気まぐれ読書探訪:猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)

先日、小川洋子さんの「 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)」という小説を読んで、論点は違うかもしれないけど、「人って何を残すかだよなあ」とふと思ったんですよね。
ここでは主人公が、自らチェスとの出会いにより、間違いなく、その人にしかできない人生を切り拓いたその場面が描かれています。
けれど、それが主人公にとっての人生が、不慮の事故で命を落としてしまって、悲しきエピソードになっているのだけど(完全にネタバレ)、果たしてその人生は、死んだこの主人公にとって「最適なものだったのか」と僕は考えてみたんです。
チェスって選択肢を選ばず、行動を起こさなかったら、ここで死ぬことはなかったから。
でも、結局、思ったのは、どう行動してもそこには道があって、必ずその先にはプラスの側面もマイナスの側面もあるから最適解なんて、誰もわからないということでした。
だとしたら、人それぞれ自分が納得するために必要なのは「どの道を選ぶのか」ということよりも、「自分自身で選んで決めた道なのか」ということの方なんじゃないかと思ったんです。
思えば、人生って、長い地球の歴史の中でみたら、本当に小さな一瞬なんです。その間、いろんな人が出てきては消え、出てきては消えるんです。
だとしたら、生きている間に、たくさんの挑戦をして、「自分にしか残せないものを残す」というのは大事なんじゃないかと僕はこの本を読みながら思ったんですよね。
僕は「自分にしかできないものを残す」ということに異常にこだわっています。その為なら「他の人と同じようになんて生きる必要なんてないな」と思うから、正解がない。それで時に犠牲にしているものもあるでしょう。
その生き方に不安に感じる時もあります。
でも、この本を読んで感じたように「自分自身で決めた道」が一番、納得すると思うんです。だから、やっぱり今のまま、「僕は僕なりに生きよう」と思うんです。僕は僕らしく、生き続けた先にどんな結論が待っていようとも。途中が大事だから。