p>　しかし彼は、平気で約束を破り、誠実さとは真逆の人だった。コロナ禍で観光業が打撃を受け、店の売上が落ち込む中、なんとその経営者は、大切な資金を「使い込んで」しまったのだ。</p>



<p>　その結果、「石垣島プリン本舗」は、静かに、しかし確実に崩れていった。支払いは滞り、取引先からの催促が相次ぐ日々。誰もが見て見ぬふりをする中で、店は、崖っぷちに立たされていた。</p>



<p>　常識的に考えれば、誰も近づこうとはしない。</p>



<p>　ましてやその店に何の縁もゆかりもない者が、救いの手を差し伸べるなど、まずありえないことだった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-異業種からの参入-その理由とは"><strong>異業種からの参入、その理由とは？</strong></h2>



<p>　ところが、その「ありえないこと」を実行に移した男がいた。それが、松田さんだったのである。食品の知識も、経営再建の実績もない。そんな彼に、「やるべき理由」は何ひとつなかった。</p>



<p>　──それでも、彼は思った。「これは、自分がやるべきものだ」と。</p>



<p>　誰も手を挙げなかったその店に、松田さんは静かに目を向け、そして、手を差し出した。そこには、理屈では語れない確かな“衝動”があった。</p>



<p>　なぜ、そこまでして？その答えは、意外にも「プリンの味そのもの」にあった。石垣島の豊かな自然が育んだ素材を生かし、丁寧に作られたそのプリン。濃厚で、やさしくて、あとを引く味わい。</p>



<p>　観光客を虜にし、地元の人々に愛された、あの味が──</p>



<p>　彼の心を、動かしたのだ。色々な人の繋がりの中で、彼はこのオーナーに出会い、この店の運営を自分の会社で行う決断をしたのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-負債の切り離しと-誠実な信頼回復"><strong>負債の切り離しと、誠実な信頼回復</strong></h2>



<p>　そして、それをやるにあたって、松田さんが最初に取りかかったのは、“希望”と“負債”の切り分けだった。</p>



<p>　「石垣島プリン本舗」という名の看板は救いたい。けれど、その背後には、前経営者が残した重くのしかかる債務があった。</p>



<p>　彼はそれを、前社長が経営する法人に留める形とし、自身は「石垣島プリン本舗」という“魂の宿る名前”と、現場のスタッフ、そしてレシピや運営のすべてを、自分の会社で引き継ぐ道を探った。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima2508022.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57710" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima2508022.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima2508022.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima2508022.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　だが、現実は甘くない。立て直しに着手した直後から、松田さんの会社に対して、取引先からの“催促”の連絡が相次いだ。当然だ。表向きには同じ店舗であり、同じ看板が掲げられている。過去の支払いが、彼の責任と見られても仕方がない。</p>



<p>　しかし、松田さんは逃げなかった。ひとつひとつ、電話を取り、頭を下げ、説明を尽くした。</p>



<p>　「その負債は、前経営のものであること」</p>



<p>　「今後の取引はすべて、私たちの責任で誠実に対応すること」</p>



<p>　そして──「どうか、この店を、未来へつなぐ手助けをしてほしい」と。誠意は、言葉を超える。その想いは、少しずつ取引先にも伝わっていった。そして、ここで店が潰れてしまうよりも、この男に託して、少しずつでも回収の道を模索したほうがいいかもしれない。</p>



<p>　それは、苦渋の中に見出された、現実的な“希望”。小さな信頼の火種が、少しずつ、この店の未来を照らし始めていた。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-音楽を志した青年と-菓子職人の父"><strong>音楽を志した青年と、菓子職人の父──</strong></h2>



<p>　そして、それらの決断は、実は、運命の延長線上にあった。なぜ松田さんは、あれほどまでに強い覚悟で店を引き継ごうとしたのか。</p>



<p>　なぜ、無縁に思える“プリン”という存在に、あれほどの執着を見せたのか。</p>



<p>　──その答えは、彼自身の“ルーツ”にあった。</p>



<p>　松田さんの父は、長崎の地でカステラ一筋に生きた、頑固な菓子職人だった。飾らず、誇らず、ただ菓子と向き合い続ける父の背中を、松田さんは少年時代、黙って見ていた。</p>



<p>　しかし、彼が選んだのは別の道だった。若き日の情熱は音楽に向かい、東京へ。その夢の先にあったのが──歌手「リンドバーグ」の見習いとしての日々。光を夢見て走った時間は、眩しくもあり、厳しくもあった。やがて夢は途切れ、現実の中で新たな道を選ぶことになる。</p>



<p>　訪問販売で誰にも負けない成績を叩き出し、通信事業者の営業代行を担う会社を興すまでに成長。成功者と呼ばれる人生を歩む一方で、彼の胸の奥には、ずっと残り続けていた“何か”があった。</p>



<p>　──父の作る、あの甘くて深い、ひと切れのカステラ。</p>



<p>　──音楽という夢に燃えた、あの鮮やかな青春の残像。</p>



<p>　そして今、石垣島で出会ったこのプリンの味が、すべてを静かにつないだ。</p>



<p>　「これは、俺にしかできない再生かもしれない。」</p>



<p>　そう感じた瞬間、彼の中の何かが、音を立てて動き出したのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-再び-音が鳴りはじめる-リンドバーグとの-縁-が動き出した瞬間"><strong>再び、音が鳴りはじめる──リンドバーグとの“縁”が動き出した瞬間</strong></h2>



<p>　そうやって、松田さんは、自らの会社「ちばりよー」を立ち上げ、この「石垣島プリン本舗」の経営権を、負債を除いた形で正式に譲り受けることになったのだ。</p>



<p>　冒頭話した通り。まさに、“火中の栗を拾う”という言葉が、これ以上ないほど似合う決断だった。けれど、彼にとってそれは、「リスク」ではなく「宿命」に近いものだったのかもしれない。それは、彼自身の環境を思えばこそ、実感できることだ。</p>



<p>　このプリンとともに歩む人生こそが、自分にとっての“次の章”なのだと──</p>



<p>　松田さんのその口調から、僕にはそんな静かな確信が感じられた。実は、僕と松田さんが出会ったのは、偶然のようでいて、どこか必然にも思える縁からだった。</p>



