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続く赤字 その投資は新風を呼び起こせるか 楽天グループ2022年通期決算発表に潜入

 楽天グループは、2022年通期決算に関して発表を行った。売上収益は増加傾向にあって、2022年12月期は1兆9278億7800万円。(2021年12月期が1兆6817億5700万円)。ただ当期利益でみると3759億1100万円マイナスである。(2021年12月期が1358億2600万円なので、赤字額は増加傾向)。ただその分、席上、代表取締役 会長兼社長の三木谷浩史さんはその投資の意味を力強く語るのである。

モバイルは収益改善のための動きも

1.モバイルと金融に配慮

 三木谷さんは、赤字の部分に関してあまり暗い素振りは見せない。それよりも未来の可能性を感じているのだろうか。経済圏というほど、色々な事業を巻き込んでの未来の可能性である。例えば、決算資料の「資産」の箇所を見ると、以前にも増して金融業に関する割合が大きくなっている。

 当然、金融はお金は伴う事業。だから、楽天銀行や楽天証券ホールディングスに関してIPOを行い、市場からお金を集めるわけだ。それもまた、経済圏を支える必要な投資と考えている。勿論、そうやって、財務状況を安定させる配慮をしながら、継続していこうというわけだ。そうすれば、その投資は長い目で見て、いずれプラスになると。だから、手を緩める様子は当然ながら、少しもなく、赤字も気にしていないようである。

2.ユーザー数を伸ばすための環境投資

 ただ、やはり「モバイル」への投資の理由に、多くの説明時間を割いていたように思う。

 まず、モバイル単体の部分においては、まず人口カバー率を上げる。それが、結果、利用者を増加させる要因になると考えているからだ。ただ、同時に、基地局の増強をさらに続けているのは、ユーザーのデータ利用増が彼らにとってプラス材料になると考えているからだ。

 昨今、彼らは通信量の安さを売りに、極力、大容量を使ってもらうことを、顧客に促している。なぜなら、それを促進することで、楽天経済圏でのあらゆるサービスを使い、横断的に、顧客データを楽天側に蓄積させることにつながるからだ。データというキッカケが新しいサービスへと回遊させる起爆剤と考えているのである。

 だから必要な投資だと。

3.モバイルの収益性を高める見直し

 加えて、モバイルの生産性を高めるために、マスメディアへの広告を見直しするという発言もあった。今までのように、マスメディアで一括のプロモーションをかけるのではなく、自らのサービスと連動させて、モバイルに関するサイトへの回遊を促す。

 また、デジタルを使った広告の強みを活かして、コストを見直し、軽減していく。さらに新しい取り組みとしてリファラル施策を行う。要は、楽天会員自体を触発し、友達に加入を促す。それと引き換えに、ポイントを支給して、投資をやや抑えて、ユーザー獲得を狙うなど、仕掛けに多様性を持たせる。

 さらに、新しい取り組みとしては、法人契約を開始。楽天はそもそもBtoBを軸にしたビジネスである。だから、その関連企業から裾野を広げていくのは、親和性が高い。法人契約数もある一定は手堅く、見込めると考えているわけである。

 一方で、モバイルのリアル店の採算を見直す。赤字の店舗はクローズして、デジタルからの加入を促していき、ここでも収益の改善を図っていくのである。その先には、光ファイバー網を使った通信にも広げていく考えだ。

国内ECの伸びは堅調

1.リアルにまたがる楽天のEC系サービス

 これらの投資事業の必要性は、既存事業の好調ぶりを通して、説くのである。例えば、国内ECの売上収益は7968億8800万円となり、前年比12.6%増である。

 依然として成長を続けているのは、トラベルなどリアルに直結するものもカバーしているから。実際、楽天トラベルの国内宿泊流通総額は、コロナ前の2019年対比で12.9%増になっている。

 ここを活性化させることが、また、楽天市場などのECの安定基盤を作る。こういう循環が奏功していることもあり、ファッション事業の流通総額は1兆円を達成。直近12ヶ月の流通総額でみれば、ZOZO TOWNの2.5倍以上であると胸を張った。

2.リアルネットの双方の利用増でカード需要も

 彼らは結果、リアルネットに関係なく、経済圏の裾野を広げる事になった。こうやって決済の機会を増やす事で、クレジットカード利用を触発して、企業に利する内容を生み出す。実際、楽天カードのショッピング取扱高は前年同期比で25.8%増。

 だから、この成果を背景に、今度は「モバイル」ユーザーにSPUをアピールする。モバイル単体ではなく、楽天グループ一体でその価値を実感してもらうことで、真に、その投資の回収へと繋がっていくのだとしているわけだ。

 敢えて、楽天市場以外の話を詳しく書いた。それは、モバイルの可能性と、金融系に伸び代があると考えて、投資をしていく、その姿勢が、ECの未来にも直結する事になると思ったからだ。

 少し僕が気になったのは、「利益余剰金」を切り崩してまで、投資をしている点である。それだけ相当、投資に軸を入れている。逆にいうと、そこまでしてももっと大きな頂きを、三木谷さんは目指し、達成できると信じているということなのかもしれない。

 今日はこの辺で。

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