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気まぐれ読書探訪:「女のいない男たち(文春文庫)」

 先日、村上春樹さんの「ドライブ・マイ・カー」という短編小説を読みました。( 「女のいない男たち(文春文庫)」の一部)
 アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した元の作品で、本が好きなので、映画より先にそっちを読んだんです。一言で言うと、原作はさらっと短いのに奥が深い。
 主人公は失った妻の全てを理解しようと妻の不倫相手に近づくのだけど、話すほど不倫相手は自分以上ではないと思えるわけです。
 つまり、その理由がその相手の人単体にはなくて、その人との関係性によって妻が満たされていた部分がある。うまく言えないけど、比喩的にいうと、一つの楽器で奏でても出せない音も、複数の楽器を奏でると聞こえてくる音がある、そんな感じなんです。
 もしも、誰かが上で誰かが下だとわかって、だから「上を選ぶ」という単純な話であれば、それは理解もしやすいのだけど、そうではないところに人間としての理解の難しさと深さを感じたってことです。
 村上春樹さんは当然に性描写が出てくるのであまり好きではないんですが、こんな短い小説の中にそういうのをさらっとこめられるところに、素直にリスペクトした作品でした。

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