<p>　そのきっかけを作ってくれたのが、デビルロボッツのキタイシンイチロウさん。</p>



<p>　かつて音楽ユニット「リンドバーグ」のジャケットデザインを手がけた人物でもある。そう──あの若き日、夢を追って松田さんが見習いとして参加していた、まさにその「リンドバーグ」と、キタイさんは深く関わっていたのだ。</p>



<p>　そして、僕も旧知の仲であるキタイさんから紹介されて、松田さんとの出会いにいたる。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-デザインに託された想い-三色の風景"><strong>デザインに託された想い──三色の風景</strong></h2>



<p>　松田さんがキタイさんのもとを訪ねたのは、昨年の夏のことだった。経営の引き継ぎを終えた今──ただ店を再開させるだけではなく、「想いが伝わるかたち」で、この場所を生まれ変わらせたい。</p>



<p>　そう願った松田さんは、かつての縁をたどり、デザインのすべてをキタイさんに託した。その申し出に、キタイさんは迷いなく応えた。二つ返事で引き受け、店のロゴからパッケージ、空間デザインに至るまで、まさに“すべて”を手がけてくれたのだ。</p>



<p>　完成したデザインには、三つの色が優しく溶け合っていた。「青い空」「エメラルドグリーンの海」──そしてその間に広がる「白い砂浜」。石垣島を象徴する、美しくて、少し切ない、あの風景。それは、プリンという小さな箱の中に、島の記憶と想いをそっと詰め込んだような、静かなメッセージだった。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/fuwatoro250801.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57704" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/fuwatoro250801.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/fuwatoro250801.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/fuwatoro250801.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　そして、松田さんが語った言葉が、何よりも胸に残っている。</p>



<p>　「自分にとって、リンドバーグとの出会いはかけがえのないものなんです。</p>



<p>　だからこそ、そこで出会った信頼すべき人たちと一緒に、この新しい挑戦を形にしたかった。」</p>



<p>　夢を追い、夢に破れ、そしてまた、信頼でつながった縁に支えられて、もう一度“始める”。キタイさんにデザインを託すという選択も──それは偶然ではなく、人生の流れの中で自然に導かれた、“必然”だったのだ。</p>



<p>　そして、その表現の先に、この文章で、僕が関われていることも、何かのご縁だろう。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-プリンでしか繋がらない-人生の交差点"><strong>プリンでしか繋がらない、人生の交差点</strong></h2>



<p>　僕はそんな松田さんと、キタイさんの紹介で出会い、サシで酒を酌み交わした。そこで聞いた話の数々に、心が揺さぶられた。彼の人生は、まるでバラバラなピースのように見えていた。けれど──ある一点で、すべてが“プリン”を軸に交差し始めていたのだ。</p>



<p>　先ほど、書いた通り、リンドバーグの付き人として、夢の最前線に身を置いていたあの頃──眩しさと裏腹に、現実の壁は高く、彼はその世界を離れた。</p>



<p>　それでも、ただ夢に敗れた青年では終わらなかった。彼が飛び込んだのは、まさに「地を這う」ような世界──訪問販売だった。一日300件、インターホンを押し続けても、結果はたった“一件”。それでも彼は、そこで営業成績で、頂点に立った。売れるために嘘を並べ立てるのかと思いきや、彼は違った。</p>



<p>　「300件に1件、自分が扱っているサービスが“本当にお客さんのためになる”瞬間があるんです」</p>



<p>　そう語る目は、誠実だった。どんな仕事であれ、人道に恥じぬこと。そして、心から人の役に立てたと感じられるかどうか──それが続ける理由となり、彼の信念となっていった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-プリンがつないだ-父との会話-と-未来への和音"><strong>プリンがつないだ“父との会話”と、未来への和音</strong></h2>



<p>　そして、彼は営業代行の仕事で、会社を持つことになった。そして、先ほどのオーナーとの出会いにつながっていくのだ。</p>



<p>　リンドバーグとの出会いを再び意味づけることなど、きっとできなかった。でも、“プリン”ならばできる──松田さんは、そう言って目を輝かせた。かつて夢を追った音楽と、今立っている場所が、ふたたびつながっていく。</p>



<p>　しかもそれは、音楽だけではない。</p>



<p>　遠く離れたと思っていた、父との縁までも──</p>



<p>　長崎で菓子を作り続けた父は、昨年ついに店をたたんだ。だが今、プリンという菓子を通じて、ようやく松田さんは「同じ言語」で父と語り合うことができるようになったという。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima250802.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57705" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima250802.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima250802.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima250802.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　夢に破れた青年は、現実の中で、人と人との“甘い記憶”を紡ぐ存在になった。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima250783.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57706" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima250783.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima250783.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/08/ishigakijima250783.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　その交差点の中心にあるのが、プリンだった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-プリンが導いた-人生の再起-すべての出会いに-意味がある"><strong>プリンが導いた、人生の再起──すべての出会いに、意味がある</strong></h2>



<p>　あの日、偶然のように出会った一つのプリン。けれど、それは決して“たまたま”ではなかったのだと思う。</p>



<p>　この出会いこそ、松田さんの人生にとって必要な“ひとさじ”だった。夢を追った日々も、地道な営業の毎日も、すべてが一本の線になって、このプリンへと導かれていたかのようだった。</p>



<p>　人生に、無駄な出会いなどない。意味のない寄り道も、苦い失敗も、無言の別れも──すべてが、何年も先の“何か”を形づくるためにあるのだと、信じたくなる。</p>



<p>　このプリンにとって、松田さんは“運命”だった。そして、松田さんにとっても、このプリンは“必要”だった。</p>



<p>　お互いの軌道が交差したとき、それは単なるビジネスや再建ではなく、ひとつの“物語”として静かに動き出した。</p>



<p>　今日も、この店のどこかで──</p>



<p>リンドバーグの奏でる、あの優しくて、少し切ないメロディが流れている。</p>



<p>それは、過去と未来をつなぐ音。</p>



<p>そして、これから誰かの“記憶になる味”でもある。</p>



<p>　<strong>今日はこの辺で。</strong></p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/goodsnews/2025/08/ishigakijima-purin-lindberg/">石垣島プリン本舗に宿る、“リンドバーグの記憶”──火中の栗を拾った男の物語</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>「写真つづけて下さいね」──カメラと、自分自身を見つめ直す旅。Sakura Sling  Project代表・杉山さくらの物語</title>
		<link>https://145magazine.jp/goodsnews/2025/07/keep-photographing-sling/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=keep-photographing-sling</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 17 Jul 2025 04:45:05 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[プロダクトアウト]]></category>
		<category><![CDATA[モノ談]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　カメラは、シャッターを押すための機械ではない。レンズ越しに“いま”を見つめ、自分の心と出会うための、ひとつの手段なのだ。そんな当たり前のようで見落と [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/goodsnews/2025/07/keep-photographing-sling/">「写真つづけて下さいね」──カメラと、自分自身を見つめ直す旅。Sakura Sling  Project代表・杉山さくらの物語</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#e2f1fa">　カメラは、シャッターを押すための機械ではない。レンズ越しに“いま”を見つめ、自分の心と出会うための、ひとつの手段なのだ。そんな当たり前のようで見落としがちな気づきを、私は杉山さくらさんという女性から教えてもらった。彼女が発明した「サクラスリング」は、単なるストラップではない。カメラを抱きしめるように持てる優しい形の“スカーフ型スリング”だ。</p>



<p>　でも、その布には、もっと奥深い意味がある。だから、今、「KeepPhotographing​.jp」の動きへと至る。すべては自然な流れである。それは、彼女自身が人生の迷いの中で再び自分を見つけ、やがて他者の希望になるまでの「写真とともにある人生」の証なのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-自分とは無縁だと思っていた-カメラ-が-なぜか心に引っかかった"><strong>自分とは無縁だと思っていた“カメラ”が、なぜか心に引っかかった</strong></h2>



<p>　杉山さんの家には、いつもカメラがあった。父は写真へのこだわりが強く、カメラは“専門的な道具”として存在していた。だからこそ、彼女はどこかで「自分には向いていない」と決めつけていた。</p>



<p>　例えば、杉山さんが「この写真、いいね」と褒めても、父は首を横に振る。「いや、ピントが甘い。まだ納得してないんだ」──そんな姿を何度も見てきた。</p>



<p><strong>　その父の出す答えが、きっと正しいのだと思っていたのかもしれない。だからこそ、自分は“それと比べて”才能がないと、どこかで思い込んでしまったのかもしれない。</strong></p>



<p>　そして、しばらく彼女はカメラから遠ざかる。若くして結婚し、20代の大半を育児に費やした杉山さん。気づけば“社会”には適合していた。けれど、ふとした瞬間、胸にぽっかりと空いた穴の存在に気づく。</p>



<p>　不思議なことにここで、またカメラの存在が出現する。</p>



<p>　不自由なく、幸せに暮らしているけど、社会に適合するのとは違う、本当の自分がいるのではないかと思い始めるのである。子供たちは手を離れ、パパ友に写真家の安達ロベルトさんがいたこともあって、再び、カメラとの接点が生まれた。</p>



<p>　そして、その心のざわめきに応えるように、ある日、蔦屋書店で一冊の写真集と出会う──長島有里枝さんの作品だった。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250703.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57500" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250703.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250703.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250703.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-ああ-私が撮りたいのはこれだ-と-確信した瞬間"><strong>「ああ、私が撮りたいのはこれだ」と、確信した瞬間</strong></h2>



<p>&nbsp;　何気なく手にしたその写真集の中に、杉山さんは“自分の声”を見つけた。技術や構図よりも、その瞬間の「心」が写っていた。</p>



<p>　写っていたのは、家族との日常だったり、自分にもどこか重なるような風景だった。もしかすると、幼い頃から抱えていた“カメラへの曖昧な距離感”や、答えの見えないモヤモヤに、そっと答えを示してくれるような感覚だったのかもしれない。</p>



<p>　かっこつけなくていい。正解じゃなくていい。ただ、ちゃんと、感じたことを写したい──。</p>



<p>　そう思えたのが、長島さんの写真だった。</p>



<p>　彼女は父からおすすめのカメラを指南してもらい、安達ロベルトさんから譲ってもらったフィルムを握りしめるようにして、初めて“自分の目”で世界を切り取り始めた。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-トイレで泣いた日-写真も泣いていた"><strong>トイレで泣いた日、写真も泣いていた</strong></h2>



<p>　その“正解じゃなくていい”という感覚に、やがて確かな“答え”がともなった。杉山さんは、ある日ふと、自分が撮った写真を見返していた。</p>



<p>「なんだかこの写真、暗いな、ピントも合っていないし、、、」──そう感じたとき、ある出来事を思い出した。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250704.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57502" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250704.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250704.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250704.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　その日、自分はトイレで人知れず泣いていたのだ。理由はもう思い出せない。けれど、確かに、心が沈んでいたことだけは覚えている。なのに、写真はそれを、しっかりと覚えていた。</p>



<p>　「人は心を隠せても、写真の中でそれはごまかせない」</p>



<p>──それが、写真の持つ“魔法”なのだと、彼女は知った。</p>



<p>このとき彼女の中で、何かが決定的に変わった。カメラは、特別な才能を持つ人だけの道具ではない。気持ちを持ったすべての人が、表現するために手にしていいものなのだと。</p>



<p>──そう、写真は“誰かに見せるため”だけじゃない。“自分自身の心に触れるため”のものでもあるのだ。僕が思うに、これが彼女の発明、サクラスリングに繋がる大事な一場面だと思った。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-発明は-必要から生まれた-首を守るスカーフが生まれるまで"><strong>発明は、必要から生まれた──首を守るスカーフが生まれるまで</strong></h2>



<p>　多くの人は知らないかもしれないが、カメラは重い。首にかけると、ずっしりと負担がかかる。とくに、頭痛持ちの人の身体には、辛い重さだ。</p>



<p>　それでも──「カメラは続けたい」。</p>



<p>　そう願った杉山さんは、体調の悪い日も、ふらつく日も、それでもなおカメラを持ち歩いた。なぜなら、それは彼女にとって“ただの道具”ではなく、心の動きを記録する“身体の一部”になっていたからだ。</p>



<p>　そして、面白いのはここからである。</p>



<p>　実は、彼女はカメラに、革紐と布の2本をつけていた。というのは、革紐が肌に食い込んでどうしても辛く、そのままでは使い続けられなかったからだ。そこで、やわらげようとスカーフを巻いて使っていたのである。</p>



<p>　──ただ、正直、邪魔でもあった。でも、振り返れば、その「邪魔さ」こそが、気づきの入り口だったのかもしれない。</p>



<p>　そして、ある日──。</p>



<p>　いつものようにカメラを手にし、先ほど書いた通り、「ちょっと辛いな」という瞬間が訪れたのだ。少しでも負担を軽くしたくて、ストラップの“布”を外した。</p>



<p>　そのとき、ふと頭をよぎった。</p>



<p>「あれ？　子どもたちだって、布で抱っこしてたじゃん」</p>



<p>──その瞬間、カラダに電流が走った。</p>



<p>　もしかして、外すべきは“布”じゃない。重くて硬い、“革紐”の方なんじゃないか？</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250705.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57504" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250705.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250705.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250705.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　その“重さ”という問題の答えを、彼女は過去の自分の中──つまり育児の経験から見出すことになる。ヒントは「抱っこ紐」だった。あの、赤ちゃんを優しく包み、身体全体で支える布の構造。あれを、カメラに応用できないだろうか。</p>



<p>　首に巻くスカーフのように、やわらかく、でもしっかりと支えるもの。そして誕生したのが、「サクラスリング」だった。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250702.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57498" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250702.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250702.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250702.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　それは、見た目にもやさしく、使う人の身体にもやさしい“布のカメラ抱っこ紐”。まるで赤ちゃんを包むように、大切なカメラをそっと抱きしめてくれる存在だ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-自分を救ってくれた写真-だから誰かの力になりたい"><strong>自分を救ってくれた写真──だから誰かの力になりたい</strong></h2>



<p>　そして──またしても、思いがけないかたちで、カメラが彼女に“次の扉”を開いてくれる。ある日、ふらりと立ち寄った代官山の蔦屋書店。</p>



<p>　その隣に、とある小さなお店があることに気づく。その店の名前は、「<strong>代官山</strong>&nbsp;<strong>北村写真機店</strong>」。代官山T-SITEという、静けさと感性が同居する街の風景に溶け込むように、カメラ好きの人たちをそっと受け入れていた。カルチュア・コンビニエンス・クラブ（CCC）が直営し、キタムラの1号店の名にあやかって開かれたこの店は、代官山という街にふさわしい“写真文化の小さな受け皿”だった。</p>



<p>　カメラに関心を抱いていた時だから、自然と足を向けた。そして、その瞬間、杉山さんの中で何かが動いた。</p>



<p>「ここで、働かせてください」</p>



<p>　それはまるで導かれるような自然な流れだった。この出会いが、まさか人生を変えるチャンスになるとは──そのときはまだ知らなかった。</p>



<p>　実は<strong>代官山</strong>&nbsp;<strong>北村写真機店</strong>こそが、彼女が発明したサクラスリングを、初めて世に送り出してくれる場所となるのだ。杉山さんが手作りしたスリングを目にした店長と、写真集のアートディレクターは口をそろえて言った。</p>



<p>「これはすごい。大発明だよ」</p>



<p>　その言葉に背中を押されて、2014年12月8日、サクラスリングは正式に販売をスタート。販売本数はわずか10本──けれど、それは確かに「はじまり」の日だった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-写真つづけてくださいね-長島さんの言葉が背中を押した"><strong>「写真つづけてくださいね」──長島さんの言葉が背中を押した</strong></h2>



<p>　そして──今へとつながる物語の中で、欠かすことのできない出来事がここで起こる。杉山さんが代官山で働き始めて、ある日、迎えたイベント。</p>



<p>　そこにゲストとしてやってきたのは、あの写真家・長島有里枝さんだった。そう、彼女がかつて「写真ってこういうものなんだ」と、自分の心にすとんと落とした、最初のきっかけとなった人。</p>



<p>　イベント終了後、杉山さんは長島さんに手紙を渡した。その作品集に添えられたサインとともに、ひとこと──</p>



<p>「写真つづけて下さいね」</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250706.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-57508" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250706.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250706.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/07/sakura250706.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　その言葉は、杉山さんにとって“おまじない”のようなものになった。迷ったとき、不安になったとき、何度も心の中でその言葉を唱えた。</p>



<p>「写真つづけて下さいね」</p>



<p>　いま彼女は、静かにこう言う。</p>



<p>「あの言葉があったから、私は続けてこられたんです」</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-撮る人-と-支える人-をつなぐ-唯一無二の存在に"><strong>「撮る人」と「支える人」をつなぐ、唯一無二の存在に</strong></h2>



<p>　ここで、ひとつ思うわけである。</p>



<p>　杉山さんは“写真家”ではない。けれど、だからこそ──彼女にしか持ち得ない、かけがえのない視点と役割を手にしたのだ。</p>



<p>　たとえば、量販店で開催されたカメラ体験会の話。そこでは、プロのカメラマンとカメラ愛好家が集まり、実際のカメラをレンタルし、撮影を体験できる場が設けられていた。</p>



<p>　その現場で、杉山さんは「サクラスリング」を貸し出した。プロにも、愛好家にも。どちらにも自然に馴染むように、そっと手渡されたスリング。</p>



<p>それが、いつの間にか両者を繋ぐ“接点”になっていった。</p>



<h3 class="wp-block-heading" id="h-写真の世界-に-場所をつくるということ"><strong>「写真の世界」に、場所をつくるということ</strong></h3>



<p>　──つまり、彼女の作ったスリングが、写真を愛する人たちを結ぶ“中継地点”になったのである。</p>



<p>　そう、彼女は思いがけず、“写真を撮る人”と“写真を楽しむ人”を繋ぐプラットフォームを生み出していた。カメラを楽しむ人が、心地よく自分らしくいられる空間。それは、彼女自身が、かつて“自分の場所”を探し続けていた日々と、静かに呼応している。</p>



<p>　彼女の活動は、もはや“ストラップ屋さん”ではない。それは、人生の迷いの中で再び自分を見つけ、やがて他者の希望になっていった、「写真とともにある人生」の証なのだ。</p>



<p>　そして──ここで冒頭で書いた言葉の核心へと至る。「カメラを抱きしめるように持てる優しい形の“スカーフ型スリング”。でも、その布には、もっと奥深い意味がある。」と僕は書いたよね。</p>



<p>　その“奥深い意味”こそが、次のTシャツのプロジェクトへと繋がっていくのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-keepphotographing-jp-すべての-続けたい-に-そっと寄り添う"><strong>KeepPhotographing.jp─すべての“続けたい”に、そっと寄り添う</strong></h2>



<p>&nbsp;　彼女が立ち上げた新たなプロジェクトの名は、「KeepPhotographing​.jp」。著名なカメラマンの写真をTシャツにして販売するのである。</p>



<p>　そして、ここで要となるのが、OpenFactory・堀江賢司さんの存在だ。彼の説明を少しさせてほしい。彼は、家業である布印刷工場を継ぐ中で、印刷業界に染みついた非効率や過剰生産の構造と真っ向から向き合い、それらを一気にデジタル化した。</p>



<p>　そうして誕生したのが、〈Printio〉という印刷プラットフォームである。つまり、印刷工場と発注者をダイレクトにつなぎ、もっと多くの人が“印刷”という手段を武器に、あらゆるチャレンジを始められるようにしたのだ。</p>



<p>　最初は企業向けの仕組みだったが、今では個人でも利用可能になり、<strong>誰もが“印刷”をフックに、自分の表現や商売を形にできる時代</strong>が始まっている。</p>



<p>──もう、おわかりだろう。</p>



<p>　ここで、杉山さんの取り組みと堀江さんの思想が、ぴたりと重なるのだ。写真をプリントしたTシャツというかたちで、著名カメラマンの作品を世の中に届ける。</p>



<p>　それは単なる物販ではない。写真を写真として販売する以外の手段として意味がある。</p>



<p>　ここまで綴ってきたように、杉山さくらさんは、カメラをきっかけに“人の気持ち”をつなぐ場所をつくってきた。だからこそ、カメラマンの“表現”を、堀江さんの“技術”で現実にし、誰かの“日常”に届ける──</p>



<p><strong>　そのすべてが「KeepPhotographing​.jp」という言葉に集約されているのだ。</strong></p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-自分らしさ-は-思いがけない場所にある"><strong>“自分らしさ”は、思いがけない場所にある</strong></h2>



<p>　元を辿れば、「KeepPhotographing​.jp」という取り組みの価値を、GMOメイクショップの向畑憲良さんが話していたとき──僕の中に、小さな共感の火が灯った。それがすべてのはじまりだった。</p>



<p>　以前から、向畑さんは感受性豊かにECを語っていた。たとえば、いま僕らが商品を買うとき、使っているのはパソコンやスマホだ。でも、極論──壁がそのデバイスになってもいい。買い物をもっとシームレスに。もっと、気づいた瞬間に。</p>



<p>　それを実現できるのが、ECの本質だと彼は考えていた。そして、それが本当に実現できる未来を思い描いたとき、僕は思った。提供する側もまた、“注文を待つ”のではなく、“思いがけない接点”に手を伸ばせる存在であるべきだ。</p>



<p>　固定された売り場ではなく、感情のそばに寄り添う仕組み。それこそが、才能が自然と発揮される場所になる。そう考えたとき、堀江さんが構築した〈Printio〉は、まさにその思想にフィットする。ぱっと直感的に、それを商品にできる仕組み。</p>



<p>　印刷を起点とした、新しい“表現のインフラ”を生み出した人だから。一方で、杉山さくらさんは、カメラという極めて感情に近いツールを通して、“写真を続ける人たちの居場所”をつくってきた。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-最後に-感情のそばに-接点を置く"><strong>最後に──</strong>「感情のそばに、接点を置く」</h2>



<p>　三者とも、立場も動機も違う。</p>



<p>　けれど──結果として交わったのは、「接点を、感情の近くに設計しようとしたこと」だった。また、カメラマン──とくに作家性の強い写真家たちは、商売が得意とは限らない。</p>



<p>　作品は素晴らしいのに、それを届ける場所がない。収益にもつながらない。そんな“表現の孤島”のような現実を、杉山さんは、カメラを真ん中にした“心地よい場”で、そっと包み込んでいく。</p>



<p>　それは、なんて言葉につながっていく？</p>



<p>──そうだよね。</p>



<p>「写真つづけてくださいね」という言葉なんだよ。</p>



<p>　写真を愛する誰かの、新たな一歩を照らす、静かな合言葉として。未来へと、静かに、受け継がれていく。</p>



<p>今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/goodsnews/2025/07/keep-photographing-sling/">「写真つづけて下さいね」──カメラと、自分自身を見つめ直す旅。Sakura Sling  Project代表・杉山さくらの物語</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>母の日ギフトに“気持ち”を込める──楽天イベントで語られた「野菜をMOTTO」河野雄士さんの本音</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2025/04/yasaiwo-motto-rakuten-mothersday-2025/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=yasaiwo-motto-rakuten-mothersday-2025</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 17 Apr 2025 22:30:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[通販/eコマース]]></category>
		<category><![CDATA[【Product】食品]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　“ありがとう”を、もっと近くで伝えたくなる。そんな気持ちを乗せた母の日ギフトを、目の前で見て・食べて・選べる特別なイベントが横浜・MARK ISみな [&#8230;]</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/04/yasaiwo-motto-rakuten-mothersday-2025/">母の日ギフトに“気持ち”を込める──楽天イベントで語られた「野菜をMOTTO」河野雄士さんの本音</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#e9f5fd">　“ありがとう”を、もっと近くで伝えたくなる。そんな気持ちを乗せた母の日ギフトを、目の前で見て・食べて・選べる特別なイベントが横浜・MARK ISみなとみらいで開かれた。今回の舞台は、楽天グループが主催する「母の日グルメフェスティバル」。ネットでは伝えきれない“美味しさの体験”が、来場者と出店者のあいだに自然な対話を生み出していた。</p>



<p>　出店者のひとり、「野菜をMOTTO」店長・河野雄士さんは、このイベントに何を託したのか。そこから浮かび上がるのは、ギフトという行為に込めた“感謝を届ける”という商いの本質だった。</p>



<p>　オンラインとオフラインをつなぐOMO（Online Merges with Offline）型イベント「母の日グルメフェスティバル」は、ネットでは伝えきれない“美味しさの体験”を届ける試みだった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-1-その店は物流から始まっていた">1.その店は物流から始まっていた</h2>



<p>　創業1806年。清水港のコンテナから始まった歴史を持つ老舗物流企業・鈴与。</p>



<p>「え？物流？」──そう思うかもしれない。でも、「野菜をMOTTO」とそのすべてはちゃんとつながっている。</p>



<p>　もともと鈴与グループの原点は、港でのコンテナ荷役作業。貨物の積み降ろしを担っていた人たちが始まりだ。荷物をおろせば、そこには倉庫が必要になるし、陸送も必要になる。鈴与はそれら一連の流れをグループ内で担うことで、物流を軸に事業を拡大してきた。</p>



<p>　そんな中、1929年に世界大恐慌が発生。多くの人が仕事を失う中、「自分たちで仕事を作ろう」と立ち上がり、食品分野に挑戦したのが、製造業としてのスタートだった。その結果、鈴与は日本で初めてツナ缶を製造し、海外輸出にも成功する。</p>



<p>　当然、食品を扱う会社となれば、卸先も増えていく。そうした流れの中でダイレクトマーケティングの必要性が高まり、2010年代に入りネット通販にも参入。気がつけば、物流から製造、そして販売まで──すべてが自然とつながり、現在の姿が形作られている。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-2-野菜をmottoが母の日に込めた-感謝の記憶">2.野菜をMOTTOが母の日に込めた、感謝の記憶</h2>



<p>　鈴与グループの一員として生まれた「野菜をMOTTO」は、“素材に正直なものづくり”を掲げて食品事業に挑んでいる。いまや、それだけで売上23億円を占めるに至った。これがまた奥が深くて、ネット通販をやり初めて、活路を見出したのが、このギフトというマーケット。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250402.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-56568" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250402.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250402.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250402.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　店長・河野雄士さんが楽天市場でのギフト販売に本腰を入れたのは、「母の日」の一大需要期があったからだった。「実は、楽天の母の日が大きな転機でした。売上も一気に伸びて、存在感が出てきた」と話す。</p>



<p>　その背景には、“価格”より“価値”を優先したギフトづくりの哲学がある。ここに河野さんらしさが見えてくる。</p>



<p>　例えば、スーパーマーケットに並ぶ商品は、ある程度、原価が決まっている。なぜなら、顧客が購入するのは、他のスーパーとの兼ね合いと、自らのお財布事情を合わせたところで考えるからだ。そうすると、自ずと、原価は、ある一定のところで決まってしまうのが常識だ。</p>



<p>　ところが、河野さんは違った。「それでは物作りじゃない」と考えた。</p>



<p>　つまり、最初から良い食材を集めて、その原価に積み上げていく形で、どんな提案をしていくかにこだわったわけである。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-3-本当のものづくりを追いかけた先に母の日ギフトがあった">3.本当のものづくりを追いかけた先に母の日ギフトがあった</h2>



<p>　これがどれだけ難しいか想像できるだろうか。上記に示した通りだが、顧客があらかじめ購入する定価が一定であれば、それに基づいて、原価を決めざるを得ないわけだ。</p>



<p>　原価を上げれば自らの取り分（粗利）がなくなる。</p>



<p>　ところが、敢えて、その逆を行き、積み上げ式にしようという。ともすれば顧客が求める金額ではない価格を提示する可能性を秘めていて、そこは挑戦だ。</p>



<p>　だから、ギフトなのだと、河野さんの話を聞いて思った。つまり、単純に横一列で、商品を並べて判断されるのではなく、ギフトという付加価値をつけることで、積み上げ式の原価設定を実現させることに成功したわけである。</p>



<p>　日常、食べるものではなく、特別な思いを乗せて、贈るのがギフトである。だから、他と比べてどれだけ、相手にとって価値ある物を提供できるかに価値があるから、この原価の設定方法が、奏功する。なるほどと思った。</p>



<p>　その結果、価格は3990円を超えると売れ行きが落ちるなど一時的な影響もあったが、「本当に納得して買ってもらえるギフト」へと進化した。だからこそ、リピーターが増えて、会社を支える材料となった。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-4-リアルな-試食-の意味-ecでは見えない顧客の顔">4.リアルな“試食”の意味──ECでは見えない顧客の顔</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250403.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-56569" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250403.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250403.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250403.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　一方、このイベントが意味を持つのは、ネットでは見えない“人の顔”が見えること。</p>



<p>　楽天グループのOMO企画室でイベントを企画・運営した渡邉紗衣さんは、「オフラインの場では、去年買ってくれたお客様が『今年も欲しくて来ました』って声をかけてくださる。こういう出会いは、データでは絶対に見えない」と語る。</p>



<p>　これが先ほどの河野さんの話とも繋がる。リピーターが増えることで、マーケットが広がる。</p>



<p>　どうしても、楽天側としても、Web上での購買体験を熟知しているが、リアルを知らない。それでも、あえてリアルの場を設けることで、“購買の文脈”を学び直しているとも言える。</p>



<p>　「全体のギフト購買は楽天内でもまだ少ない。だからこそ、ギフトを贈る習慣そのものを文化にしたい」。そんな思いが、リアルイベントという形になって現れた格好だ。</p>



<p>　もうひとりの運営担当・濱田絵里佳さんは「夢にも出るくらい、今回のイベントには魂を込めた」と笑う。彼女が描いたのは、ただの展示ではなく、出会いの場としてのイベント。実際、ブースを訪れた来場者とのコミュニケーションや試食体験は、“ただの買い物”を“記憶に残る贈り物”へと変えていた。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-５-3ヶ月の準備-2人の情熱-運営側の-挑戦と試行錯誤">５：3ヶ月の準備、2人の情熱──運営側の「挑戦と試行錯誤」</h2>



<p>　イベントの舞台裏では、会場の確保から出店交渉、各社との細やかな調整まで、色々なスタッフが奔走した。出店ジャンルや商品構成も、ただ集めたわけではない。来場者の体験をどう豊かにするか、細部にわたる工夫の積み重ねだった。</p>



<p>　楽天自身も、リアルイベントの可能性を模索している。</p>



<p>　「そもそも、これって本当に“OMO”なのか？」「楽天がリアルでやる意味って何だろう？」</p>



<p>　そんな根本的な問いを真正面から見つめながら、「オンラインとオフラインの最適なバランス」を議論し続け、ようやくこの日を迎えた。</p>



<p>　いくつかの出店者には、実際に会場に来てもらい、試食や体験の場を設けた。たとえば「野菜をMOTTO」のように、その場で店舗のスタッフと向き合える機会を用意することで、オンラインだけでは伝えきれない価値を来場者に届けた。</p>



<p> 　そして、多くの出店店舗の商品も並べて、それらを試食できるようにして、購入するきっかけづくりを行う。さすが、売れている店舗なだけある。野菜をMOTTOだけではなく、南が丘牧場のアイスクリームを筆頭に、試食をしたら、本当に、どれも美味しかった。誰かに贈りたいと思うのも自然だ。そんな人のために、各商品には二次元コードを設置。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img data-recalc-dims="1" loading="lazy" decoding="async" width="900" height="675" src="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250404.jpg?resize=900%2C675&#038;ssl=1" alt="" class="wp-image-56571" srcset="https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250404.jpg?w=900&amp;ssl=1 900w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250404.jpg?resize=300%2C225&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/145magazine.jp/wp-content/uploads/2025/04/hahanohi_rakuten250404.jpg?resize=768%2C576&amp;ssl=1 768w" sizes="auto, (max-width: 900px) 100vw, 900px" /></figure>



<p>　スマホで読み取れば、そのまま楽天市場の商品ページへアクセスできる仕組みにしている。リアルな体験から、オンラインでの購買へ──いわば“食品版ショールーミング”のように、リアルの強みを活かしながら、購買行動への導線をつないでいったのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-6-贈りたい-が未来をつくる-イベントのその先へ">6：“贈りたい”が未来をつくる──イベントのその先へ</h2>



<p>　色々楽天にその舞台裏を聞いていると、、、</p>



<p>「普段は立場上、なかなか現場に出ることも少ないんですが──」</p>



<p>　そう前置きしつつ、「野菜をMOTTO」の河野雄士さんが、このイベントに懸ける思いを丁寧に語ってくれた。</p>



<p>　イベント出店というと、一方的に依頼されるイメージもある。ただ、「ECC（楽天の店舗サポート部門）の担当者が、一緒に考えてくれるんです。“こうやったらどう？”って提案してくれて、“じゃあやってみようか”って、一緒に形をつくっていく感じ。」</p>



<p>　そんな“同志”のような関係だからこそ、自然とイベントにも本気で向き合えるし、お互いの想いを引き出し合える。ここに、価値があるのだろうなと。単なる催事ではない。</p>



<p>　“売るため”ではなく、“届けたい想い”の延長にあった楽天との協業。それが、今回の「母の日グルメフェスティバル」を、単なるプロモーションで終わらせなかった理由かもしれない。</p>



<p>さあ、あなたは今年、誰に“ありがとう”を贈りますか？</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/04/yasaiwo-motto-rakuten-mothersday-2025/">母の日ギフトに“気持ち”を込める──楽天イベントで語られた「野菜をMOTTO」河野雄士さんの本音</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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		<title>地域に寄り添う『ロリアン洋菓子店』が50年以上愛され続ける理由｜神奈川県さがみ野の優しさを紡ぐケーキ屋さん</title>
		<link>https://145magazine.jp/retail/2025/03/local_lorian-sagamino/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=local_lorian-sagamino</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[石郷　学]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 31 Mar 2025 02:01:33 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[リアル店舗]]></category>
		<category><![CDATA[買い談]]></category>
		<category><![CDATA[【Buying】商品企画/マーチャンダイジング]]></category>
		<category><![CDATA[DEEP DIVE: 店の声─舞台裏での奮闘記]]></category>
		<category><![CDATA[キャリアと生き方｜HERO insight —逆境をチャンスに変えるストーリー]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　桜が咲く季節になると、ふと思い出す風景がある。神奈川県・さがみ野の駅を降りて歩くと、かつて桜並木が続いていた商店街の跡が今も残っている。いまでは高層 [&#8230;]</p>
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]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="has-background" style="background-color:#d6ecf9">　<strong>桜が咲く季節になると、ふと思い出す風景がある。</strong>神奈川県・さがみ野の駅を降りて歩くと、かつて桜並木が続いていた商店街の跡が今も残っている。いまでは高層マンションが立ち並び、街の姿は少しずつ変わってきた。そんななかで、ずっと変わらずそこにあるのが「ロリアン洋菓子店」。</p>



<p>　昭和40年創業から50年以上、季節の移ろいを見つめながら、まるで地域の時間を静かに刻んできたようなお菓子屋さんだ。</p>



<p>　僕がこのお店を知ったのは、ネットショップがきっかけだった。でも実際に訪れ、2代目の店長・小島有加里さんとお話をしたときに感じたのは、“商売”というよりも、“人と人とのあたたかいつながり”だった。</p>



<p>　一つひとつのケーキ、一つひとつの言葉が、人生の中の大切な時間に寄り添っている。この場所に流れる“やさしさの正体”を、今日は一緒に紐解いてみたいと思う。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-地元と共に育った-まるで-家族-のようなケーキ屋さん"><strong>地元と共に育った、まるで「家族」のようなケーキ屋さん</strong></h2>



<p>　ロリアン洋菓子店があるのは、神奈川県海老名市。パンをメインにスタートした店は、時代の流れとともに洋菓子専門へと変化していった。現在は2代目の小島さんご夫婦、そして3代目となる息子さん夫婦も店に加わり、家族のリレーでお店を繋いでいる。</p>



<p>　店の見た目はとても素朴で、派手さはない。</p>



<p>　けれど、ここには「ただのケーキ屋」では語れない関係性が育まれている。あるお客さんは「小さい頃に買ってもらった誕生日ケーキを、今は自分の子どもにも」と話す。まるで家族のアルバムのように、この店のケーキが人生の節目を彩ってきたのだ。</p>



<p>　「地元のお客様は、みんな顔馴染みなんですよ」と小島さんは微笑む。</p>



<p>　リピーターという言葉では足りないほどの信頼関係が、日々のやりとりの中に息づいている。地域の“あたりまえ”として、静かにそこに在り続けるロリアン。それは、“店”というよりも、むしろ“家族の一部”なのかもしれない。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-店を続けること-それは-想い-を守るということ"><strong>店を続けること。それは“想い”を守るということ</strong></h2>



<p>　創業当初、この地域はまだ“田舎”と呼ばれた時代。仕入れ業者すら来てくれず、初代である小島さんの義父が横浜まで電車で粉を担いで帰ってきたという。その粉でパンを焼き、ケーキを作った。始まりは、そんな“手で運ぶ想い”からだった。</p>



<p>　初代は、いわゆる“ガチの職人”。「作り置きはしない」「できたてをすぐに出す」が信条で、研究熱心で、妥協を知らない人だった。味で勝負する。それだけを信じてやってきたからこそ、少しずつ人が集まり、信頼が育った。</p>



<p>　2代目として受け継いだ小島さんは、「その信頼を絶対に途切れさせてはいけない」と心に決めたという。味を守るだけでなく、関係性を守ること。今も来店するお客様から「おばあちゃん元気？」と声をかけられるたび、初代が築いてきた関係の大きさを実感するのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-子どもたちが通う道に-楽しいお店-があってほしいから"><strong>子どもたちが通う道に、“楽しいお店”があってほしいから</strong></h2>



<p>　ロリアンの前を通るのは、幼稚園、小学校、保育園に通う子どもたち。その姿を見て、「この子たちに何か楽しいことができないかな」と思ったのが、ケーキコンテストやイベントを始めたきっかけだった。</p>



<p>「ただ“買う”だけじゃなくて、“遊びに来たくなる店”でありたい」。その想いで始めた取り組みは、地域の家族との距離をぐっと縮めた。</p>



<p>　子どもたちはお店に来るたびにワクワクし、親たちは「自分も昔、ここでケーキを食べて育ったんですよ」と懐かしそうに話してくれるとか。</p>



<p>　そして、その輪が今も広がっている。特別なイベントがある日だけじゃない。たとえば、ふとした午後に「今日、クッキー焼けてるかな？」と覗いてくれるおじいちゃん。学校帰りに「ママにケーキ買って帰ろうかな」と呟く小学生。</p>



<p>ロリアンは、地域の“楽しい記憶”を日々育てている。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-会話の中に宿る-たった一言-の魔法"><strong>会話の中に宿る、“たった一言”の魔法</strong></h2>



<p>　ある日、小島さんのもとに1通のメールが届いた。差出人は、かつて妊娠中に来店した女性だった。</p>



<p>「実はあのとき、すごく辛くて、生きることさえ諦めかけていた。でも、最後にケーキを食べようとお店に行ったら、接客してくれたおばあちゃんが『いつ生まれるの？』『生まれたら見せに来てね』って言ってくれて…」</p>



<p>　その一言で、思いとどまったのだという。</p>



<p>　いま、その女性の子どもは中学生。命を繋ぐきっかけが、ほんの小さな会話の中にあった――その事実に、小島さんも涙をこぼした。</p>



<p>「私たちの仕事は、ただ商品を届けることじゃないんです」と小島さんは言う。</p>



<p>「誰かの人生の時間に、そっと寄り添うこと」。</p>



<p>ケーキには、人の人生に関われる力がある。それは、目立たなくても確かに存在する、“日常の奇跡”なのだ。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-影法師みたいな存在-でありたいと願う気持ち"><strong>「影法師みたいな存在」でありたいと願う気持ち</strong></h2>



<p>「ケーキって、晴れの日に食べるもの。でも、悲しい時にそっと元気をくれる存在でもあるんです」</p>



<p>　だからロリアン洋菓子店は、“前に出すぎない店”であることを大切にしている。</p>



<p>「影法師みたいに、後ろから支えられる存在でいたいんですよ」</p>



<p>　お客様にとって、何かがあったときにふと立ち寄りたくなる場所。前向きな日にも、立ち止まりたい日にも、そっと寄り添ってくれるようなお店。たとえば、小さな子どもが500円玉を握りしめて、お母さんの誕生日ケーキを買いに来る。</p>



<p>その硬貨のぬくもりに、「この子、一生懸命貯めたんだな」と感じる瞬間がある。きっと、その一切れのケーキが、家族の忘れられない思い出になる。</p>



<p>　それを支えることができることに、店としての誇りと使命を感じている。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-クッキーがつなぐ-小さな幸せの贈りもの"><strong>クッキーがつなぐ、小さな幸せの贈りもの</strong></h2>



<p>　人気商品のひとつが、焼きたてのクッキーだ。</p>



<p>　特別な材料や奇抜な装飾があるわけじゃない。むしろ、どこか懐かしい素朴さが魅力で、日持ちもするから“ちょっとした贈り物”にぴったりだ。</p>



<p>「焼いても焼いてもすぐに出ちゃうんです」と笑う小島さん。</p>



<p>平日はひとつだけを買っていくお散歩中の方もいれば、土日は手土産としてまとめ買いをする人も多い。</p>



<p>　焼き立ての香りが店内に漂うと、それだけでお客さんが「今日はある？」とやってくる。日々の中で、ほんの少し甘い気持ちになれる。</p>



<p>ロリアンのクッキーは、まさにそんな“小さな幸せの象徴”なのかもしれない。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="h-最後に-店が変わらなくても-時代は巡っていく"><strong>最後に：店が変わらなくても、時代は巡っていく</strong></h2>



<p>　今では商店街の姿はほとんど残っていない。でもロリアン洋菓子店は、変わらずそこにある。街の姿が変わっても、人の心に残るものはある。</p>



<p>「また来よう」と思える場所がある。それだけで、人は前を向いて歩いていけるのかもしれない。小さなケーキ屋さん。</p>



<p>でもその場所は、地域の人々にとって、大きな存在だ。ロリアン洋菓子店。その名前を聞いただけで、思い出が浮かぶ。</p>



<p>そんな場所が、誰かの人生の中にあるということ。それこそが、街の“豊かさ”なのではないだろうか。</p>



<p>　今日はこの辺で。</p>
<p>投稿 <a href="https://145magazine.jp/retail/2025/03/local_lorian-sagamino/">地域に寄り添う『ロリアン洋菓子店』が50年以上愛され続ける理由｜神奈川県さがみ野の優しさを紡ぐケーキ屋さん</a> は <a href="https://145magazine.jp">145MAGAZINE</a> に最初に表示されました。</p>
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